1
「ありがとうごさいましたー。また、お越し下さいねー。」
お客様がいなくなったので、マーサさんが、
「アキラ、お昼食べよう。」
声をかけてくれました。
「そうですね。お客様がいないうちに、食べましょうか。」
マーサさんのご主人のザックさんと3人で食べます。
「マーサさん、体調どうですか?」
マーサさんは、今妊娠してるので、私が雇ってもらえたのです。
夫婦2人でやってるパン屋さん。
雇ってもらえて助かりました。
「大丈夫よ、元気にお腹蹴ってるわよー。いつ産まれてもいいわ。」
「楽しみですね。」
食べ終わったら、焼きあがったパンを並べたり、接客したりします。
夕方には、お店を閉めます。
「じゃあ、帰りますね。お疲れ様でした。」
「気をつけて帰ってね。」
「はーい。また、明日。」
家に帰って、食事とお風呂を済ませたら、パソコンで調べものをしてから、寝ます。
私、美月 晶。
高校を卒業して、大学の近くにある、亡き祖母の家に引っ越して一人暮らしをするはずだったのに・・・
引っ越しが終わって、食材やら色々買って帰り、バイトも探さなきゃとネットで調べたりしながら、疲れてたからか、早々に寝てしまった。
翌日、食事して、掃除・洗濯が終わって、足りない物を買いに行こうと、ドアを開けたら、景色がかわっていた。
どこかわからないけど、多分街外れ?隣の家まで離れてるけど、少し歩くと人も多いし、お店など色々ある。
おばあちゃんの家は外観がかわって、街に溶け込んでる。でも、中に入ったら今までどおり、畳の部屋に居間、キッチンに、お風呂、トイレ・・・ちゃんとある。
水もガスもネットも使える。
だけど、言葉が通じるのかも、お金が使えるのかもわからない。
お金が使えなかったときのために、刺繍したハンカチやレース編みで作った花瓶敷きをトートバッグに入れて、お店を見てまわる。
見ていて思ったのは、男女問わず皆大きい。
身長が高いのだ。
男の人はムキムキマッチョマンって感じのゴツい人が多く、女の人は、身長が高いからか、可愛いっていうよりも美人さんって感じかなぁ。
買い物してる人を見ると、硬貨らしきものを払っている。お札を使ってるひとを見ないので、日本円使えないかも。
という事は、どこかで働かないと生活できないよね。
どこか雇ってくれるところあるかなぁ。
雑貨屋さんとか本屋さんがいいけど、人が足りてるみたい。
食堂は、うーん。皿洗いとかの方がいいかなぁ。
ん?いい匂い。焼きたてのパンかな?
あそこかな?
パン屋さん、聞いてみようかな?ダメだったら、他を探せばいいし、ダメモトで聞いてみよう!
カウンターに座っている女の人に
「すみませーん。いきなりで、申し訳ないんですけど、こちらで、雇ってもらえませんか?」
声をかけます。
「どうして、ウチで働きたいの?」
「働くところを探してたら、焼きたてのいい匂いがしたので。ここで働きたいと思ったのです。」
「そう。ちょっと待ってね。」
そう言って奥に入って行って、男の人を連れてきました。
男の人は、私を見て、女の人に
「任せる。」と一言だけ。
「主人のザック。私はマーサよ。明日から、お願いしていいかしら?私が妊娠して、以前のように動けないから助かるわ。」
やりました!ここで、働けます!
名前しか言わないので、私も苗字は名乗りません。
「私は、アキラです。よろしくお願いします。」嬉しくてニコニコです。
時間の確認などして、帰ります。
こうして、雇ってもらえて今日にいたります。