よくある下らないバッドエンド
僕は、中途半端に頭の出来が良かったため、だいたいのことは、器用にこなした。そのせいで、人よりも自分が優れた存在だと勘違いし、自然と軽く人を見下すような態度をとってしまう。軽くで済んでいるのは仮にも中途半端にも頭の出来が良かったからだと思う。
そして、そのような性格のため、小中学校ともに、色々出来るから一応は友達も出来たが、親友と呼べるほどの人はできず、また時には、軽いいじめもされた。しかし体格も悪くなく、そつなく何でもこなすから一対一の喧嘩なら負けることもほぼなく、陰湿な嫌がらせを受ける程度で表立っては、時々悪口が聞こえる程度だった。
そんな中でも、普通に器用にこなすところや、勉強できたり、スポーツも出来たので女子から告白されることが年に1回あるかないかはあった。
しかし、僕は、深い付き合いをしたこともなく、人を好きになって気遣ったり、凄く考えたりすることもなかったために、精神が年齢に対して未成熟だったため、告白されても受けることのメリットが理解できず、断るばかりだった。それに嫌がらせをする人に女の子が多かったのも断る理由の一つであった。
そんな僕も、中学3年で受験を経験し、とりあえず実家から1時間圏内で一番いい高校の普通コースに入ることになった。
まず僕はクラス分けを見て自分の中学出身の子が少ないことに驚きつつも自分のクラスに行き、出席番号順に並んだ机の中から自分の机を見つけ座る。
机は半分程度が埋まっていて、同じ中学出身であろう者達がグループを作りだべっている。
そんな中に窓側から2列目前から2番目の自分の席を、黒板が近くて嫌だなぁ、と思いつつ改めて周りを見渡すと、窓側の前から1番に、すなわち左斜め前に、背筋を伸ばしてちょこんと椅子に座り本を読んでいる、若干ウェーブががったストレートのセミロングの女の子が本を読んでいた。ここからでは頬しか確認できないが見たことがないほどに白かった。
少し、気になりつつもその時は周りを眺めながら時間が来るのを待った。
その後、先生が来て自己紹介が始まり、入学式へと雪崩れ込み、再び教室に戻り、様々なプリントを配布され最後に春休み中に受けた実力テストを返却され、その際にこの学校は学力でクラスを決めていて、このクラスは普通科で一番と説明された。因みに実力テストは、国際、理数コースも含めての学年全体でのテストだった。その後、皆が打ち解けるために15分程の軽い自由時間が与えられた。もっともこれは時間が余っただけだったが。
背中を突かれたので振り向く。
「ねぇねぇテストどうだった?」
こんなセリフだが僕の後ろは男だ。そしてよくぞ聞いてくれた!
「えっと3教科合計は学年で80位だけど数学が2位だったよ」
「2位ってまじかよ!」
この言葉で周りの人達の注目が集まった。そしてこのおかげでなんとか自分の席の左、後ろ、前、左後ろの男どもとは仲良くなれた。だた、左斜め前の彼女とは、この日は話すことはなかった。
そんなこんなで学校が始まり1週間程が経った頃のお昼休みの時間。僕は初日に仲良くなったメンツと一緒に弁当を食べていた。その時の話題が学校の女子の話題で、左隣の三村が、
「それにしてもさ、松本さんって可愛いっつうか綺麗っつうか、学年でも結構上のほうじゃね?」
と宣った。たぶんこのセリフが、僕が松本さんを好きになるきっかけになったのだろうなぁ、と思う。
その日の午後の国語の時間に4人組になり、身近な謎について語り合う事になった。まずは配布されたプリントに色々と書いてその後グループのメンバーでどの辺が謎なのか、とかを話し合う、そういうものだった。
この時のグループ活動で遂に松本さんの顔を正面から始めて見ることになったんだ。そしたらもう何だろう、席の都合と時間の都合もありすこし逆光気味ではあったんだけど、真っ白だけど化粧気のない肌、スラリとした頬から顎へのライン。全てが斜め後ろから観察し想像していた以上のものだった。はっきり言って一目惚れだった。
いや、本当に好きになったのはこの子がなんと当時流行った少年漫画の内容を授業のプリントに書き、ちょっと恥ずかしそうにしながらも、どの辺が謎なのかを説明していたのを聞いた時かもしれない。その漫画のおかげで話題に困らず気負わずに話すことが出来たから。親近感と恥ずかしそうなために頬に刺した赤みにも心奪われて僕は完全に松本さんにとらわれてしまった。
それからは、若干ストーカー地味た感じもあった。
朝出会えれるように時間を合わせて登校して挨拶してみたり、教室で人が少ない時に話しかけてみたりしていた。この時にメールのアドレスを交換して勉強で困ったことを口実にメールしてみたりして、メールを送信するときにはどきどきしたし、受信がきたらもう一秒でも早く開けたかった。その内、その子から来るメールの音だけ可愛らしい受信音にしてみたりした。
体育の時は華奢な体系に少しぶかぶかな上着を着ていてものすごく可愛かった。胸が慎ましいのグッドだったね。
家庭科の時間は、出席番号順に男:女を3:2で分けられたから同じグループになった。料理を食べる時なんて、もう本当に嬉しいやらもったいないやらでなかなか箸が進まなかった。もちろん味は今まで食べたことがないほどに美味しかった。
そして、僕は彼女とは知り合い程度の間にもかかわらず、1年の終わりに告白をした。
彼女が付き合っている相手がいるとも知らずに。
告白は失敗したが、今までみたいに接してもいいかと聞いて、いいよって言ってもらえた。それだけで嬉しかった。
優しい彼女がそんな場で否定できるはずがないってことは考えてもいなくて、建前だってことには全く気づかなかった。
その後も2年ほど同じように過ごした。そう僕は3年間も彼女の事だけを見続けてきた。盗撮みたいな、完全なストーカー行為はせずに終わったのは奇跡なのではないのだろうかと思う。
相も変わらず優しい彼女は寛大にも様々なことを許容して僕と接してくれていたとは気づかずに、脳天気にも、また少し仲良くなれたのではないのかとか思っていたりもした。
そして、卒業式も終わり残るは自由登校の日々となった。彼女は未だに学校に来ていた。国立大学だったから前期試験の発表が遅くて、後期試験の対策をしていたからだ。
その時、彼女は勉強に集中したいからと彼氏とは分かれていたということを知っていたから、僕は彼女の前期試験の結果が出た日の帰りにでも改めて告白しようと思っていた。一度目の告白で振られたからまた振られるであろうことは簡単に想像ついたけど、彼女がこの高校のこのクラスにいてくれたから、高校時代に合った様々な事を、僕はめげずに頑張れて、ここまで来れたという純粋な感謝の気持ち、そして、この気持ちと決別するためにバッサリと振ってもらおうと思ってのことだったから僕は恐れずにその日を待った。
その日が来た。
僕は振られた。
それは余りにもバッサリと、切り捨てられた。
僕は、少しだけ自分の事がわかったような気がした。
そして、好きになれそうになかった。
一生自分と付き合っていくこと考えたくなくて、只々もう何も考えたくなくて、大学でも家でも何かを聞いて、読んで、見て、思考を停止させるように日々を過ごすようになった。
※以下彼女の台詞(支離滅裂になっている部分もあります)
私は、あなたとは決して付き合いません、いえもう関わる気はありません。同窓会があったとしても、話しかけるつもりも仲良くするつもりもありません。
本当に、厚顔無恥にも程がありませんか、日々あれだけのことをして、毎日毎日くだらない内容のメールを送ってきて、朝は私が登校する時間に登校して、もううんざりです。
それに、普段から自分のことをロリコンだとかなんだけどか言っていますけど、あなたは単に『弱そうな女の子』だと安心できるから、つまり見た目が好みなだけで、内面を全く見ようとしないじゃないですか。一体そんな方のどこを好きになれるというの?
あなたが、小中と女の子にいじめられていたから、背の高い子や気の強そうな子を苦手としているのは知っています。あなたはロリコンなんかじゃない。単に自分の言うことに反対しない従順な子が欲しいだけ。そこに恋愛に絡む感情なんてない。
あなたの身近で私がたまたま条件に引っかかったから、私のことを『気に入った』だけ。あなたの好きは、愛しているには届かない。あなたのそれはただの物欲。あれがかっこいいから欲しいと言っているのと同じ。もう本当に近付かないで下さい。私は今までガンマンし続けてきましたけど、もうあなたとの接点はありませんし、最後にこれだけは言わせて下さい。私はあなたの精神安定剤なんかじゃない!勝手な理想を押し付けないで!
それではもう合わないことを祈っています。
このような駄文をお読み下さりありがとうございました。
途中に、主人公とヒロインの具体的なやり取りを追加しようか迷いましたが面倒なので省きました。
この作品は、ただ、最後のヒロインの台詞に詰め込んだ言葉を伝えたかった作品でしたから。