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アキラ達が出て行ったあと兄上が
「これは美味いな。このレシピは教えてくれないのか?」
呑気な事を。
「兄上、レシピはアキラのものだ、アキラを傷つけたのに反省もせずにレシピをくれって言うのか?」
「いや謝罪はいらないって言われたし、どうしようもないだろう?」
「レオン様、アキラ様は泣くのを堪えてお部屋からでてこられたのですよ。扉の前に私どもがいたので微笑もうとして涙が零れ落ちたのです。慌てて拭いていましたが、我慢するのは良くないと思い失礼ながら休憩室に案内して泣いていただいたのです。それでも、はじめての場所だからか声を押し殺して泣かれました。もっと安心してもらえる場所にしないといけませんが、レオン様がそのような態度ですと難しいでしょう。」
「オリバー、ありがとう。アキラを引き留めて泣かせてくれて。そばにいてやれなかったのが悔しいが。」
「いいえ、アキラ様に笑顔が戻られて安心しました。」
「なんだ?オリバーもアキラの味方か?」
「レオン様・・・扉の前でも聞こえていました。どうしようもない事を言い募り女性として侮辱し恋人であるカイル様を貶めたのですよ?それがどれほどの事かお分かりになりませんか?」
「いや、本気で言った訳じゃないから。」
「本気で言ってなかったら何を言ってもいいと?女性を傷つけてもいいと?では、アリス様にカイル様が同じような事を言ったらどうです?」
「アリスはアキラみたいに小さくないぞ!背は高いし胸も大きいぞ?」
「では、例えばアリス様背が高すぎですね?胸も大きくて他の男性も見てますよ?誘っているのですか?レオン様は娼婦のような女性が好きなんですね?」
「オリバー!言っていい事と悪い事がある!お前はそんな風に思っていたのか!アリスは娼婦じゃない!そんな事言うな!」
「カイル様も同じように思ったでしょうね?」
「ああ・・・そう言う事か・・・。わかったよ。俺が悪かった。ちゃんと謝るよ。酷い事を言って悪かったな、カイル。」
「本当に反省したならいい。俺はまだ身内だからな。ただ、謝ってもアキラの中での評価は低いだろうな。オリバーの方が上だ。」
「それは嬉しいですね。ですがレオン様、今のはカイル様の気持ちが分かっただけでアキラ様の気持ちはわかりませんからね?アリス様が先程のような事を言われたら、どれほど傷つき泣かれるか想像して下さい。」
「う、うむ。そうだな、二度と会いたくないと思うだろうな。ん?俺は会いたくないと思われているのか・・・」
「当たり前だろう?話があると言われても会わずに帰ろうと思った。でも避けてばかりはいられないから会うと、ただまた何を言われるかわからなくて怖いからそばにいてほしいって言われたんだ。姉上達も心配だからってついてきてくれたんだぞ?酷い事を言われると思っているからアキラは兄上を頼らずにオリバーを頼るだろうな。」
「なぜそう言い切れるんだ?オリバーより俺の方が頼りになるはずだ!」
「なぜ?アキラが自分の出自をオリバーにも知っていてほしいと思ったからだろう?それだけ信じているって事だ。」
「くそっ、俺がお兄様で頼られるはずだったのに・・・」
「自業自得だな。それより、あの野郎は護衛から外してくれ!大体護衛なんて必要ないんだよ。ったく。」
「ああ、確認してから他にまわす。すまなかった。」
「アキラが戻ってきたら帰るから。」
「泊まって行けばいいだろう?」
「いや、アキラは明日仕事だからな。帰るよ。」




