はちbsん
ドガァァン!!!
「キャー!!」
「うわっ!?」
「やべっ!?」
「クククッ…!」
「ちょっ!ママ誤解だってばっ!!?」
「うふふ〜♪何の!事かなぁ!!?」
バリィィン!!バキボキィ!!!
「てゆうか家をこれ以上壊すなぁ!!!!」
ども、今日は家で涼親子を呼んでのお茶会。という事だったのだが、母さんが暴走して家を破壊するという。どうしてこうなった?と聞きたくなるような状況に俺達は巻き込まれている。
「冷静な分析はいらないから早くこれを止めて!!」
「分かってる。ところで蒼、アレ止められない?」
「無理!!」
ゴォン!!
「やっぱりかぁ!!」
ガシャーン!!
飛んでくる家具を避けながら、俺は必死に思考を働かす。
ドガシャーン!!!
何故こうなったかは、話を一日くらい戻すと分かる。
昨日の事。
「着いたな…」
「着いたね…」
現在、涼と一緒に涼の母がいる涼の家の前にいます。
「……………きたね…」
「……………………………きたな……」
「紅から入りなよ。」
「いやいや、ここは普通涼からだろ?」
「でもここは男から行くもんでしょ?」
「レディファーストっていう言葉知ってるか?」
「今忘れた。」
「行けや。」
ガチャン
と、くだらないコントを涼と繰り広げていると、突然玄関のドアが開いた。
「あ…お母さん…」
「あら、涼帰ってくるのが丁度良かったわね♪」
「え?」
「少し早いけど、待ち合わせの場所に行きましょうか♪」
「お、お母さんその事で話g」
「あら?紅君もいたの。」
「だからお母さn」
「丁度良かったわ♪折角だから紅君も一緒に来ない?」
「え、あ、はい…」
「お母s」
「じゃ行きましょ♪」
「「………」」
涼母は現れると、疾風のように話を進めていく。
それは涼ですら止められない程で、俺はそれを只々見つめる事しか出来ず、結局俺は何故か待ち合わせ場所とやらへ行く事になってしまった。
「ていうか何故?」
「僕が分かる訳ないでしょ?」
「お前が分からなきゃ誰が分かるんだよ…」
と呑気?に話しているが、今涼母の運転する車の中にいる。
て事でかなりヤバい。
まさかお見合いが今日だなんて、誰が予想出来るよ?
しかも、情報において右に出る者がいない涼ですら知らなかったらしいし。
恐るべし、涼母ってな感じだ。
「着いたわよー♪二人共早く車から出る!」
((テンション高けー…))
と思いながらも素直に車から降りる二人。
「てかここって…」
学校の数倍はあろうかとも思える大きさ、そして無駄に歴史がありそうな雰囲気がある建物の前に二人はいた。
「図書館…だね?」
そう、図書館…
でも図書館よりも宮殿と言った方が良いくらいのだが。
「早く早く〜♪」
「「…はぁ……」」
二人同時に溜息をつき、嫌々ながらも図書館へと入っていった。
てか図書館でやんの?それに俺がいて良いのか…?
「こっちこっちー♪」
いまだにハイテンションな涼母が、一番奥にあるテーブルから手をふる。
「…いつの間に。」
ここから50mくらい離れてるのに、一瞬で移動だと?
「ツッコむのはやめた方がいいよ?」
「…涼の言う通りだな。」
「それに早く行かないとどうなるか分かんないよ?」
「それもそうだな…」
納得し、奥のテーブルの方へと歩く。
「座って♪」
「…」
「…」
「…何故向かい合うように座るんだ?」
「………………………………まさか…」
俺が疑問をもち、涼が何かに気付いた時にそいつが来た。
「いや〜、すみません。ちょっと探し物をしてま…し、て……!?」
「親父!?」
「息子よ!?一体どこにいったと思ったら、ここにいたのか。」
「一体親父はここに何しに来た?」
「…………………やはり…」
「涼?さっきから何を…」
それにやはり、って…
「やっと来ましたね、竜栄さん。」
「ん?あぁ、あなたがお見合、い、の………っ!!!!!」
「うふふ♪お久しぶりです。…確か、20年ぶりでしたっけ?」
「し、ししししし朱稲!!?」
…………………しいな?
「な、ななななな何故お前がここに!?」
「何故って…お見合いに決まってるじゃないですか♪」
「じゃあ今回のお見合いは…」
「そう♪私の娘とのです♪」
「…よし、息子よ。帰るぞ!」
「させませんよ♪」
と、親父と涼母が話している頃。
「…まさか涼の母が親父と知り合いだったなんて…」
展開についていけん。
「ほんと、僕も驚きだよ。」
「てか、俺がお前のお見合いの相手ってのが一番驚いたぞ。」
「そうだね。」
「だからつまり、今回のお見合いは…」
「無しって事になるね。」
「徹夜した努力は…」
「無駄って事になるね。」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
…………………………………
「「…はぁ〜…………」」
長い長い溜息が出た。
ただただ溜息が出た。
「今度の日曜日遊びに行きますね♪」
「いや、あの、それは困る!!」
と強引に話を終わらしてきた涼母がここに向かってきた。
「ごめんね♪?私の計画に付き合わせて♪」
「はあ。」
「という事で涼ちゃんは連れて帰るからね♪」
「そうですか…」
「じゃあね〜♪」
「さようなら〜…」
さて、と…
「親父、大丈夫か?」
「だ…大丈夫だよ…」
いやいや、全然大丈夫には見えないよ。
「で、帰ろうか?親父。」
「…あぁ、そうだな。」
かくして、その日は何事も起きずに終わった。
そして、問題の日曜日。
丁度昼食を食べ終わった頃に、涼親子はやってきた。
お茶会については事前に母さんに話していた事もあり、最初はなかなか楽しそうに両親と涼母は話していた。
だが、時間が経つにつれ、涼母が親父にベッタリつくようになっていった。
親父にその気は無いのだが。
そしてそれが限度を超えた為、母さんがキレたという訳で、最初に戻る。
メキメキ!
「紅、逃げるってのも手だよ?」
「涼、逃げても意味なんてないと思うぞ…」
「なら止める策を考えてくれ。」
「分かった。ところで親父はどうした?」
「あそこで必死に避けているよ。」
「じゃあ蒼、俺をおぶって親父のとこまで走ってくれないか?」
「OK。」
蒼が頷くとすぐに俺は蒼に乗る。
「出来るだけ近くに走ってくれ!」
「せいやぁっ!!!」
バキィ!!!
前方に向けて地面を蹴り跳躍。
「!蒼上だ!!!」
振り下ろされる柱をまた跳躍する事で躱す。
親父のとこまで後少し…
ブン!!!
「前!!」
「ハッ!!!」
バキバキィ!!!
前方から迫る柱を右ストレートで破壊。
そしてそのまま親父の横まで走る。
「親父!!」
「息子よ!!!」
親父が振り向き、アイコンタクトをとる。
「よし!蒼、母さんの頭上へ!!」
「あぁ!!!」
ベキッ!!!
「親父いくぞ!!」
「まかせろ息子よ!!!」
そして俺は予め懐に入れておいた薬瓶を取り出し、ふたを取る。
更に親父は母さんの懐へと潜り込み、俺と同じ薬瓶を取り出して上、つまり俺達の方へと投げた。
「蒼、息を止めておけ!」
キュポッ
ふたを開けた薬瓶を下に中身がばらまかれるように投げた。
「っ!?」
よし、母さんは薬を完璧に吸ったな。
後は、この親父から貰った薬を嗅がせれば終わりだ…
「すまん母さん、ちょいと眠っててくれ。」
キュポッ
「ん…ぅ……」
ドサ…
「キャッチ成功。」
てか重い…俺力無いから重い…
「つらいなら母さん貸して?紅。」
「あ、あぁ、すまん蒼。」
「で、紅?」
「なんだ?」
「この惨状どうする?」
「スルーする。」
「それがいいね。ところで、皆はどこ?」
「?埋まってる?」
「…それはつまり、生き埋め?」
「Yes、of course。」
「助けなければ!!!」
「とりあえずお前が踏んでる涼を助けろ。」
「ありゃりゃ、これは失礼した。」
「いいから退いてやれ。」
ズボッ
「気絶してますな。」
「一応あっちの元寝室に寝かせておけ。」
「だね。」
「ところで蒼。」
「?」
「…服が破けて色々見えるぞ。」
「わーお。」
「隠せ。」
「紅になら見られてもいいよ。」
「駄目だ。」
「何で?」
「それは俺の理性が」
「えいっ。」
ムギュ…
「あ、蒼!急に抱き締めるな!!!」
「良いじゃないか、裸の付き合いなんだし。」
「誤解を招くような言い方するな!!」
「で、紅…」
「な、なんだ!」
「胸で挟まれてるよ?頭を。」
ブシャアァァァ〜…
「紅!?久しぶりに鼻血で倒れた!?」
あ…意識が…てかこの落ち、久し、ぶ、り…だ……
「紅!?気を失うのは早すぎると思うよ!!?」
んな事言うな…これでも、がん、ばっ…て…い、るんだ…
ガクッ…
「紅!?」
「という訳で、皆さんさようなら〜…」
「紅幻覚まで見えるの!?てか皆さんて誰!?」
「…」
「おーい、紅〜…?」
「…スゥ………」
「寝ちゃったよ。」
「………スゥ……」
「………僕も寝よ。」
「「……スゥ………」」
暫くして、もはや廃屋とかした家から、双子の姉弟の安らかな寝息が聞こえてきた。
‐完‐