1話
「エ、エイリンお姉様?」
「なぁに?」
「なんですかこの山……」
私の前には、物凄い量のドレスを抱えたメイドたちが立っている。その前には私の姉であるエイリン・アッセラがいる。
あ、申し遅れました。私は、彩国第二王女。メイリン・アッセラです。姉は、彩国第一王女。エイリン・アッセラです。
それにしても、なぜこんな量のドレスが?
「あら?あらあらあら。メインの可愛い姿が見たいのっ!メイン!さぁ!わたくし、貴女に似合うドレスを見繕ったの!来てみてちょうだい?」
ズズイッと差し出されるドレス。
「お姉様、こんなにいりませんわよ?」
私が困惑した声を出すと、お姉様は叫ぶ。
「だーめ!可愛い可愛い妹にドレスを作ってはダメなの……?」
作った!?
「お、お姉様!?もしかして、オーダーメイドですの!?」
「え?ええそうよ?」
ありえない。何着ものドレスをオーダーメイドするなんて……!私のたちの使っているお金は、国民たちが苦労して働いた税金であるのに!
「お姉様!!これは「わかっているわ」」
「わかっています。これはわたくしが働いて、もらったお金よ。」
働いた!?王位継承第一位のお姉様が!?
「なぜそんなことをしたのですか!危ないではありませんかっ!!お姉様の身になにかあれば私は……っ!!」
お姉様が私の前から消える、と想像しただけで目の前が真っ暗になる。
記憶をなくした私の唯一の光。大切なお姉様。
いなくなる、と考えただけで、死にたくなる。