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理想のホワイトデー  作者: 月帆
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定番デート

恋愛要素は低いです。大人の寂しい気持ちを表現したくて書きました。出会いがネット系のため念のためR15禁にしています。

こうしてホワイトデーのデートは始まった。


たった一日だけの期間限定の恋人。

お互いのフルネームも知らない。


隣を歩く彼女、ひーが何を思っているのかわからない。

ただ今を一緒に過ごすだけ。


ひーと楽しく過ごすのは今だけ、そして条件は「下心なし」もちろん、それなりに可愛い女の子になにも感じないわけではないけれど…今を楽しみたい気持ちが勝っていた。

「寒いね」

ひーがつぶやく。

「うん、息白いね。あっ、カイロあるよ。」

反対の手で、ポケットに入っていたカイロを渡す。

「だってシロも寒いじゃない…あっ、こうしよ。」

ポケットに俺の手とひーの手がはいる。

驚いてひーの横顔を見る。にっこりと笑うひーはとても可愛くて抱きしめたい気持ちを抑える。

少女漫画だ元カノなんかにしたら「キモイ」の一言だなと苦笑する。

「どうしたの?」

お互い知らないからこそ、合わせるのと気持ちを知るために、相手に真剣に向き合える。嫌なことはしていないか、お互い楽しむことはできるか。

ドキドキする。

一日だけの恋人

ひーと俺、シロ


予定していたとおりスケート場についた。


ここを選んだのは冬だからと始めて合う人と映画やショッピングだと間が持たないと思ったから…

スケートシーズンも終わりを迎えようとしているのに、イベントデーなのか人がたくさんいる。はぐれるほど大きくないスケートリンク、密着するほどでもない人混みにほっとする。

「シロはスケート得意なの?」

ひーがスケート履をはきながら尋ねてくる。

「俺?二回目だよ…ひーは?」

にっこりひーは笑顔を向ける。

「学校の授業であったんだ」

びっくりした。学校で習うなんて。温暖な地方で育った俺には考えられない世界だった。

ちょっと出身地がきになったけれど、ここは大人のルールで別の回答を返す。

「おじょーじゃん」

「まーね。」

声を出し笑う。

女と、仕事以外で声を出して笑ったの久しぶりな事に気がついた。

「いこ」

手を取りリンクに行く。


案の定俺はこける。

きっと本当に好かれたい相手なら見栄を張って選ばなかったスケートも、知らない相手なら別にいいかという気分になってくる。そして優しくひーはてを出してくれる。素直に体を動かすことが楽しいと感じられる。

ひーはへっぴり腰の俺に優しく教えてくれる。


「俺、ちょっとトイレいってくるわ」

リンクをあとにする。履きなれないスケート靴をぬぐと意外と足が疲れていることみ気がついた。

リンクをみるとひーは楽しそうに滑っている。人ごみが多いのにスムーズに動くひーは小鳥のようだった。

俺はトイレの帰りに自動販売機で飲み物を買って戻るとひーは少し疲れたのかリンクの柵にもたれかかっていた。そんな姿を見ていると、少しいたずら心がうずく。

「まった?」

本当は後ろからギュってしたかったけど、そんな事をすればきっとひーは逃げてしまうことが何となくわかっていたからやめておく。

その代わりに買った缶コーヒーを頬に後ろから当てる。

周りからみればバカップルに見えたかもしれない。

ひーはびっくりしたみたいだったお互い視線を合わせて笑う。

三十路すぎて照れもある。元カノとのデートの時も、照れがあってこんなことできなかった。

きっとひーだからできる、いつもと違う行動。

知らない恋人だからできること・・・

少し寂しかった。

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