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カイルが街を発って、数ヶ月・・・
フィーナちゃんもメルちゃんも結婚して、幸せそうだ。
アキラの毎日も変わらない。
いや、ここのところ毎日仕事終わりに森に行き、稲の収穫をしている。
あまり多く持って帰れないから、少しずつだけど。
持って帰った稲を乾かしている状態だけど、脱穀するのに悩んでいる。センバコキとかないし、作れない。ならば、手作業でとなると、どの位かかるか・・・
気が遠くなるが、これもお米を食べる為!
ネットで見つけた茶碗を使った脱穀をする事に決めた。毎日少しずつ脱穀し、すり鉢で籾摺りしていく。ようやく、全部終わり後は精米するだけ。するだけといっても、根気がいるようだ。
お米を食べるんだ!と気合いをいれて、瓶に入れて、すりこぎでついていく。
お米お米お米・・・呪文のように呟きながらついていく。
手も疲れてくるが、音楽をかけ、歌を口ずさんで気を紛らわしながら、精米していく。
綺麗な白米にはなってないが精米できた。
やったー!これでお米が食べられる!お米にたどり着くまで長かった。明日、久しぶりのご飯を食べよう!おかずは、何がいいかな?うふふ〜ん!
翌日、仕事終わりに、肉と野菜を買って家に帰る。ドアを開けて、中に入ろうとしたら
「お帰り、アキラ。」
声をかけられ、振り向くと
「・・・はっ?」
ビックリぼーぜん、固まってしまった。
「アキラ?大丈夫か?アキラ?」
「ええーー!な・・なんで?」
「ほかの街もまわり終わったんだ。それで、何個か見つけたんだけど、料理に使えるらしいから、アキラに聞こうと思って。」
ニッコリ笑っているカイルさん。
その後ろから、
「何言ってるんです?アキラ様に会いたかったと素直に言えばいいでしょう?」
ノアさんが立ってます。
「ノアさん!」
「お久しぶりです、アキラ様。お元気そうでよかった。」
「はい、お2人もお元気そうでよかったです。ご一緒だったんですね?」
「護衛がバレたので、荷物持ちですよ。はい、これ。カイル様に聞いて下さいね。」
荷物をカイルさんに渡しながら、ボソボソ話してます。
「いつまでも情けないままだと、レオン様がきますからね?ビシッと、お願いしますよ!」
「・・・頑張る。」
「あの、中にどうぞ?」
「いえ、私はこれで失礼します。」
ノアさんが去っていきます。
「靴脱いで下さいね。」
キッチンで、お湯を沸かしてる間に、お米を研いで水に浸しておきます。
お茶を淹れて戻ります。
「どうぞ。」
「ありがとう。」
一口飲んで、フゥーーーと大きく息をついています。
「他の街は、どうだったんですか?」
テーブルの上に、見つけたものを出しながら、
「どこも、そんなにかわらないな。ただ、街から離れた村で、見つけたんだ。その村で、昔から作られているらしい。スープに溶かして飲むらしいんだが・・・」
小さな甕みたいな入れ物を、渡してきます。
蓋をあけて、中を見ると味噌です!
「ぅわぁー!味噌!味噌ですね?あぁ、味噌汁が飲めるぅー。」
嬉しくてたまりません。
「やっぱり、アキラにはわかるのかー。じゃあ、これもわかるか?」
と瓶を指します。
黒っぽくみえるそれは、もしかして・・お醤油ーーー!いやっほーーーい!
「醤油ですよ!ああ、これで・・・これで食べられるぅ。あの、これ使っていいですか?料理作ります!」
「あぁ。」
私の喜びように、若干引いてるようだけど、構わない。
探しても見つからなかった醤油と味噌が目の前に!
お肉をミンチにするのは、手間だけど、醤油がないからハンバーグにしようと思ってたのに・・・
生姜焼きにしよう!
あぁ、味噌汁をつくるには、出汁が・・・ガックリ・・味噌がないから、鰹節とか探してなかったよー。
ほかに出されたものをみると、果物、どんぐり、椎の実など・・その中に乾いた小魚発見!
「これは?」
「あぁ、それは、行商人が置いていったらしいんだか、食べるには固いし、何に使うかわからないから困ってたらしいんだ。」
ふむ。少し食べてみます。
いりこより少し大きく、味はしっかりするので、出汁で使えるかも?
早速作りましょう!
「待ってて下さいね!作ってきます!」
ご飯のスイッチを入れて、小魚で出汁をとり、味噌汁を作る。
お肉を薄くスライスしていき、生姜焼きを作っていく。
あとは、サラダで出来上がり!
「お待たせしました。」
料理を運んでいきます。
「さっきのを使ったのか?これは?」
ご飯を初めてみるのかな?
「覚えてません?泉の側でみつけたでしょう?
あの小さな実がついていたものですよ。」
「あれが、こんな風に食べれるようになるのか⁈」
「冷めないうちに食べましょう?」
「うまいなぁ。」
あっ梅干しも出しましょう。
「これ、泉の帰りにとってもらった実を加工したものです。」
「どれ?〜〜っ。」
「酸っぱいですか?無理しなくていいですよー。」
「村で飲んだスープより、うまい!」
味噌汁も生姜焼きも気に入ったようですね。
満足そうです。
後片付けをして、お茶をもっていきます。
「ありがとう、アキラ。」
「いえ、こちらこそありがとうございます。」
「うまく使えば、特産品になるか?」
「うーん、特産品というか、名物料理みたいにしたらいいんじゃないかなぁ。」
「名物料理?」
「そう。ここチェスター領でしか食べれない味として売り出せば、食べにくるんじゃないかなぁ?」
「なるほど。そうだな。兄上に言ってみよう。」
お茶を一口飲んでから、
「アキラ、俺の気持ちはかわってない。俺が、アキラを守りたいし、そばにいて欲しい。」
!っ〜ううぅ〜
真剣な顔で私を見ているカイルさん。
恥ずかしいけど、嬉しい。
嬉しいけど、恥ずかしい。
顔が熱い。赤くなっているだろう顔を手で隠します。
「アキラ?泣くほど嫌か?」
フルフルと首を振ります。
真剣に気持ちを伝えてくれたカイルさんに、私も覚悟を決めます。




