5 入学式の当日に
入学式当日、清々しい気持ちで朝を迎えることができた。とはいかなかった。
昨晩、少年ジャ○プのオマージュネタで「桃色コスモス」に登場した少年ホップを見つけ、この世界にもゲームがあるかもしれないと思い、俺は寝るまでゲームを調べていた。少年ホップは少年ジャ○プにも負けず劣らず面白かったがために、ゲームも地球と同等だろうと期待して調べ始めたが、地球にはない魔法があるが故か、この世界はゲームよりもスポーツが圧倒的に人気でレベルが高く、ゲームは人気もなく作る人もあまりいないらしい。
また、ゲームセンターがゲーム業界で一番人気という地球とはまるで違った状態だった。
PCゲームは画質が良いファミ○ンと言ったレベルで、コンシューマーゲームはなく、とてもではないが地球のゲームのレベルには達していなかった。一番人気らしいゲームセンターに関しては筐体の情報が調べてもほとんど出てこなかったため判断できないが、ゲームセンターのレベルも地球に比べ低いことは間違いないだろう。
ただ、良かった点もある。この世界にも多くの洗練されたコンピューター言語があり、コンピューターのスペックも地球と遜色なく、人でさえあればそれなりのゲームも開発出来そうな環境であることが分かった。
そうして考えを整理し、時計を見ると時計は7時を指していた。昨日調べたところ家からコスモス学園までは1時間程かかるらしく、あまり悠長にしていられる時間ではなかった。
「よし、そろそろ行くか」と少し早く家を出る。
家を出てすぐのところで偉丈夫と言っても差し支えない体格の50代程の男に声を掛けられる。
「おい、リオ。お前も色々あったがこれからの学園生活楽しんで来い。その方がお前の親も報われる」
伊月 凛桜である俺の親について何か知ってそうな男性は、どうやら声からして、昨日の朝、壁越しに聞いた怒鳴り声の主であるようだった。
「昨日は朝からうるさくしてすみません」と言うと
「お前がそそっかしいのはいつものことだろ今更謝んな」と言ってきた。どうやら伊月 凛桜はそう言った
人間であるらしい。確かにゲームでも登場する度に何かミスしてたなと思いながらも「行ってきます」と言って学園へと向かった。
学園に着くと、道を彩るように学園の名物である桃色のコスモスが咲き誇っていた。
その光景に心震わせていると、前の方から何やら大きい声が聞こえてきた。入学式の会場である学園中央あるホールに向かうには前に進むしかなかったため、前に進むとそこには「桃色コスモス」の主人公である燃えるように赤い髪に煌びやかな金色の目で男の俺であっても思わず息を吞むほどの美男である藤咲 百花、そして7人のヒロインの中で俺が最も推していた艶やかな桃色のロングヘアーに草木の芽吹きを感じさせるような翡翠の瞳を携え、最近まで中学生であった事が噓のように均整の取れた大人びた肢体の美女である桃井 秋桜が画面を通して見ていた時以上の美しさをもって言い争っていた。