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翌日、お店を早仕舞いしたので、森に行きます。
そんなに深くない川だけど、落ちないよう気をつけながら、稲を探します。
ないなー。そんな簡単に見つからないかぁ。
明日は、もう少し上流の方を探してみよう。
今日は、これで帰ります。
街中で、カイルさんを見かけました。
カリーナさんと一緒にいます。
また、睨まれるかもしれないので遠回りをして帰ります。
お店とお米探しの日々を過ごして、一週間。
川の近くにはないので、泉に行きましょう!
たしかこっちだったはず。
お米〜お米〜と思いながら、歩きます。
キノコがあるけど、毒キノコとかわからないから採りません。
あっ、あれはウメの実かな?似てるけど、違うのかな?
ほしいけど、泉の帰りでいいかな?
ウメの実モドキを見て悩んでると
「アキラか?どうした?こんなところで。」
振り向くとカイルさんがいます。
「こんにちは。あなたこそ、どうしてここに?」
「いや、俺は、何か珍しい食材とかないかなぁと探してたんだ。」
「ふ〜ん。何かありました?」
「あったけど、どうやって食べるのかわからないし、そもそも食材かどうかも怪しいんだがな。」と少しずつ取ってきたのを見せてくれます。
キノコや、何かわからない実がいくつもあります。その中に稲と思われるものがありました!
「コレ!これ、どこにありました?」
「ん?これは、泉の近くだったかな?小さい実がいっぱいついてるから、一応とってきたんだが・・・」
「あった場所に連れて行って〜。」
「いいが、食べれるのか?」
「んー、多分?見ないとわからない。」
連れていってもらった場所には、稲が・・・
おおぅ!お米があったー。でもまだ、収穫できない。
「ふわわあぁ〜。あった。こんなところに・・・」
嬉しくて涙がでます。
「なっ、泣くな、アキラ。これが、欲しかったのか?」
「ん、探してたの。これは、まだ食べられないですね。もっとこう、頭が垂れてくるんです。それまでは、このまま育ってくれないと。」
「そうか、どのくらいかかるんだ?」
「秋くらいには収穫できますよ。」
「まだ先だな。」
「はい、でもあることがわかって嬉しい。ありがとう。」
「アキラは、よく知ってるなぁ。送るから、帰ろう。」
森の中を歩いていると、さっきの梅の実モドキが見えます。
「実を少し取っていいですか?」
「あぁ、手伝うよ。これは、料理に使うのか?」
「んー、加工すればね。シロップや、梅酒、梅干し・・・んー出来上がるまで時間かかるし、上手くいくかわかんないから、試してみるよ。」
「そっか。上手くできたら、食べさせてくれ。」
「上手くできたらね?」
「楽しみにしてる。」
エプロンを入れてた袋に実を入れて帰ります。
街に入ると、
「カイルゥ〜、どこ行ってたの?」
カリーナさんが、カイルさんの腕にしがみつきながら、こっちを睨みます。
「また、この子・・・」
「カリーナ、アキラを送って行くから離してくれ。」
「いえ、私は大丈夫なので、ここで失礼しますね。」
挨拶もそこそこに、サッサと離れます。
はぁー。カイルさんは、カリーナさんが睨んでいることに気がついていないのかなぁ。
関わりたくないなぁ。
あぁ、でもお米があった。収穫できれば、食べられる!楽しみだよー!
それに梅の実モドキも試してみなくちゃ!
実を取りすぎて袋が重いけど、何作ろうかなあ。
シロップは、これから重宝するよねー。お米があるなら、梅干しもいいよねー。あぁ、迷うなぁ。