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糸が切れた瞬間
「チッ 本当に役立たず」
「何のためにお前に餌付けしてきたと思っているんだよ」
「こういうときのためだろ」
「はい・・・・・?」
紡久は耳を疑った。
殴られ過ぎて幻聴が聞こえたのか思ったが、どうやら紡久の耳は正常のようだ。
「俺を守ることもできなく、電話すらかれないのか」
「もういい 俺が掛ける」
紡久の糸が切れた。
理不尽に殴られ、理不尽な罵倒に糸が切れた。
紡久は酔いのせいと自分に言い聞かせて先輩を一発、力いっぱい殴った。
先輩は紡久に左の頬を殴られ、首が右にねじれ、首を元に戻すと同時に先輩はものすごい形相で叫んだ。
「うっ!! このゆとりがー」
「うぉー」
先輩の形相を見て、もう一発殴ろうとした時、自分が先程通報した警察官が現場に到着し、紡久は取り押さえられた。