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ログホライズン外伝if ~1人で行う世界制覇~  作者: 夜の狼
第1章 -目覚めの朝ー
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正式デビュー

 今回は、円卓会議が舞台となります。ただし、実際に会話に登場するメンバ-は全員では無いです。

「さて、親しい人物には先に教えておきましたが、アンジェロさんのこの状況を、円卓会議にも報告しないとまずいでしょうね」

 シロエが言った。

「んだな。情報の共有祭りだな」

 直継が同意する。

「まあ、多少の混乱は避けられないと思うけど、黙っている訳に行かないからね」

 直継にそう言いながら、シロエはアンジェロの方を見た。

「では、そういう訳なので、アンジェロさんも同席をお願いします」

「解った」

「それと、三日月同盟の時みたいな冗談は、無しに願いますよ」

「それも解ってる。ジョークを使う時と場所は、理解しているつもりだから」

 先にシロエに言われて、アンジェロがそう答える、

(だけど、この人は天才か天然か解らない時があるからなあ……)

 シロエは、心の中でそう思っていた。

「では、これから会議の手配をします。さすがに急には無理ですので、しばらく時間を下さい」

「了解。宜しく頼むよ」

 アンジェロはそう言ったが、少し考えた顔になった。

「それって、どれくらいかかりそうかな?」

「そうですね、さすがに緊急召集をかけても、今日明日って訳には……」

 シロエが答えると、アンジェロが言った。

「それじゃ、あたしはしばらく外へは出られないか」

「何で?」

 トウヤが言うと、

「あたしは目立つからね~」

 と、額に当てた手の指で、頭をきながら言った。ローブと匿名でしょっちゅう街をうろつけば、嫌でも目立つだろう。なぜなら、大地人は匿名にならないからだ。

 もし、会議が行われる前にアンジェロが素顔で出歩けば、まだ情報が浸透していないアキバの街が、ひっくり返る程の大騒ぎになるだろう。そのルックスに加えて、伝説の剣まで背負っているのだ。美女と伝説の剣の組み合わせは、話題にならない方が不思議というものである。

「しばらくは、影を潜めているのが賢明だと、我輩も思いますにゃ」

 にゃん太も言うので、円卓会議の緊急会談まで、アンジェロは外出を控えた。もっとも本人は、フレンド登録したマリエールやドルチェらと、念話でおしゃべりしているのであまり退屈はしていない様である。

「アンジェロやんって、前からチャットがおもろいんやもん。うちあきへんわあ」

 とは、マリエールの談である。

「本物の女性とガールズトークしている感じがするわ。中身が男性って信じられないのよね」

 ドルチェもそう言っている。

「クールな硬派の様で実は軟派。優しさと思いやりがあり、会話が面白いムードメーカーで、サプライズの天才」

 茶会の時の黒狼の評判である。キャラは若いが中身は話せるオッサンというのが、総評だった。実は、茶会のメンバーの中で、見た目が女性のキャラクターは、必ず一度口説かれているのである。当然本気では無いし、ただの馴れ合いなのだが、それによって場を和ませるのが得意だった(ただし、茶会の女性キャラクターには、全員にあっさりと交わされたが、茶会以外でのパーティーやチャットでは、文字通りムードメイクや緊張をほぐすのに割と役に立った)。

 何せ、「男性キャラを選んだのは、女性を口説くため」と、自分で言っていた事もあるくらいなのだ(もちろん、それも冗談だが)。

 さらに、下品では無いギリギリのエロトークーー戦闘中に、「そんなに動くと、ぱんつ見えるよ(もちろん、ゲームのエルダー・テイルでは見える訳が無い)」とか、「戦うのに胸が邪魔じゃないの?」などーーを発する事もあり、直継とも馬が合った。

 そういう具合に、その場で最も効果的と思える話題を振る事が得意だったのだ。


 さて、2日程が経過して、臨時の円卓会議が開かれる事になった。シロエはアンジェロを伴って円卓会議の開かれる、ギルド会館の最上階にある会議室へと向かった。

 一番乗りをしたシロエ達は、会議室へは入らずに他のメンバーが集まるのを待っていた。最後に入室する事で、演出的効果を狙っての事である。

「すいません、皆さん。お待たせ致しました」

 そう言ってシロエが入室すると、

「本当は、君が僕達を待っていたんじゃないのかな?」

 と、ロデリックが鋭い一言を放った。

「さすがですね、ロデリックさん」

 と、シロエが返す。

「それで、急な召集の理由は何だ?」

 ミチタカがシロエに聞いた。

「では、早速ですが本題へ入りたいと思います」

 シロエはそう言うと、アンジェロを招き入れた。

 アンジェロは会議室へ入ると、一礼してローブを脱ぐと匿名を解除した。一堂から、「ほぉ~っ」とか「は~っ」などと言った、感嘆かんたんとも溜息とも取れる声が漏れる。

「おい、腹ぐろ眼鏡、誰だその別嬪べっぴんさんはよ?」

 アイザックがシロエに言った。

「こんな人、今までアキバに居ましたっけ?」

 カラシンが興奮した様に言った。

 それに答える様にシロエが、

「今までアキバに居たとも言えるし、居なかったとも言えます」

 と言うと、

「ふむ、それは一体どういう事かな?」

 と、ロデリックが聞いた。謎かけみたいな話に、興味を引かれた様だ。

「実はですね……」

 シロエが淡々と説明を始めると、

「何ーーーーーーーー!?」

 会議室は大騒ぎになった。

「入れ替わった、だと!?」

 信じられないといった顔で、アイザックが言った。

「それは、外観再設定ポーションなど、何かのアイテムの効果では無いんですか?」

 ロデリックがアンジェロにたずねる。

「いえ、それが何も。少なくとも、あたしは寝る前には特別な事は何もやってない。寝て起きたらこうなってた。それに、あたしの中身は男だよ。外観再設定ポーションを使ったなら、ここに居るのはちょっといかつい中年オヤジになるよ」

 アンジェロはそう答えた。しかし、実際にそうなのだからそれ以上何も言う事が出来ない。

「何でい、男かよ……」

 アイザックが、ちょっとがっかりした風に言った。

「がっかりですよ~」

 カラシンも落胆した様に言った。心の中では、やっぱり女運が無い事をなげいているのだろうか。

「しかし、美女の中身が男かどうかは置いといて、それは実に興味深いな」

 腕組みをしながら、ロデリックが言った。

「で、結局お前ーーシロエーーはどう思うんだ?」

 ミチタカが言った。

「僕にも解りません」

 シロエは素直な答えを言った。

「だけど、それは誰でも同じだと思います。何せ、自分でも経験が無い事ですし、前例自体が無いからです」

 シロエの言葉に、全員が黙った。

「解った。まあ、起きた事は起きた事で、誰にも解らねえってんなら、もうそれ以上はどうしようもねえって事だろ?」

 アイザックがそう言った。

「俺も同意見だ。専門外の事を求められても、俺にはどうしようも出来ん」

 ミチタカもアイザックに同意した。

「ただ寝て起きるだけで、こんな美人に変われるんなら、ボクもうれしいんですけどねえ」

 カラシンが言った。

「お前、サブキャラは女なのか?」

 ミチタカが言うと、

「いえ、そもそもありませんよ~」

 と、カラシンが答えた。

「なんでえ」

 ミチタカが、ちょっとつまらなさそうに言った。


「そんな事よりよ、腹ぐろ」

 アイザックが口を開いた。

「何です?」

「その……アンジェロさんがぶら下げている得物、さっきからそいつが気になって仕方が無えんだけどな」

 アイザックは、アンジェロが背負っている「魔剣・無敵の刃インビンシブル・ブレード」に興味がある様だった。

「ああ、これね」

 アンジェロは、魔剣を会議室のテーブルの上に置いた。

「こいつは凄えな……」

 アイザックが驚嘆きょうたんする。

「伝説の剣、か。まさか本当に実在するとは。想像以上の代物しろものですね」

 その言葉を発した、アインスを始めとした会議室のその他のメンバーも、実在した伝説の武器を目の前にして、興奮が隠し切れなかった。

「なあ。これって本当に取り引き出来ねえのか?」

 アイザックが聞いた。

「試したけど、無理なんだよね」

 アンジェロが言うと、

「もし俺に出来たら、譲ってくれねえか?」

 アイザックが言えば、

「冗談じゃない、それならボクは言い値で買い取りますよ!」

 カラシンが割り込んだ。

 アンジェロは笑いながら、

「手に持って持ち上げられたら、その人に譲るよ。出来るものならね」

 と、言うと、皆が我先に魔剣へと手を伸ばし始めた。しかし、誰もピクリとも動かす事が出来なかった。

「くそ、どうなってやがる!?」

 アイザックがうめいた。

「ビクともしねえなあ」

 ミチタカも言った。

「だから、所持者にしか持てないって書いてあるのに」

 と、アンジェロが笑った。

「それにしても、その剣のフレーバーテキストは、実に面白いですね」

 ロデリックが言った。

「ああ。性能は恐ろしいのに、肝心のパーティーや大規模戦闘レイドでは使えねえと来てる。しかし、使えなくてもいいから、俺が持ちたかったぜ」

 アイザックが、うらやましそうに言った。黒剣の名もあるから、黒い魔剣が欲しかったのだろう。

「それ、打ち直したら変化するかもな。もっとも、手に持って動かせないんじゃ、俺には加工出来ないけどな」

 サブ職に鍛冶屋を持つミチタカが、残念そうに言った。

「全く。美人に反応したり、伝説の武器に反応したり、ほんま男ってのは子供みたいやわあ」

 マリエールが、あきれた様に笑いながら言った。

「マリエさんは驚かないんですか?」

 カラシンが言うと、

「ん~、うちとソウジロウやんは、先に教えてもろてたからなあ」

 と、あっさりとネタバレした。

「そういう訳ですので、黙っていてすみません」

 その後からソウジロウが、申し訳なさそうに言った。


「まあ、どうせ1日や2日の違いだから、俺はどうでもいいけどよ。それで、結局は何の為に俺達を召集したんだ?あと、これからどうするんだ?」

 アイザックが聞いて来た。

(たまにこの人は、普段の人物像からは考えられない様な事を言うな)

 と、シロエは思った。

「いえ、そう言われても、実を言うと僕も特に何も、としか。ただ、こういう事がありましたという報告をしたかったので」

 シロエがそう言うと、

「いやいや、僕は十分に興味をそそられましたよ?」

 と、ロデリックが言った。

「確かにな。奇妙な話だが、聞いておいて損は無かったと俺も思う」

 と、ミチタカが続いた。

「もしかしたら、我が君ミロードの失踪と、何か関係があるのかも」

 クラスティの代わりに、D.D.Dの代表として参加していた三佐が、ぽつりと言った。

「とにかく、何が起きるか解らないから異変なのです。今後もっとおかしな現象が起こるかも知れません。皆さんも何かありましたら、報告をお願いします」

 シロエはそう締めくくって、会議を終わりにした。

 各キャラクターの一人称や言葉遣いは、一部合わないかも知れません。もしお気付きの方が居ましたら、教えて頂けると助かります。

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