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代わり者  作者: 葵
二年前の過ち
6/30

糸が切れた瞬間

「チッ 本当に役立たず」

「何のためにお前に餌付けしてきたと思っているんだよ」

「こういうときのためだろ」


「はい・・・・・?」

紡久は耳を疑った。

殴られ過ぎて幻聴が聞こえたのか思ったが、どうやら紡久の耳は正常のようだ。

「俺を守ることもできなく、電話すらかれないのか」

「もういい 俺が掛ける」


紡久の糸が切れた。

理不尽に殴られ、理不尽な罵倒に糸が切れた。

紡久は酔いのせいと自分に言い聞かせて先輩を一発、力いっぱい殴った。


先輩は紡久に左の頬を殴られ、首が右にねじれ、首を元に戻すと同時に先輩はものすごい形相で叫んだ。

「うっ!! このゆとりがー」


「うぉー」

先輩の形相を見て、もう一発殴ろうとした時、自分が先程通報した警察官が現場に到着し、紡久は取り押さえられた。


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