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あおとちっち

作者: さゆり

僕の名前は「あお」


至って普通のシャム猫さ。


まぁ細かく言えば、シャム猫と他の猫とのハーフ的な感じにゃ。


僕は鳴かない猫なんだ。カッコイイでしょ。


昔はスリムだったんだけど、昔ね屋根から飛び降りるのに失敗して死にかけてね。


一人の老人に救われたんだにゃ。


その結果お腹がポヨンポヨン何だけど心配無いさ。


だって彼女的な存在の「ちっち」がいるから。


ちっちはモノクロの猫で、美人さんにゃ。


田舎町とか山を二人で駆け巡っては、自給自足の生活の日々。


まぁそれも、うちら猫にとっては当たり前の事にゃ。


「今日は何処に行こっか」


「私お花が見たいわ」


僕はレディーファーストだから、何時も彼女を優先するんだ。


ご飯の時とかもね。


でも、その分彼女は僕に元気をくれるから、僕はそれで良いんだ。


そんな日々が続く中、ある日僕らは何処か見覚えのある人達にカゴに餌で釣られ入れられ、何処かに連れていかれてしまったんだ。


見覚えの無い場所、だけどその人間四人は僕ら二人をじゃらしたり、美味しいご飯をくれたりしてね。


次第に心を開いて行ったんだ。


名前も覚えたし。


幸せな日々が続いて言ったんだ。


ダンボールのお城、暖かいコタツ、階段を登ったり降りたり、美味しいご飯。


何年も何年も幸せだった。


そんなある日、ちっちが段々元気が無くなってきてね。


浮腫が酷くて僕に「苦しい、痛い」って言うんだ。


家族も病院に連れて行ったり泣いたりしてた。


「エイズだって…」家族の言ったその言葉が頭に残ってる。


エイズってなんなんだろ。


僕は猫だから分からない。


だけど僕がしてあげられるのは、ちっちに寄り添ってあげることだけ。


また元気になって一緒に遊ぼうね。


幸せな日々が戻ってくると信じてた。


だけど、ちっちは僕の目の前で息を引き取った。


僕は孤独感に襲われた。


ずっと一緒にいたから。


僕はそれからふとした時に君を思い出しては鳴く(泣く)様になった。


外の広い景色を眺めても、この家の何処を駆け巡っても。


もうちっち。君はいない。


君を一目見たいと何年探しても、君はもうこの世界にいないんだね。


でも、そうだね。僕らには家族がいるね。


僕達をいれて6人の。


僕はその家族に支えられて生きてるよ。


僕はその分家族に癒しを与えられているのかな。


もう君がいなくなって何年経つのだろう。


僕ももう歳だ。身体が動かないんだ。


ただ家族の声と薄らと家族が見えるだけ。


あともう少しすれば一人帰って来てね、家族全員の顔と声を聞けて、君の元に行けるんだ。


帰って来たみたい。最後に一緒にみんなで寝て、君の元に行こうと思うよ。


朝が開けると、ちっち。君がいて家族は皆涙を流している姿を見ていた。


ごめんなさい。そして今までありがとう。元気でね。


僕ら、あおとちっちは。


また一緒に山を駆け巡ったりしてるよ。


そしてお空の上から、家族を見届けてるよ。


さようなら。

昔飼っていた2匹の猫の心情を想像し、思い描いてみました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あおくんがちっちちゃんや飼い主の家族を想いやっているところが良かったです!
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