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株破滅日記  作者: ロン・イーラン
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第9話 2020年4月6日 ナンピン売り

週明け月曜日、株価は上昇して始まった。

また日銀が性懲(しょうこ)りなく介入(かいにゅう)しているのか。

俺は久々に自分の建玉(たてぎょく)が読みとは逆行し、金曜日とは打って変わり50万円程の損失を出していたが()(かい)することはなかった。

株価はどうせまたすぐ下がる。

上がれば何度でも()()びせればいいだけだ。


それに俺はこの短期間で必勝法とも言える売買パターンを()み出していた。

ある値段で日経平均株価指数のCFDを1枚売るとする。

株価指数が読みとは逆に値上がりすると、そこで今度は2枚売るのだ。

更に上がれば倍の4枚を売る。

売り続ければどこかで株価は反転して利益を出して終われるという寸法だ。


この戦法はいわゆるナンピン売りと呼ばれる手法だ。

17,000円で1枚 CFDを売るとする。

これが17,500円に上昇すると、

 (17,500円-17,000円)×100倍=50,000円

の損失となる。

CFD 1枚で50,000円の損失だ。

しかし、このタイミングでもう1枚 CFDを売ると、CFDの平均売却価格はこうなる。

 (17,000円+17,500円)÷2枚=17,250円

損失額は

 (17,250円-17,000円)×100倍×2枚=50,000円

で変わらないが、反転して利益が出始めると2倍の金額を手にすることができる。


今日も同じ戦法で挑む。

ザラ()(9~15時の場中をこう呼ぶ)は大した動きはなかった。

問題はザラ場が終了した15時以降のことだ。

日経平均先物が急上昇したのだ。

俺はその上昇に合わせて100円、200円、400円と株価指数が上がるごとに2枚、4枚、8枚とCFDを売り続ける。


夜11時、俺は全部で22枚のCFDを売り、平均売却価格は約18,000円となっていた。

日経平均先物は18,500円を突破し、含み損は100万円にまで積みあがっていた。


俺は下を見ずに高台に登り続けた結果、途方もなく高い位置に到達していることに今初めて気付いた。

含み損の金額を見て、足がすくんだ。

果たして無事に降りることができるだろうか?

いや、株は必ず下がる。

少しの間だけの辛抱(しんぼう)だ。

そう自分に言い聞かせた。

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