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美佳の風景  作者: 中井田知久
4/5

サーシャとの10年間

美佳は新しい学校でも「風景」のことや「死」のことをずっと考えていた。そんなとき、ある女の子が話しかけてきた。「ねえ。一緒にご飯たべない?」

女の子は大人しそうで、ぼそぼそと話した。


「ええ。一緒に食べましょう。」

美佳は言った。その女の子の名前は詩織といった。

詩織は少しずつ、美佳に近付いていった。美佳は最初、心の中で抵抗したけれど、詩織なら、「風景」のことや「死」のことがわかってくれるような気がした。ある時、美佳は言った。

「ねえ。雨が降りそうよ。うちに来ない?」

「ええ。いいけど。雨が降りそうだから?」

「ええ。もちろんよ。」

詩織は不思議そうな顔をした。


詩織と別の中学校になって、美佳はまた一人ぼっちになった。サーシャだけが話し相手だった。

ある時、美佳は言った。

「ねえ。サーシャ。3年経ったわ。やっぱりこの世界にわたしの居場所は無かった。わたしはあの「風景」に行くことにしたの。もう戻れなくてもいいの。」

サーシャは悲しい顔をした。でも、美佳がもう意見を変えないことが顔を見てわかった。

サーシャは言った。

「わかったわ。美佳。もうお別れね。この10年間、楽しかったわ。」

美佳はサーシャを抱きしめた。でも、もうサーシャはただのぬいぐるみになっていた。サーシャは冷たく笑っていた。


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