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三番

とある日曜日の事。


「紅、答えて?」


 蒼が微笑みながら近付いてくる。


「お兄ちゃん?どうゆう事なのかな?」


 桃がニコニコしながら、間合いを詰める。


 え〜と、二人共?かなり怖いんですけど。

 二人共笑ってるけどさ、内心穏やかじゃないよね。

 何故、俺がこんな状況に置かれたかと言うと、溯る事10分。




 俺が自分の棚を整理していると、幼稚園の頃のアルバムが出て来た。

 それを俺は、後で読もうと机の上に置き、作業を再開した。

 少しして、蒼と桃が帰って来た。


「おやっ?紅、棚を整理しているの?」


「お兄ちゃんは綺麗好きだもんね。」


「お?このアルバムは、…幼稚園の?」


 蒼はアルバムを捲りながら呟く。


「あ!私にも見せてー。」


 コイツラ…、ヒトが楽しみにしてたのを、って、何か二人共、眉間に皺作って何か囁きあってる。

 あ、こっち向いた。

 んで、ニコニコしながらこっち来た。

 何か二人の後ろに鬼の顔が見える!!

 気のせいじゃねぇよな!?

 てか、俺何かした!?


 んで、最初に戻る。



「紅、この写真は何かな?」


 そう言ってソレを見せる。


 集合写真?何でそんな物を、ん?あぁ、そうだ…、アイツがいた頃のか。


「お兄ちゃん?その女の子は誰かな?」


「紅、この娘とどんな関係だ?」


 蒼と桃が間合いを詰めていく。


「あ、いや、お前らが思っているような関係じゃ無いぞ!?」


 俺は慌てて真実を隠す、じゃなくて!誤解を解こうとする。


「じゃあさ、何でこの娘は紅とキスしてるのかな?」


「お兄ちゃん、全部素直に白状すれば、やさしく殺るよ?」


 この二人に何言っても無駄か。

 嗚呼、この世ともお別れか、出来るなら最後は美しく、散ろう。


 ぎゃあああああぁぁぁぁぁ


「お前ら、手加減も無しか。」


 やっとその言葉が出る。


「だって、紅が嘘なんかつくから。」


 嗚呼、やっぱり蒼にはバレてたか。


「お兄ちゃん、まだこの娘の事喋ってないよ?」


 ちっ、我が妹ながら執念深いな。


「ちっ、分かったよ。

 説明すりゃ良いんだろ?」


 この女の子の名前は佐藤鈴。

 容姿は可愛い部類に入り、性格も良かった為、いつもクラスのリーダー的ポジションにいた。

 なのだが、この子には一つだけ、欠点があった。

 それは、愛が強過ぎるのだ。

 俺はそんな鈴に惚れられて、かなりキツかった。以上!

 これ以上は話す気無しだ。


「紅、その子に何したの?」


 へ?


「その子に惚れられたって事は、理由があるはずだよ?紅。」


 いや、何でそんな事聞くのかな?

 てか、また二人の後ろに鬼が見えるんですけど!


「嫌待て!蒼はコイツの事分かるよな!?」


「うん、知ってるよ?

 でもね、この子が紅にベタボレだってのは思い出したけど、きっかけは知らないなぁ。」


「お兄ちゃん?」


「紅?」


 二人の視線が怖い!


 ガチャン


 その時、突然親父が入って来た。


「息子よ!一緒に買い物に行こう!」


「行きます!」


 俺は即答し、部屋を脱出した。


「あっ、紅!」


「お兄ちゃん話はまだ終わってないよ!?」


 二人の声を無視し、とにかく逃げた。

 我ながら格好悪いと思う。


「何喧嘩してたんだ?息子よ。」


 家を出て、一息ついた頃に、親父は聞いて来た。


「いや、大した事じゃない。」


 昔の事で喧嘩してたなんて、阿呆らしくて言えん。


「ふむ、そうか。」


 納得してくれたか。


「ところで、お前幼稚園の頃、佐藤鈴って子と一緒だったろ。」


 なっ!?


「今度、隣に引越してくるんだと。」


 何だって!?


「いつ?」


「明日。」

 死んだ、俺の人生終わった。


「親父、何を買いに行くんだ?」


 あまり考えないようにしよう。


「あぁ、何も。」


 は?


「買い物に行くってのは嘘だ。」


「親父?」


「お前が困ってたんで、助けてあげたまでよ。」


 嘘だ。

 コイツは本当にあの馬鹿親父か?



「親父、熱でも在るのか?」


「失敬な、ヒトの事何だと思ってたんだ?」


「馬鹿で阿呆で空気読めないウザイ変態。」


「ひどっ!」


 親父を生まれて尊敬した。

 てか、こんなに出来る大人だっけ?


「なぁ、鈴はどこの高校に行くんだ?」


「お前達と同じ学校。」


 死因が確定したな。

 撲殺だ。


「鈴って子は、お前と会えると分かってからは、ずっと上機嫌だって言ってたよ。」


 アイツまだ俺の事好きなのか?


「それでな、こんなにラブレターがきてるんだな〜。」


 親父が手紙を、手品のように次から次に出した。


「これ全てか!?」


「まだあるぞ?押し入れに。」


 そんなこんなで、俺はピンチに立たされて行く事になる。



 ちなみに、家に帰ってきた時には、俺の意識は無かったそうです。


 めでたしめでたし。



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