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プロローグ
人間と妖精が暮らすアジールモンデ。
この世界は愛の種族、女神に守られ、平和と光に満ちていた。
しかし、ある日突如として現れた魔物によって、世界は暗雲に包まれた。
草木が枯れ、魔物たちが蔓延った。
人間と妖精、そして女神でさえもその脅威に成す術はなかった。
このまま世界は滅びてしまうのか。人々が諦めかけたそのとき、一人の男が立ち上がった。
男は幾つもの困難を乗り越える。
ただ、愛する者のために。
ついに暗雲の根源である魔王を封印した男だったが、魔王から受けた傷は深く、彼は静かに倒れた。
やがて、世界には再び平和と光が訪れる。
魔王を封印した男を、人々は勇者と呼び讃えた。
魔王が封印されてから十年が経つ。
人々はあの暗雲を忘れてはいない。
永く続く光のために、封印の祠では今日も見回りの兵士が暗き闇に足音を鳴らす。