表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

◇くりかえしの一日:3◆

 路地裏にぼたぼたと血がこぼれていく。

 真っ白だった白衣は赤く染まり、ウィリアムは不自然な相手の動作に困惑していた。


 戦えないとはいえ、せめて足手まといにならないように回避にはそれなりの自信がある。

 それなのに目の前の少女の攻撃は、避けているはずなのに、まるで違うところから切りつけられるのだ。

 幸いにして、彼の傷は、自分のものにかんしては致命傷でさえ癒えてしまう。

 だから天に呼ばれること以外で死ぬ確率はないに等しいが、もちろん痛みはある。


「……どうして死なない?」

 少女が怪訝そうに呟いた。

 ウィリアムはそれに困ったように笑う。


「これが私の能力だからね、もうしわけないけど」

「チッ、傷が癒えるってだけじゃないのかよ」

 それでもまだ少女は諦めていないようで、ウィリアムの心臓を狙ってナイフを構え、地面を蹴る。


 ――……。


「いい加減に、しろっつーの!」

 俺はウィリアムを庇って、ガキのナイフを受けとめた。

 やっぱりそうだ、ウィリアムは避けることにかんしては俺よりうまい、なのにこんなにずたずたになってるのを見ると……。

 たぶんウィリアムには、こいつがガキに見えてない。


「こンのクソガキ! こととしだいによっちゃあおまえ、死罪になっちまうぞ!」

 能力者だったらなにをしても助けてもらえるわけじゃない。

 危険だと判断されりゃあ殺されるだけだ。


 クソガキは俺を見るなり目つきを鋭くさせて叫ぶ。

「おまえさっきの……よくも! グレーテルを!」

「は? グレーテル? 童話かなんかの話か?」


 あ、違うのか、もしかしてさっきのスイカの話か。

 クソガキはナイフを構えなおして、にやりと笑った。


「ちょうどいいや、おまえのほうから潰してやる!」

 けど俺は、そいつのナイフを受けとめて弾き飛ばす。

 やっぱどんなにすばしっこくてもガキの腕力だ。


 ナイフをふっとばした時、一緒に帽子がふっとんで、金色の髪と紫の目が見えた。

「――なんで、まさか、やっぱりほんとうに、僕の姿が見えてるのか?」

 驚いたようすのクソガキが戸惑ってるあいだに距離をつめて、腕を掴む。


「なんでもくそもへったくれもねーんだよ! 法律に物理的な意味で頸椎折られたくなきゃおとなしくしてろ?」

 そう叫んで、俺はそのクソガキをとっつかまえたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ