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ログホライズン外伝if ~1人で行う世界制覇~  作者: 夜の狼
第2章 -平穏と鳴動ー
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万能の裏返し

 久しぶりの更新となりました。ここから新章へ突入となります。まだ少し長くなる予定ですが、どうかお付き合い下さい。

「しかし、良く考えるとまだ凄い事がある」

 シロエが、人差し指で眼鏡を直しながら言った。

「まだあるのかよ」

 直継が、半分驚いて半分あきれた様な顔をして言った。

「アンジェロさんの、守護戦士としてのスタイルがね」

 シロエが指摘するには、アンジェロは特性ビルドが「スカーレットナイト」でありながら、スキル「ヴァイカリウスシールド」が使える。つまり、バスタードソードに分類される魔剣の特性を活用する事で、片手持ちに切り替えて盾を装備して盾役フォートレスになったり、両手持ちに切り替えてアタッカーになったりと、まさに変幻自在なのだ。

「そっちもハイブリッドかよ。どんだけ凄えんだ……」

 直継が、完全に参りましたという顔をした。

「あの馬鹿げた火力はスカーレットナイトの時のものだけど、場合によっては瞬時にビルドを切り替える事で、使用スキルも変化させる事が出来る訳だ」

万能オールマイティと言うよりも、完璧パーフェクト祭りだな」

 すでにげんなりとした表情で、直継が言った。

「そうでもないよ。切り替えのタイミングが難しいんだから」

 アンジェロが直継に言った。

「確かに。だから、たまにわざと喰らわなくてもいい攻撃を受けて、回復スキルの使用とビルド切り替えのタイミングを計ってたんでしょう」

 シロエが言った。

「まあね。さすがシロエ君は良く見てるな」

 アンジェロが感心して言った。

「シロエ兄、オレもう飯も説明もお腹一杯だよ」

 トウヤが言うと、みんなが笑った。

「それにしても、モンスターが出なければ結構良いロケーションよね」

 五十鈴が言った。

「にゃ。いいお天気ですにゃ」

 手を顔にかざして空を見上げながら、にゃん太が言う。

「アイドルのボクとしては、屋外ライブもいいと思うんだ」

 てとらが言うと、

「ね、一緒にバンドやってみよっか?」

 そう五十鈴が言うので、

「いいけど、やっぱりセンターはボクだよね」

 と、てとらが言った。

「センターとか、そうじゃねえだろ」

 直継が突っ込んだ。

「それなら、ユニットでも作ったらどう?」

 アンジェロが言うと、

「ユニット?それ、いいかも!」

 てとらが乗って来た。

「それじゃあ、てとらと、アカツキと、ミノリちゃんと、セララさんと、五十鈴ちゃんで、どうよ?」

 指折って数えながら、アンジェロが言う。

「え!?私も、ですか?」

 びっくりした表情でミノリが言った。

「私は遠慮する」

 相変わらずの仏頂面で、アカツキが言った。

「え、あの……私は無理です」

 困った様な顔で、セララが言った。

「う~ん、私はそういうつもりでステージに立つ訳じゃ無いから。あと、ちゃん付けは勘弁して」

 少し照れ臭そうに頭をきながら、五十鈴が言う。


「え~、みんなやらないの~?」

 ちょっとがっかりした感じで、てとらが言った。

「何だ、みんな結構可愛いのに」

 アンジェロがそう言うと、

「一番説得力が無い人が、それを言ってもなあ」

 と、直継がぼそっと言った。

「それに、私はそういうスキル持って無いですよお」

 セララが言うと、アンジェロに指名された子はみんなうなづいた。

「大丈夫だよ。ボクが先導するから、みんなは後から付いて来ればいいんだし」

 サブ職にアイドルを持っている、てとらが言った。ユニットでセンターになれば発動するスキルでもあるのだろうか。

 とてらが言った事に、シロエは思い出した事がある。

(そう言えば、以前に『エターナルアイスの古宮廷』で行われた舞踏会で、無理矢理ダンスをさせられた時に、ヘンリエッタさんに誘導エスコートされながら、何とか踊ったっけ。あの時は、男女の立場が逆になったよな)

 あれは、ヘンリエッタの持つ吟遊詩人バードの何らかのスキルだったと思うのだが、たぶん似た様な事を、てとらはアイドルのスキルで出来るのかも知れない。

(もしかしたら……)

 シロエは、ふと思ってアンジェロに訊ねた。

「アンジェロさんって、サブ職が芸能人でしたよね。そしたら、アイドルの基本動作くらいは出来るんじゃないですか?」

 そう話を振られて、

「たぶん出来るけど、そう大した事はやれないと思う。でも、私だってやらないぞ。アイドルって言うには、ちょっと年齢がね。あくまでも、キャラクター設定上の話だけどさ」

 アンジェロがそう言った。アンジェロの年齢設定は少し大人の女性という事で、20代前半くらいだそうだ。

「その年齢設定で芸能人って言うと、アイドルと言うよりは演歌歌手みたいだもんな」

 直継が言った。

「確かに。修行の”どさ回り中”って感じがする」

 そう言って、アンジェロが笑った。

「演歌と言ったら、着物だな」

 直継が言うので、

「そう言えば、着物って誰も普段は着てるのを見た事が無いよね」

 五十鈴が言った。

「着物は、実際に仕立てるのが難しそうですよ。そんなに簡単に作れる人って居るんでしょうか」

 セララが言うと、

「どうでしょうね。ソウジロウや一部の人が着ている様な服はともかく、たぶんだけど、和服の普段着や新しい着物は、これまでとは違う新規の生産レシピが無かったと思います」

 シロエが言った。

割烹着かっぽうぎなら、あった様な気がしますけど」

 サブ職に家政婦を持つセララが言った。

「う~ん、それはエプロンの様なものと言うべきでは無いかな。だけど、材料費や手間賃を考えると、和服、特に着物の新しい生産はかなり高級になりそう」

 アンジェロが言った。

「それ以前に、実際にこれまでとは違う着物を作れる技術を持つ人が冒険者の中に居れば、ですが」

 シロエが言うと、

「だよなあ。しかも、高級な着物を作った経験のある人が裁縫スキル持ってたら、だし」

 直継が言った。

「まあ、何にしてもアイドルユニットの話は無理ね」

 五十鈴が言うと、

「え~、ボクがっかりだよ~」

 と、てとらが残念そうに言った。


「でも、ちょっとした楽器の演奏くらいなら出来るよ」

 アンジェロがそう言うと、

「本当?何が出来るんですか?」

 五十鈴が嬉しそうな顔をして聞いて来たので、

「そうだね。現実リアルでは、ドラムとキーボードならやってたよ」

 アンジェロがそう答えた。

「う~ん、キーボードはさすがに無いよ~」

 五十鈴が、がくっとうなだれた。現在の技術では、キーボードを生産する事は出来無いし、そもそも発電方法が無い(100V前後という指定は、魔法ではかなり難しい)。さすがにピアノを持ち運ぶ事は無理だ。

「アンジェロ姉ちゃん、オレの代わりにドラムやる?」

 トウヤが言うので、

「いや、それはトウヤの役目だから。私はいいよ。ただ、一度覚えてしまえば、後は芸能人のスキルで使う事は出来るんだけどね」

 アンジェロはそう言った。

「でも、この世界にある楽器って、現代の楽器とだいぶ違いますし種類もあまり多く無い。さすがに新しい楽器を生産する事は、誰も今はまだ出来無いでしょうね。あと、楽器の演奏を教えてもらえるところも無いですし」

 シロエが言うと、

「それが問題なんだよね」

 アンジェロが言った。

「私は、たまたま現実リアルでそういう事をやっていたから、吟遊詩人と噛み合っただけだしなあ」

 五十鈴が言った。

「それにしても、アンジェロさんって多芸なんですね。驚きですよ」

 シロエが言うと、

「まあね。ただ、何でもちょっとづつ出来るってだけで、中途半端の器用貧乏には変わりないけどね」

 そこが上手くサブ職の芸能人と絡み合って、意外な爆発力や発展の可能性を持つ事になるのだが。実際に、戦闘ではそれがかなり強力に発揮されている。

「でも、もしかしたら新しいスキルが開発されるかも知れないですね」

 シロエがそう言ったら。

「そしたら、分類は何になるんだろう?」

 アンジェロが言えば、

「それは、出来てみないと何ともですが」

 シロエが考えながら言った。

「もしかして、誰でも覚えられる『共通スキル』にならないかな」

 アンジェロの意見に、シロエが驚いて、

「その発想は無かったですね。ただ、実際にスキルとして認識されるかどうか、解らないですけど」

 と言うと、

「そもそも、教えてもらったり練習して覚えられるのか?それ」

 と、直継が言った。

「可能性が無い、とは言い切れないけど、スキルとして認識されなくても個人の能力としては覚えられるかも知れない」

 シロエがそう言った。

「結構曖昧あいまいなんだな」

 直継が言った。


 とりあえず、目的は果たしたので一行はアキバの街へと帰る事にした。道すがら、

「それにしても、今日は意外と有意義でしたよ。まだまだ解らない事だらけですから」

 と、シロエが言った。

「俺は、班長の弁当が美味かったから、それだけで十分良かったけどな」

 直継が言うと、

「いえいえ、お粗末様でしたにゃ。でも、たまにはこうして、お外に出てみんなでお弁当を食べるのも、悪くないのですにゃ」

 と、にゃん太が言った。

(はあ~、今度はにゃん太さんと2人でピクニックしたいなあ)

 と、それを聞いたセララが、脳内妄想をした。

「野外ライブ、やってみたいけどステージのセットを組むのが大変そうだなあ」

 五十鈴が言った。

「ミス五十鈴、セットってどんな事をするんだい?」

 ルディが聞くので、

「う~ん、簡単な劇場みたいなものを作るのかな」

 と答えた。

「それは凄いな。どんな技術や魔法なんだい?」

 ルディが言うと、

「いや、人力でやるんだけど」

 五十鈴がそう言えば、

「何だって?一体どうやったら人の手で何も無い所へ劇場を作るんだ?」

 ルディが驚いて言うので、

「いや、あらかじめ分割した物を用意して目的地まで運んだら、それを現場で組み立てるの」

 と、説明した。

(でも、トラックみたいに陸上で一度に大量輸送が出来るものって、この世界に無いからなあ)

 五十鈴はそう思った。なお、ミナミには「Plantプラント hwyadenフロウデン」が作った鉄鋼車両なるものがあるのだが、アキバを始めとした東ヤマトには、まだそういったものは存在しない。自慢の蒸気船も、さすがに陸へは上れない。

「オレも、アンジェロ姉ちゃんみたいに、何か凄いスキルを覚えたいよなあ」

 トウヤが言うと、

「でも、あんまりおかしな事をしちゃ駄目よ?」

 と、ミノリに釘を刺された。

「私も、もっと強くなりたいな」

 アカツキが、誰にでもなくつぶやいた。

「アイドルユニット、ボクはまだあきらめてないからね」

 てとらがそう言うと、

「外部で誰かスカウトすりぃいじゃん」

 直継が言った。

「ねえ、直継さん、誰か良い人知らない?居たら紹介してよ。あ、でもボクより目立って可愛い子はダメだよ?って、居ないかアハハ」

 てとらがそう言って笑うと、

「居るじゃん、そこに」

 と、アンジェロを指差した。

「え~、アンジェロさんはダメだよ~。可愛いって言うより美人なんだもん」

 てとらが言うので、

「お前、負けてるのを認めたく無いんだろ?」

 直継に言われて、

「む~う、可愛いと美人は違うんだよ!直継さんは解ってないよ~!」

 と、ふくれた。

「解るぞ、それくらい。例えばマリエさんとか……」

 自分でそう言って、直継はちょっと赤くなった。

「直継さん、赤くなってるよ~?」

 てとらに突っ込まれて、

「う、うるさい!」

 と、少しムキになった。

 馬に乗ったログホライズンの一同は、午後の日差しの中を野外の移動としては、久しぶりにのんびりとした雰囲気で、アキバを目指していた。

 少しあせって更新しましたので、文章に不都合や不具合があるかも知れません。見つけ次第修正して行きますので、ご意見などあれば遠慮無くどうぞ。


※頂いたご意見を元に編集して、やや無理矢理ながら内容の辻褄が合う様にいたしました。

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