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二番

「お兄ちゃん、ここはどうするの?」

「紅、ここはこれであっているか?」

「これはこうやって解くんだ。蒼、それ少し間違ってる。」

「ありがとお兄ちゃん。」

「あれ?あぁ、1が抜けてたよ。」

「そう、それが正解だ。」

「お兄ちゃん、教えるの上手だね。」

「紅は教師の才能があるな。」

「どうも。」


 俺は今、蒼と桃に勉強を教えている所だ。 今日は土曜日で、蒼は膨大な量の宿題が出されたから、俺を頼ってきた。桃は、最近授業についていけなくなった為、勉強を教わりに来た。俺はというと、宿題は金曜日の内に、10分で終わらした。


「やっと数学が終わった〜♪」


 しかし、最近は何かだるいんだよなぁ。


  ゴホゴホ!


「紅?咳大丈夫?」

「お兄ちゃん、風邪引いてるの!?」

「いや、これはたまたま出ただけだよ。」


  ゲホッゴホッ


「紅?風邪、引いているんでしょ。」

「お兄ちゃん無理しないでよ?」


 おいおい、まさか本当に風邪引いたのか、ゲホッゲホッ、くそっ引いてるよ…。


「ちゃんと安静にしてね、紅。」

「お兄ちゃん、私達の勉強は後ちょっとだから、ね?」

「はいはい、分かりましたよー。」


 あ〜あ、折角の休みに風邪引いたよ。

 俺はそのままベッドに歩いて行き、倒れる様に寝た。


  〜1時間後〜


「ん?何だ?この柔らかい感触、は!?」


 俺が起きてからの第一声はそんな感じだ。

 何故なら、俺は仰向けに寝ていて、両サイドからとても柔らかい物に挟まれていたのだ。


「うぅ?あ…、お兄ちゃん起きたの?」

「おっ、やっと起きたか?紅はお寝坊さんだな。」

「え〜と、まず、俺が今置かれている状況を説明して貰いたい。」

 おいおい、何かこんな展開前にもあった気がするぞ?

 蒼は、何故か全裸で、桃は、パンツ一丁だ。


「クスクス♪紅が寝ているから添寝したんだよ?」

「お兄ちゃんが寒そうにしてたからだよ?」


 蒼め、桃まで仲間に引き入れるとは恐ろしい。

 正直、蒼と桃に添寝されていると、堪りません♪

 桃の発達中の胸が当たっており、気持ち良く。さらに、太もものモチモチという感触が下半身から伝わってくるというこのコンボはハッキリ言って卑怯だ!

 一方、蒼は体を密着させ過ぎて、いろんなものが当たっている。いわば、ジョーカーだ!


「お兄ちゃん?顔赤いよ?」

「いや、気のせいじゃねぇか?」

「紅、頭から湯気出てるぞ?」

「気、気のせいだ!」

「お兄ちゃん、体温計って見て?」

「お、おう!」


 ピピッピピッ。


「え?39度1分!?」

「紅!急いで病院行こう!」

「お兄ちゃんのタオルすごく熱いよ!?」


 あぁ、何か、意識が薄れてきたな。てか、このパターン前にも、…あった、よう…、な……。


 俺の意識はここで途切れた。




「何か、このパターン前にも見た事あるぞ。」

「紅、起きてからの第一声がそれって、まだ熱でも在るのか?」

「いや、無いな。」

「念の為計るよ?」

「好きにしろ。」

「うん、結構下がってるね。」

「ふ〜ん。」

「嬉しくないの?」

「いや?そう言う事じゃ無いんだがな。」

「?どう言う意味だい?」

「また、病院かよ。」

「仕方無いだろ?紅が気を失うんだから。」

「今何時だ?」

「5時12分。」

「桃は?」

「トイレ行ったよ。」

「そうか。」


 ガー…、ガタン。


「お兄ちゃん起きたの!?」

「おうよ。」

「良かった〜。」

「紅、僕はちょっと飲み物を買いに行くよ。何か飲みたい物はあるかい?」

「いちごオレ。」

「分かった。桃は?」

「あ、私はメロンソーダ。」

「OK。じゃあ行って来るよ。」


 ガー…、ガタン。


「お兄ちゃん起きてて大丈夫なの?」

「大丈夫だ。」

「お兄ちゃんは昔から無茶するよね?」

「そうか?」

「そうだよ。」


 無茶してるっていう感覚、余り無いんだよなぁ。


「お兄ちゃんは、昔から自覚が無いせいで体を壊しやすいんだよ?」

「おっしゃる通りだ。」

「分かれば良いんだよ?」

「はいはい。」

「はいは一回。」

「はい。」

「よろしい。」


 俺は昔から誰かに心配をかけ過ぎたな。

 本当に反省。


「お兄ちゃん?」

「ん?何だ?」

「熱が下がっても寝ていた方がいいよ。」

「あぁ、そうか。」

「お兄ちゃん、眠たい?」

「少し。」

「じゃあ、眠れるように子守歌歌うね?」

「あぁ、すまない。」


 桃が子守歌を歌ってくれた為、直ぐに意識が夢に落ちた。



 不思議な夢を見た。桃と蒼が幸せそうに、俺と一緒に眠っている夢だ。


 次の朝、俺は退院し、家に戻った。

 そして蒼と桃が、退院祝いとして、添寝してくれた。

俺はまた体温を上昇させた。


 何もかもが、幸せ過ぎて、俺は、何か大切な物を忘れようとしてた。でもこの一件で、忘れずにすんだ。


 俺は、二人の事が好きなんだと。


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