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「侍女のエリーと申します。お嬢様のお手伝いに参りました。」
お手伝い?
なんだろう?
ドアを開けて
「はじめまして、アキラです。あのお手伝いとは何のお手伝いでしょうか?」
「夕食の時のお洋服のお着替えですよ。さぁお着替えいたしましょうね?」
パパッと脱がされお風呂に入れられ、着せられる。ドレスより簡素だけど、普段着のワンピースよりは動きにくい服を着せられ髪を整えられる。
「あのこれはどなたの服でしょうか?お借りしていいのですか?」
「まぁこれはカイル様からですよ?ほかにも色々ご用意してくださってますよ。」
薄く化粧もされ
「さあ、できました。お綺麗ですよ!」
うーん。鏡を見て眉と口紅だけでも随分と雰囲気が変わるんだなぁ。
でも、背が低いから子供が背伸びしてるって、大人の真似してるって思われるんじゃないかなぁ。
そんな事言えないから
「ありがとうございます。エリーさんのおかげです。」
「アキラ、準備でき・・・た?」
ノックして部屋に入ってきたカイルさんが固まる。
わぁ!カイルさんも着替えてる。
「素敵!似合ってるよ!あの、お洋服ありがとうございます。知らなかったからビックリしちやった!」
笑顔で言うと
「あ、ありがとう。アキラも似合ってる。アキラの為に用意したんだから着てくれて嬉しいよ!さぁ行こうか?」
カイルさんにエスコートされて食堂へ。
でも着慣れてない上に履き慣れないヒールで足がおぼつかない。
一応歩けるんだけど歩き方がぎこちないというか・・・
カイルさんの両親と4人で食事をする。
正直味なんてわからない。
食後に部屋を移動してシェリー様から
「アキラにはドレスに慣れてもらわないといけないわね?その歩き方もなんとかしないとね。明日から練習しましょうね?」
「えっ?あの私はドレスを着る事がないと思うのですが・・・」
「まぁアキラ、10日後にはカイルの婚約者としてお披露目をするのだからドレスは着るわよ?優雅に歩けるようにならなくてはね?」
「お披露目って・・・」
「やっとカイルが結婚する気になったのよ?今まで馬鹿にされてきたぶん幸せを見せつけなくては!その為には最低でも普通の令嬢程度にはできないと。今の様な歩き方では余計に笑われてしまうわ!」
うっ・・・カイルさんに恥をかかせたくはないけど私にできるか不安。
今だって足が痛いのだ。こんなヒールに慣れなきゃいけないのか・・・
「母上、アキラに無理を言わないで下さい。お披露目の事も聞いてない!勝手に決めて日にちがないからってアキラに無理をさせていい事じゃない。」
「だけど、もう招待状も出してしまったから・・・取り消しなんて出来ないわ!取り消したらカイルが捨てられたって余計馬鹿にされるわ!」
「カイル、母さんはカイルに相手が出来たと聞いて喜び過ぎて確認もせずに先走ってしまったんだ。それはよくない事だったと思うが、アキラがカイルと結婚するのなら貴族になるんだから必要な事だろう?練習すれば大丈夫だよ。」
「だからっ!勝手に決めないでくれ!アキラに無理させる事が前提じゃないか!アキラの気持ちも考えずに何言ってるんだよ?馬鹿にされる?今までだって散々馬鹿にされてきたんだから放っておけばいいだろう?」
「だけどアキラはこんな小さい子なのよ?それだけで色々言う人は言うのよ?せめて人並みに歩けなきゃ余計に恥かくじゃない!」
やっぱり私の背が低いから恥ずかしいのかな。認めてもらえなかったら・・俯いてしまう。泣いちゃダメ。でも・・・膝の上でギュウと手を握り締める。
カイルさんがそっと上から手を包んでくれる。
「結局俺達の事はどうでもいいんだろう?他の奴らを見返せれば・・・大丈夫だよアキラ。俺が貴族籍を抜けるから。明日アキラの家に帰ろう。」
「でも家族でいられなくなるよ?簡単に会えなくなるんでしょう?私が歩けるように慣ればいいんだよね?10日でできるかわからないけど・・・頑張ってみるよ?」
涙目で声が震えるけどそう言うと
「アキラッ!」
ギュウとされます。
「無理しなくていいんだ。俺が馬鹿にされてたせいで母上に辛い思いをさせてたんだな。でもそれとこれとは別だろう?アキラを使って見返そうだなんて・・・結局体面しか考えてないんだ。俺達の気持ちは置いてけぼりだろう?歓迎してくれるって思ってた自分が情け無いよ。ごめんな。アキラに嫌な思いばかりさせて・・・」
「決まりね!早速明日から練習するわよ?いいわねアキラ。」
「よろしくお願いします。」




