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二年前
【二年前】
男は笑顔で生きていた。
あの日が来るまでは・・・・・。
男の名前は安城紡久
ゆとり世代と言われても笑顔で返し、尊敬する先輩上司の背中を見て働いた。
仕事が好きかと聞かれれば、好きとは言えないが、楽しいとは言える。
仕事で心が折れる時もあるがなんと続けている。
それは失敗しても上司に助けてもらっているからだろう。
「紡久、今日も飲みに行くぞ」
「え~ 先輩のおごりなら」
「いつもおごるのはきついよ」
「そんなこと言わずにおごってくださいよ」
「これだからゆとりは」
「ゆとりですみません!」
この会話の流れを笑顔で話すのが、いつもの仕事終わりの合言葉だった。
上司に恵まれ、仕事も楽しくなってきた。
仕事終わりの飲み会も終わり。
先輩のタクシーを拾って今日一日が終わるはずだった。