四番
「皆に転校生を紹介する。」
先生が、皆の注目を浴びる。
「今日からこのクラスで学ぶ…。」
大体誰か見当ついてるよ。
同じ学校って聞いてから、大体予想は付いていた。
「佐藤鈴さんだ。」
クラスの3分2が歓迎の拍手をした。
拍手が終わると、先生は転校生の事情を話したりと、色々なことを説明し始めた。一通り説明し終えて先生は満足したのか、転校生に席を教えてそそくさと職員会議に行ってしまった。
そうなると、当然転校生の周りには沢山の野次馬生徒が群がる、当然の事だ。
はぁ、これからが大変だ。
誰にも聞こえない溜息をつく。
「やぁ、朝から元気ないね。
気分でも悪いの?」
「いや、そうじゃない。
ただテンションが低いだけだ。」
「そっか。」
今、話してる奴は坂井涼、俺の数少ない友で、なかなか良い奴だ。ホモ疑惑があるけど。
蒼の奴も鈴の所に行ってるな。
まぁ、俺は今のところは大丈夫か。
「紅、顔が赤いよ?」
「うん?そうか?」
「あっ、熱もあるよ?」
「何かこんな展開前にもあったろ。」
「?紅、何言ってるの?本当に大丈夫?」
「いや、大丈、夫だ…。」
「呂律がまわってないのに?」
「早退する。」
「その方が良いよ。」
かくして、俺は早退し、寝た。
【蒼視点に変換】
あの娘が佐藤鈴ちゃんか…。
あの娘が紅にとって、どういうものなのか。
気になる!だがそれよりも、可愛いなぁ…。
「抱きたい。」
思わず呟いてしまう。
「なーに危ない事呟いてるのかなぁ?」
この声は…、無視だ無視!存在を消せ!蒼!
「消えないよ、蒼。」
こいつ!読心術が使えるのか!?
「使えないよ…、蒼。」
「じゃあ何で僕の考えが読める!」
「いや、蒼の考えてる事は大体把握出来るよ。」
「坂井…、アンタ恐いから関わりたくないのに何で…。」
「いや、一応君にも伝えようと思ってね。」
「何を?」
「紅が早退した。」
「え!?」
「顔が赤く、呂律もまわらなかったからね。」
紅が早退した!?また具合が悪くなったんだ。
「ところで、君の癖も相変わらずだね。」
「大きなお世話だよ。」
こいつはいつもこうだ。
他人の心を見透かしているような態度で、傍観者気取りのこいつが、僕は嫌いだ。
「で?用はもう無いかな?無いならどっか行って。」
「ククク、残念まだあるよ。」
「何が?」
「鈴は、去年の春からストーカーに悩まされてるんだって。」
「!?」
こいつ何でそんな事が分かるの!?
「何故分かるかって?噂で聞いただけだよ。」
「それで?私にどうしろと?」
「何も?ただ、ライバルの情報は知っておきたいんだろう?」
涼はそう問うと、席に戻っていった。
こいつは、何がしたいんだ?私にそんな事を教えて何のつもりだろうか。
そんな私の無駄な思考は結局、数分したら消えていた。
何故って?♪
鈴を抱けたからだよ♪
鈴ちゃんは以外と素直で明るい子だった。
鈴ちゃんをストーカーしたくなる気持ちが良く分かった。
でも、鈴ちゃんにそんな事する奴は、私が許さないと思った。
そしていつの間にか、私は鈴ちゃんを好きになってて、最初の目的なんかくだらないと思ってる自分がいた。
さて、ここでストーカーについて考えてみる。
紅にストーカーの事を話して、協力して貰おう。
決定!
あれれ?何か忘れているような、まぁいいか。
明日が楽しみだな。
そうして、私の気まぐれな一日は過ぎた。
次回は、紅がストーカーと対決し、病院送りに!?