花の名、木の名
春の花の代表格が桜。道沿いに、学校に、神社の境内に、果ては個人の家の庭にも。別に誰に教えられたわけでもないだろうに、桜の咲き誇る場所を見つけると、ふと見上げてしまう。散る花びらの行方を追ってしまう。日本人の遺伝子に組み込まれている感覚なのかもしれない。
でも、春の花は何も桜や梅だけではない。道端に小さな春の花がたくさん咲いている。それは、雑草と呼ばれている草花たち。なずな、たんぽぽ、菜の花、れんげ、つくし、よもぎ、はこべ。他にもいろんな種類がある。
ここ数年、なんとなく花の名前が知りたくて、気づいた時にはスマホで検索している。スマホは、こういうときに便利だ。さっとネットにつないで、サクサクと調べられる。
名前を見つけられると、単純にうれしい。ただの雑草が、私の中の一つの花になり、遠くからでも見つけられるようになる。
見つけられないと、いろいろ手当たりしだいに調べる。その過程でいろいろな花々の名前に出会えるのもいい。おかしな名前を付けられた花の由来を知るのもいい。
次は木の種類も区別がつけられるようになりたいけれど、これはサクサクと検索するのが難しい。花は特徴がわかりやすいし、図鑑のようになっているサイトがたくさんあるけれど、木は、木肌、葉の形、木の大きさなど、ちょっとわかりづらい。検索するにちょうどいいサイトもない。
これはケヤキ、これはクスなど、ぱっと見てすぐ言えたら、かっこいいだろうなと思うのは、ちょっとおかしいだろうか。
桜の木だけわかるというのも、なんだかつまらない気がして。人が与えた名だけれど、誰かが与えたその名を知るのは、素敵なことだと思っている。




