良いこともある
下手ですが良かったら見てください
夢を見た、不思議な夢…化け物に追われて、不思議な女の子に出会う夢、ぼくはその女の子に…
「あなた、もう死んでるんだよ?」
とても夢とは思えない程に、鮮明に覚えているあの女の子の顔…可愛いかった…どうか正夢に…なって欲しいけどなって欲しくないな、あの化け物に会うのはごめんだ
僕は携帯電話で時間を確認する、午後17時…夕方だ、窓のカーテンを開けると外は夕日の色に染まっていた
僕はなぜこんな時間まで寝ていたのか…そんな感情を押し退けるように焦りの感情が突き抜けて出てくる
「バイト!」
遅刻だ、遅刻というレベルではない…もうやる気も起きない、新しいバイト先を探せばいいやと…僕はバイトに行くのを諦める
僕は気分転換のために外に出る、目的地は無くただ歩く…とても夕日が眩しく、綺麗だった…夕日ってこんなに綺麗だったっけ?僕は深呼吸を2、3回繰り返す、他人から見れば変な人だ
学生服を着て自転車に乗っている中学生、高校生、見ているととても心の隅がシュンとなる…とても永遠に感じられた小学校の6年間が終わった今、とても一瞬だったように感じられる
この世は残酷だ、時間は進んでも、戻ることは無い…でもいい事もある、夢であんなに可愛い子に会えたのだから…どこかで聞いたことなんだが夢に出てくる登場人物は実際にあった人物らしい、これが本当ならばあの娘に似た娘とすれちがったりしているのだろうか?
その娘とすれ違った時に思い切り息を吸い込めばよかったと、今更後悔している…この世は残酷だ
やることが無い、僕はズボンのポケットに両手を入れ、カッコつけてただ歩く、カッコよくないのに…え?僕の見た目?そうだな…地味な男だよ、そこから想像しておくれ…唯一の特徴は、眼鏡を掛けてるっていう所だ
暫く適当に歩いていると、行きつけの神社に通りかかる、そう…夢にも出てきた神社だ、とても中には入る気分にはなれなかった
人の多いところに行こう、僕はそう思い街へ向かう、向こうから散歩中の犬がこちらに向かってくる、僕は猫派なんだ
「ワンワンワン!!!」
吠えられた、しつけがなっていないな飼い主よ…怖かったぞ…僕は猫派なんだ
街へついたが、一人で街に来てもやることが無いことに今更気づく…人が多い、僕はあんまり人が好きじゃない、なぜこんな所に来てしまったんだ、僕は不思議に思ったがすぐにどうでも良くなった
甘くて美味しそうな匂いが漂ってくる、卵焼きだ…一つ買おう
「すみません、卵焼き一つ下さい」
…人混みの騒音で聞こえていないんだろう、何回も呼ぶが気付いてはもらえなかった
周りがだんだん暗くなってきた、僕は携帯電話で時間を確認する、午後20時50分…そろそろ帰るかと僕は帰路につく
人混みの中、友人とすれ違う…しばらく忙しくて会えなかった唯一の友人だ、残念だが気付いては貰えなかった…この人混みなら仕方が無いだろう、声をかけようと思ったが友人の姿はもう消えていた
自分の住んでいるアパートについた、部屋に入ると…僕は固まった、僕の部屋の真ん中で夢に出てきた女の子がちょこんと座っていたのだ
「き、君は!」
僕は感激のあまりに、駆け寄ろうとした…がなぜか体が動かなかった
「タイムリミット、迎えに来たよ」
女の子は笑顔で話し掛けてくる、やっぱり可愛い
、タイムリミットという言葉に疑問を覚える
「…タイムリミット?…まさか」
僕は夢の内容を思い出す…僕は夢の中でこの娘に、【死んでいる】と言われたのだ
「思い出した?それじゃ話は早いね、でも…」
でも…その言葉の続きに僕は驚愕した、人生で一番…世界で一番驚いた自信がある
「私ね、貴方を間違って殺しちゃったんだ…ごめん」
間違って殺した、これはどういう事なんだ…僕が今死んでるならば、それはこの娘のせいなのか
「間違たって…え?」
僕は女の子に聞き返す
「うん、人違い…でもこれがバレたら私怒られるから…死んで?」
女の子は上目遣いでお願いしてきた…こんなふざけた糞ガキに僕は当然こう言った
「いいよっ!」
え?違うだろって?仕方ないさ…可愛いかったから…君だったら…断れるかい?
「ありがとう!それじゃあ、逝こう?」
ノリでいいよなんて言ったが、やっぱり怖い、連れて逝かれるのだから
「ねぇ、ついて逝ったらどうなるの?」
僕は女の子の目をガン見しながら質問する
「天国か、地獄か、無に分けられるよ」
女の子は僕の目を見つめながら返答してくれた、嬉しい…でも死にたくない、この気持ちの方が勝っていた
「…僕やっぱり嫌だよ…地獄に行く可能性もあるんでしょ?」
女の子は首を横に振る
「貴方は無だよ、自殺者は天国にも地獄にも行かせてもらえないから…一応貴方は自殺したってことに…してるから…」
なんという事だ…地獄どころか、無だと言われた…だんだんしおらしくなるのが可愛い
「無って…なに?」
「無っていうのは、何も無いの、消滅」
この世は残酷だ…いや、あの世は残酷だ…まさかの消滅…僕が何をしたって言うんだ…嫌だ
「いやだ、僕は消滅したくない」
嫌だ、と言ってなんとかなるものだろうか?
「…なら…天使になる?…もうこれしか手はないよ…あとは悪魔に…でも悪魔は無理…」
よくわからない…が、手はあるらしい、天使になる…僕が天使に?そんな馬鹿な
「天使って、どうやって?」
女の子は僕に答える
「天使は簡単に言ったら神の下僕、神様と契約して神聖な力を宿す生命体のこと…天使になったら消滅は避けられるよ」
神の下僕…神聖な力…とても厨二病心がくすぐられる、いい響きだ…僕にもなれるのだろうか?
「僕でもなれるの?神様って…誰?」
女の子はモジモジしながら答える、可愛い
「血の契約で天使の力を宿せるの…それで…私も一応神なんだ…死神だけどさ」
血の契約、とてもいい響きだ…だがそれよりいい響きなのは、私も一応神なんだ…この娘と契約出来るのか…?そう思うと鼻がフガフガ息を漏らす
「き、君と契約できるの?」
僕のきもい質問に女の子が答えてくれる
「私でいいなら、死神の下僕でもいいなら…私と契約しよう、私の責任だしね…もしいいならだけど」
僕は歓喜した…世界で一番喜んだ自信がある、この幼女の下僕になれるのだ、しかも人外、神の…死神幼女の下僕に…
「よろしくおねがいしましゅ!!!」
僕は体の硬直が解けないまま直立で叫ぶ、これから僕はこの娘のいいなりになれるのだ
「それじゃあ…」
幼女がそういうと僕の体に自由が戻った
「こっちに来て」
僕は幼女に、ご主人様になる幼女に近づく、幼女の顔を見つめると…やっぱり可愛い
「君、ときどきキモイね」
言われてしまった、だが御褒美なんだ…ありがとう
「今から契約の儀式を始めます、簡単だから安心してね」
今から僕はこの幼女の奴隷になれるんだ…え?下僕?…下僕と奴隷の違いが僕には分からない
…そんなどうでもいいことを考えていると、女の子の目から涙が流れてきた…赤い、紅い…血の涙が…
「え、どうしたの!?」
僕は驚き心配の声をかける、そして素晴らしい一言を言われる
「飲んで」
ご主人様のご命令なんだ、従うしか…ないよね
僕は幼女の、頬を流れる血の涙に口をつける、よそから見たらただの変態だ
「…美味い!」
涙を飲み込んだ瞬間に…体の底から溢れ出るような力が…感情が溢れ出てきた
「それじゃあわたるくん…わたる、お前は今から私の下僕…私がまたこの血の涙を流す時…それはお前が死んだ時、いい?」
僕は目の前の幼女が、とても大きななにかに思えた、今までの小さい女の子とは違う、人より上の存在に…
「いい!」
僕が返答すると頭を小突かれた、凄まじいパワー、頭が割れるかと思った
「わたる、敬語」
僕の感情は一つ…最高だね
「はい!」
幼女の鋭い視線が柔らかいものに変わり、笑顔を向けてくる
「うん!宜しくねわたる!」
やっぱりこの娘は…この御方は可愛い
「宜しくお願いします…名前を聞いてもいいですか?」
僕は目の前の自分の主人の名前をまだ知らないのだ…
「名前…私には名前なんてないよ、死神ってずっと呼ばれてるからさ、好きに呼んで」
名前なんてない、これは神だから仕方の無いことなのだろうか…僕は一人で納得した
「…なら僕も死神様と呼ばせてもらいます」
死神様はまた僕に笑顔を向けてくれる、可愛い
「うん!それじゃぁまた明日、迎えに来るね」
迎えに来るね…つまりまた死神様に会えるということ…この上ない幸福だが、迎えに来るということは、どこかへ行くのだろうか
「迎えに来るとは?」
死神様はまた可愛い声で返答してくれる
「うん、一旦あの世を案内しないと、天使になったんだから」
やったね、明日はデートだ!僕は朝が待ちきれない気持を抑えて今この時を堪能する…我ながらキモい
「ならまた明日!おやすみわたる!」
僕はこんな可愛い娘に初めておやすみと言われた…いい夢が見れそうだ
「おやすみなさい、死神様」
そう言って死神様は僕の視界から姿を消した…この世は残酷だ、だが良いこともある…僕は今日…天使になった
次も投稿するつもりなので良かったら覗いてください