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五番

「で、お前か?ストーカーってのは。」


「黙れ!刺されたいのか!?」


「刺せるのか?」


「ふざけんなぁ!こっちには人質がいるんだぞ!?」


 蒼の喉元にナイフの刃を強く押し当てた。


「蒼!」


「黙れぇ!!早く道を開けろぉ!!」


 ちっ、殺るか…。



    三日前



「ねぇ、良いでしょ?紅。」


「私からもお願い、お兄ちゃん。」


 え〜と、蒼さん?桃さん?二人揃って頼まれたら、俺は断れんという事を熟知していますね?


「分かったよ。」


 断れないんだから当然だ。


「ありがとう紅!」


「ありがとお兄ちゃん!」


「あのぅ?」


「ん?何?鈴ちゃん。」


 何?じゃねぇよ。

 本人を抜いて話を発展させられたら、何か空しいだろ。

 俺も在ったから分かるんだ。


「本当に、私の為にしてくれるんですか?」


「当たり前じゃない!」


「ま、鈴が困ってるんだから当然だ。」




 昔からこいつは、何かに巻き込まれる性質だったな。

 てか、今もかよ!?


「紅、何か策ある?」


 今、頼んだばっかだよね!?しかも、俺は今知ったばかりよ?


「ねぇよ。」


 そう言うしかないでしょ、普通。


「紅、何か反応が冷たいよ?」


「お兄ちゃん?」


 分かったから、その視線は止めて!何かがグサッて刺さるから!


「分かったよ。」


「よしっ!先ずは情報収集しよう!」


「じゃあ、涼に会いに行け。」


「え?」


 蒼の奴、相当涼の事が嫌いなんだな。だって蒼の顔が蒼白アンド引きつってるもの。


「情報収集と来たら、涼の名前が出るのは当然だろ?お前も知っていただろう?」


「じゃあさっ、紅が行けば良いんじゃない!?」


「お前が行った方が質が良いんだよ。」


「紅じゃ駄目なの?」


 そこまで涼が嫌いなのか?……可哀相な涼。


「さて、話し合いはこれでいいとして、蒼は涼に聞きに行く事、で皆は解散!」


「ちょっと待ってよ〜、って紅!?何寝てんのって、また貧血!?」


 蒼の不満は全面的に無視として、明日に備えるか。

 ベッドに入ると、桃が子守歌を歌ってくれた。

 良く出来た妹だ。

 俺は桃の子守歌によって夢に落ちた。



 【蒼視点に切替え】




 で、私は今、坂井涼の家の前で迷っています。


 何故迷っているって?御答えしましょう。何故なら私、蒼は、坂井が大嫌いです。

 それにね、この先に行くとね、何か大変なめに会いそうなんだよな。

 もう考えるのは止めだ。これで終わらす。


「は〜い?今出ま〜す!」


 坂井が近付いてくる!!お、落ち着け!蒼!!


「お待たせしましたっ……、蒼じゃないか、どうしたんだい?」


「ちょっと聞きたい事があるんだけど?」


「そう、上がって?」


 坂井、エプロン着てる。


「狭い所だけど、好きなようにくつろいでくれ。」


 通された部屋は、二畳くらいの部屋だった。


「うん、分かった。」


 しかし、コタツとテレビ以外無いし、狭いな。


「ここに座るよ。」


 疑問形じゃなくて宣言だけどね。


「はい、どうぞ。」


 涼は熱々のお茶が入った急須を置き、私の茶碗に注ぐ。


「はぁ〜。」


「ん?どうした?」


「あんたの顔を学校以外で見たからだよ。」


「本当に蒼も変わってないね。」


 涼は後ろから、私の首に手をまわしながら言う。



「巻き付くなホモ。」


「酷いな〜?ホモだなんて。」


「じゃあ、変態女。」


 目の前のエプロンをつけた少女に言う。


「駄目じゃない、ばらしちゃあ。」


 涼は嬉しそうに笑う。


「嬉しそうだね。」


「そうかしら?」


「はぁ、それは面倒いから置いてけ。」


「ハイハイ〜。」


「どさくさに紛れて覆い被さるな。」


 こいつは、二人きりになるといつもこれをやる。

 後ろから被さり、胸を触る等のセクハラ行為だ。


 逃げられん。


「そろそろ本題に入るよ。」


 早く逃げたいし。


「何?」


「鈴につきまとっているストーカーについて。」


「あぁ、あれ?」


「早く話して。そして早く放せ。」


 涼の手はスカートの中に入っている。


「あのストーカーはね…。」


 ためるなよ。


「まぁ、ためる程って訳じゃないけどね。」


 じゃ、ためんなぁ!


「まぁ、説明要らないんだよね。」


「何で!?」


「まとめたから、ノートに。」


 そう言い、普通のノートを渡す。


「足りない所は言ってね?付け足してあげるから。」


「初めからノート渡せば良いだろ!」


「駄目だよ、それじゃ蒼が食べれない。」


 こいつ、やっぱり真性のレズだ!!


「では、いただきます。」


「待てぇぇぇぇ!!!」


 涼お楽しみ中。



「全く、無駄な時間使った!」


「僕は楽しかったよ〜?」


「うるさい!」


 僕は変態の家を後にし、ノートを持って帰って来た。



 【紅視点に切替え】



「さて、蒼が戻って来た事だし、早速始めるぞ!」


 充分寝たしな。早速頑張ろう。


「桃はこの場所にこれをこうしとけ。」


「蒼はここにあれをあぁしろ。」


「さて、鈴はここを歩く。」


 それぞれに地図を持たして指示を出し、実行させる。


「さて、俺も行くか。」


 作戦は、完璧だ。




 鈴を、家の周りで散歩させる。勿論、コースの通りだ。


 そして、ストーカーをおびき寄せる為に、わざわざ人気の無い路地に向かわせる。

 桃は、作戦通りに設置した。

 蒼は人質役だ。

 動揺したストーカーに捕まるように仕向ける。

 鈴は、まず遠くに逃がし、次の行動を行う。

 まっ、そんな馬鹿じゃ無いだろうし、ストーカーがそんな簡単に捕まるとは思え、嘘だろ?作戦通りに来ちゃったよ。

 まぁ、いいや。


 終わらそう。



 ストーカー(以下野郎)は鈴の後をつけている。

 野郎がこのまま行けば、桃のトラップが発動するな。


 あ、かかった。


 そこで、鈴が振り向き、野郎はかなり驚いた。

 そして、鈴がナイフを取り出し、野郎に向かって突進した。

 だが野郎はかわし、ナイフを奪い取って逆に襲いに行く。

 そこで、蒼が登場し、鈴を逃がす。

 そして、追い詰められた。

 そこで俺の登場だ。


「お〜い、派手にやっているな〜?」


「誰だ!?」


「あ〜らら、捕まってら。」


「誰だよお前!?」


 蒼の奴、ドラマで良くある感じに喉元にナイフを押し当てられてるな。




 なんか羨ましい。




 そんで最初に戻る。



 さて、どうやって野郎を殺ろうかね。

 あ、今のはギャグじゃないよ?

 まぁ、それよりも早く助けてやんねぇとな。


「おい!変態!」


「黙れぇ!!俺はこの愛の為に今日までやっ」


「うるさい!」


 野郎の話の途中で突っ込む。野郎はかなり動揺してんな。


 野郎のナイフが蒼の喉に刺さ…


 らない!!


 野郎はスッカリ動揺しきってんな。


「▼▽★◎◇◆□■△▲▼〒⊃⊂⊇※●£∴±《!」


「意味分かんねぇよ。」


 アイコンタクトで、蒼に合図を送る。


「せいやぁぁぁぁ!!」


 背負い投げをされ、野郎が宙を舞った。


「ぐぇ!」


 野郎は背中から落ちて、マヌケな声を発した。


「トドメだぁぁぁぁぁ!!」


 俺のトドメの一撃が野郎の腹にモロに当たった。







 ストーカーは、その後警察にではなく、病院に送られました。


 後、鈴がありがとうと言っていました。


 最後に、僕から一言あります。

 今度から抱き付くな変態女!


        蒼より




 一通り読み終えて、涼は微笑む。


「上手くいったようだね。」


 そう呟き、お茶を啜る。



 さて、次は蒼に何やろうかな?


 一人笑っている涼は、かなり怖かった。



 お疲れ、ストーカー。


「ふふふ♪


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