詩2編「せかい」「無色」
「せかい」
誰のためだろうか
厚い雲に覆われた空を
遠くに見つめる
身近でないものに重ならない
他人事の感覚
冷えた手足をあたためる
自分で触れた熱
壊したくはなかった
守られていた日常
哀しさと痛みがともにある
切り離せないと
あがいた
嘆いた
昨日のことだったのに
いつも同じ毎日が来ると
漠然と思っていた
確かなことなどなにもない
確かにするために歩く
過去にしない
悲しみだけでない温かい涙を
「無色」
君だけじゃないよ
言って欲しかった言葉
君だけを見ているよ
望んで得られなかった言葉
思い出にするものは
どうして
痛みが伴うのか
一緒に隣で見上げてくれた
空はどこに行ったのか
幻だけを追い求めたのか
返る声はない
記録を命綱にたどる
思い出は儚くて
本当だったのかさえ曖昧で
浮かんだ色と肩を並べ
目印に置いていく