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「俺達は帰るから会わないよ。帰ろう、アキラ。」
私もこれ以上酷い事を言われたくありません。傷つきたくないです。
でもこの先カイルさんと一緒にいるなら、きちんと向き合わないといけないと思う。
「あの、あなたといるならいずれきちんと話さないといけないと思うの。でも、私1人だと何を言われるか怖いから一緒にいてほしい。」
「あんな酷い事を言われたのに許すのか?」
「許すとか許さないとかじゃなく、ずっとこのまま顔を合わせないって事はできないでしょう?あなたのお兄さんだもの。話てもわかってもらえないなら、その時は会わないようにすればいいと思うの。」
「えらいわ!アキラ、安心しなさい。私も一緒にいるわ!また酷い事を言ったら、私がとっちめてやるわよ!」
「私もいますわ!アキラ、みんなあなたの味方よ。」
「ありがとうございます。」
「ったく、仕方ないなぁ。俺の出番がないじゃないか。ちゃんとそばにいるから安心しろ。」
「うん。」
「じゃあ行くか?案内してくれ。」
「こちらへ。」
案内されたのは、さっきとは別の部屋でした。
カイルさんは、ずっと手を繋いでくれてます。
部屋へ入ると、
「なぜアリスやフローラまでくるんだ?カイルとアキラに話があるのに。」
ビックリしてるレオンさん。
「レオン様?あなたがアキラに酷い事を言ったって、泣かせたって知ってるからよ?また同じ事を繰り返すんじゃないかと心配で・・・」
「そうよ。カイルをバカにしたクズと同じ、いいえクズ以下になってたなんて知らなかったわ?言動に気をつけて話す事ね!」
「泣かせてないぞ!アキラは泣いていなかった。酷い事を言ってしまったが、2人の気持ちを確かめたかったんだ。別に本当に思ってるわけじゃないぞ?まぁ、小さいとは思うが。」
「ほら、それよ!悪いと思ってないでしょう?兄様の前で泣かなくても、その後泣いてるのよ!酷い事言われて泣かない人なんていないわよ?カイルがされてた事忘れた訳じゃないでしょう?本人達の気持ちをどうして兄様が確かめるのよっ!本当にクズ以下ね。」
「泣いたのか?」
聞かれても困る。
無言でいると、オリバーさんが
「アキラ様、遅くなりましたがこちらで目を冷やして下さいね。」
と濡れたハンカチを渡してきます。
「ありがとうございます。」
受け取って瞼の上に乗せる。
「アキラ、危ないから座ってからにしろ。」
そっか、そうだね。勝手に座っていいのかな?
「いつまでも立たせておく方がおかしいんだ。」
顔に出てたかな?
「大丈夫か?もっと俺を頼ってくれていいんだぞ?」
「頼ってるよ?あなたがいてくれるだけで安心してるの。さっきも心強かったし今も・・・それに、オリバーさんの言葉が、心遣いが嬉しくて・・・あの部屋にいたメイドさんや料理人さんも気遣ってくれたみたい。傷ついたけどアリス様やフローラ様が歓迎してくれた。あなたは素敵な人達に囲まれているんだなぁってわかって嬉しかった。」
「そうか。ありがたい事だな。オリバー、他の者達にも感謝を伝えておいてくれ。」
「かしこまりました。」
「んもぅ、そこはお姉様と呼んでくれなきゃ!フローラ様だなんて他人行儀なんだから。お姉様よ!」
「あら、私もよ?アリス姉様と呼んでくれなきゃ嫌よ。お願い、アキラ。アリス姉様と呼んで?」
「えっ?でも、私、あのっ・・ど、どうしたらいいの?」
カイルさんは
「呼んだらいい。」
と言う。
もう。
ハンカチを乗せてるから顔が見えないけど、
「ううぅ。本当に呼んでいいんですか?お姉様とアリス姉様?」
「きゃーー。可愛いー。カイル、よくやったわ!」
またギュウギュウされてカイルさんが慌てて
「だから、アキラから離れて!姉上!離れて!アキラ、大丈夫か?」
「ん、大丈夫よ。」
ハンカチが落ちてしまいました。
「あーー。俺を忘れていないか?」




