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さぁ、梅モドキを選別してアク抜きします。その間に、調べましょう!
シロップは、おばあちゃんと一緒に作っていたから大丈夫!梅酒と梅干しは、おばあちゃんが作ってるのを見てただけだから、材料や分量がわからないんだよね。
梅酒は、半年〜1年後くらいが飲み頃。年数が経つほど、コクが増す?ふ〜ん。飲んだ事ないし、まあ、一回作ってみよう。梅干しは、紫蘇がなくても作れそうなので、少量で試してみよう。
明日は、布を買いに行かなきゃね!
マーサさんに聞いたら、結婚祝いは、布を贈るんだって。その布に自分で刺繍したりして、新居を飾っていくらしい。
聞いてよかったー。勝手に刺繍したランチョンマットとかあげて、困らせるところだったよねー。
翌日も早仕舞いのあと、布を買いにお店に向かって歩いていると、
「ちょっといい?」
カリーナさんに声をかけられました。
ゲッ!い〜や〜だ〜!
「用事があるので、おこと「すぐすむから、きなさいよ!」
人が喋ってるのに、本当失礼な人。
私の腕を掴んで引っ張っていく。
「痛い!離して!」
「うるさい!ついてくればいいのっ!」
ますます強く掴んでくる。
周りの人は、見て見ぬフリ。助けてくれない。
人が誰もいない路地に入って、やっと腕を離したかと思ったら、
バッチーン!
思いっきりぶたれた。
そのまま壁にぶつかって、身体が痛い。
「あんた、カイルのなんなの?カイルは、私と結婚するのよ!邪魔しないで!」
ムカッ!
痛くて泣きたいけど、言われっぱなしは性に合わない。
「邪魔なんかしてない!カイルさんに聞けば「うるさい!あんたに構うカイルもカイルよ!私の方が、あんたよりいい女なのにっ。」
はぁー。ため息がでます。
路地の入り口?の方に人がいて、こちらを見てるけど助けてくれそうにないですねー。
「私、あなたが嫌いです。関わらないで下さい。」
「フン!どうせあんたもカイルのお金目当てなんだろうけど、あれは、私のものよ!」
「は?お金・・・?」
何を言い出すんだろう?
「そうよ。知らなかったなんてとぼけないでいいのよ?カイルなんて背は低いし、顔は普通だし、いいところなんてないじゃない?あれじゃあ、結婚できないのも当然。でもお金をもってるなら別よー。贅沢できるじゃない?お金がなければ、カイルと結婚なんてしないわよ!まぁ、カイルは、私に惚れてるからね?あんたみたいな子供が、色目使ったって、無理よ!フフッ」
勝ち誇ったように笑ってる。
私は、色目なんて使ってない!
言い掛かりも大概にしてよねっ!
「ふざけないでよっ!背が低い?顔が普通?そんなの好きなら関係ない!彼が、お金持ちかなんて知らないし、どうでもいい!お金があれば誰でもいいなら、金持ちの老人や後妻にでもなればいい!あんたのくだらない欲に、彼や私を巻き込まないでよっ!」
「うるさいっ!小娘が生意気言ってんじゃないよっ!」
またバシッと叩かれる。負けずに叩き返すが、痛くなさそうだ。くそっ。
足にしがみついて、持ち上げる。バランスを崩して尻餅をついた彼女の頬をグーで殴ろうとしたら腕を掴まれた。
誰よ?
「邪魔しないで!この女にわからせてやるんだから!」
「助けて!いきなりこの子が私に「黙れ!」
「なっ、何よ?私は、被害者よ?」
「黙れと言ってるっ!お嬢さん、大丈夫かい?」
「・・・痛い。」
ボロボロと涙が出てくる。悔しい。
誰だか知らないけれど、背中をポンポンしてくれる。
「離しなさいよ!どこに連れて行くつもり?」
騒いでいるカリーナさんを、警邏隊の兵士が連れて行きます。
「立てるかい?」
身体が痛いけど、ゆっくり立ちます。
「家まで送るよ。」
言ったかと思ったら、お姫様様抱っこされました。
「顔隠してて。」
あぁ、腫れてるんだろうなぁ。泣いたし、見れる顔してないよね。
お言葉に甘えて、胸にしがみつくようにして顔を隠します。
そのまま無言で家まで送ってくれました。
「送っていただいて、ありがとうございました。あの、お名前を教えて下さい。」
「ノア」
「ノアさん、日を改めてお礼に伺いますので、どちらに行けばお会いできますか?」
ノアさんは首を振り
「気にしないで。」
と言い、私の頭を撫でて去って行きました。
私も家に入って、鏡を見ると、ひどい顔。冷やさないと・・・
お風呂に入りたいけど、身体が痛い。仕方ない。今日はお風呂諦めよう。
湿布を貼って、顔を冷やします。
食事を作る気も食べる気もおきません。
ベッドでボーっとしてたら、いつのまにか寝ていました。