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3話
私は、ある日突然、記憶を失った。
木から落ちたとか、馬から落ちたとか、頭を打ったとか。精神的なものでもなくて。
「ここは、どこ?」
それが第一声だった。
その言葉で、私を起こしに来てくれていた女の人が慌てだし、お医者様がきて私は検査を受けましたが、全くの健康。なにも異常はなかった、とのことでした。周りの人たちがオロオロとして、私はとても居心地が悪いな、と眉根をひそめた時、お姉様は来てくれました。
「メイン!?」
ガンっと音を立てて部屋の扉が開き、そこから慌てたように、青い瞳で青い髪の女の人がこちらに飛び込んできました。
「きゃっ!!」
飛び込んできた人を受け止められず、ベッドの上に女の人と一緒に倒れ込みました。
「え、と?」
誰でしょう。
そう意味を込めて言うと、きちんとわかってくれたようでした。
「わたくしの名前はエイリン・アッセラ。そして貴方の名前は、メイリン・アッセラよ。わたくしは貴方の姉、ですわ」