2 転生してた
「ええぇぇーーーーー!」
辺りを気にせず、俺は思わず大きい声を上げていた。
周りの人たちの視線がこちらに向けらる。
「何、あの人。急に叫んで。それに、あの服ってコスモス学園の生徒よね」
「もしかして、入学式を今日と勘違いしてたんじゃない?声掛けた方がいいのかしら?」
「あれには関わらない方がいい。明らかに狂ってる」
「そうね。なんか変だし」と周りでは、ひそひそと散々なことを言われているが今の俺にはどうでもよかった。
『どういう事だ。何故自分はエロゲの世界にいるんだ。もしや、大規模ないたずらか何かでここは地球なのか?いや、これが入社式なのか?社員たちが睡眠薬でも仕込んで、飲ませてあの家まで運んだのか?いや、有り得ない、そんなことしたら普通に犯罪だ。それにさっきの女性の言葉には聞きずてならないものがあった。コスモス学園の生徒とあの女性は言っていた。どうやら俺は今コスモス学園の生徒に見えるらしい。もうじき23歳の俺がコスモス学園の生徒に見えるわけがない。でも演技にしては自然に言ってたし、やっぱり、この世界は異世界なのか、いや、でも』などと現実を受け止め切れずにいると
「…………」
「ひぃぃーーー、呪われる」
「な、なんだ?呪文か殺されるぅーー」
どうやら考えが口を出てしまっていたようだ。
尋常ではない驚かれ方をされている。気絶している人までいるところを見るに、奇怪な行動と余裕のない様子が相当恐怖を煽ったのだろう。
流石に心配になり安心させようと、一番近くの女性に声をかける。
怯えた女性はこちらに一向に顔を向けようとしない。『次は、顔を見られたら、呪われるぅーーー。ですかい?』と心の中で毒づいてると「ひぃっっ!!近づかないで!」と女性は悲鳴を上げる。
思わず彼女を凝視し、あることに気づく。彼女のの耳が普通より長く尖っている事に。そしてそれがぴょこぴょこと作り物ではありえない動きをしている事に。
それは、本当にこの世界が、エロゲの世界であることを証明しているようだった。
そして叫んでいた。
「転生しちゃってるぅぅーーーーー」
そしてこれが追い打ちになったのか、エルフの女性は「もうダメェーーー」とその場に蹲ってしまった。