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死神の下僕  作者: マヨック
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この世は残酷だ

下手ですが良かったら見てください

夢を見た、とても怖い夢…闇に追いかけられる夢…人はストレスが溜まると何かに追われる夢を見るそうだ、僕はあまりにも恐ろしく飛び起きた、3月のまだ少し寒い季節だというのに汗で服はびしょびしょに濡れていた


僕はフリーターだ、中学を卒業して5年になる…高校には金が足りなくて行けなかった、そしてそのままフリーター…俗に言う負け組だ、今日も僕はバイトに向かう、なんのバイトかって?そんなのどうでもいいことさ…そうだろう?この世は残酷だ、でも良いことだってある…と信じたいね


今これを読んでくれている君、こんなものを読んでくれてるなんて優しいんだね…礼を言うよ、ありがとう…どうか最後まで読んでほしいな…僕はそろそろバイトに行くよ、時間だからね…さぁ行こう、行ってらっしゃい?なにいってるのさ、君も来るんだよ?これは僕の物語なんだから、来てくれないと意味が無いだろう?


毎日の繰り返し、僕は賃貸アパートのドアを開け外に出る、朝の日差しがうっとおしい


「…はぁ」


僕は短いため息をついて自転車に跨る、自転車で風を切るのは気持ちの良いものだ、ただしこれから労働がなければの話だが…


自転車は車道を走るべきだ、分かっているのに歩道を走ってしまう、罪の意識が薄いからだ…だけれど僕は思う、この罪は人間が決めつけたどうでもいい決まり事なのだと、人が人を裁くなど滑稽だ…君は、みんなはそうは思わないかい?人を裁くのは人以外の何者かでなければならない…と


自分で何を言ってるのか訳が分からなくなってきた…そうこうしてるうちにバイト先についてしまった、それじゃ働いてくるよ…え?君も来るって?…そうだったねごめんごめん、来ないと意味無いもんね



「おはようございます」



誰も挨拶を返してくれない、とても居たくない場所…偉そうにしやがって、どいつもこいつも…なんてね、こんな気にしてたら生きていけませんよっと



こんなの早く終わらせて帰ろう、そう思うけど時間の流れは変わらない…だがこの世は残酷だ…嫌な時間は長く感じて楽しい時間はあっという間なんだ…でも良いことだってある、どんなに嫌な時間でもいずれ終わるということだ


バイトが終わり自転車に跨り帰路につく…僕の唯一の楽しみは帰り道の途中にある小さな神社に参拝をする事だ、時間は深夜2時…俗に言う丑三つ時だ、だがそんなものは関係ない、だって幽霊見えないから




「…」




特にお願いごとなんてない、ただ手を合わせるだけ…言うことがあるとしたら



「いつもお疲れ様です」



こんな感じだ…神様だって疲れているかもしれないからね、さぁ帰って休もうかな…明日もバイトがあるしね




夢を見た、とても恐ろしい夢…闇を纏った何かが追ってくる夢…僕は飛び起きた…汗は…出ていなかった…汗が出る余裕なんて無かったんだ…全身が寒い



「僕は死ぬのか…?」



僕は直感でそう感じた、突然の寒気、謎の悪寒…だが暫くしてそれは突然消えてなくなった


「…なんだったんだ」


僕は最近悪夢を見る、闇に追われる夢だ…気のせいだとは思うがその夢を見る度に闇が近づいている気がする、気のせいだと信じたい


僕はハッとし携帯電話で時間を確認する


「…遅刻だ」


この世は残酷だ、悪夢にうなされた上にバイトに遅刻、不幸の二連続だ…だが良いことだってある、明日は休日だ


「おはようございます」


相変わらず愛想の無い場所だ、こんな所は早く出たいと何度も思うが唯一の収入源がここなのだ…我慢するしかない、今を頑張れば休みが待っているのだから我慢出来る、そう自分に言い聞かせる



「小松君」



僕は名前を呼ばれ振り返る、僕の名前?あぁ、小松っていうんだ、【小松 亘】読める?こまつ、わたる…もっとかっこいい名前?そう言うなよ、こんなもんさ


「はい、なんですか?」



僕は全力の作り笑いで店長へ返答する



「明日、出勤してくれない?どうせ暇でしょ」



…しつこいようだがこの世は残酷だ…明日の休みが無くなった、お亡くなりになられた…断ることももちろん出来るが僕は優しいから喜んでお受けするしかないのだ


「分かりました」


どうか、良いことだってあると信じたいね



バイトが終わりいつもの通り神社で参拝…やっぱり丑三つ時、だが気にはしない…僕には幽霊が見えないから


僕は家に帰り、入浴し食事を済ませ寝床につく


「…ふぅ」


寝るのが怖く感じる、今日はどうか…いい夢でありますように




夢を見た、考えたくもない…目を背けたくなる夢…本当に夢だったのだろうか、闇に足を掴まれたのだ…掴まれた瞬間に目が覚めた、飛び起きた、捕まってはいけない何かに捕まった気がする…次第に頭が冴えてくる、そして気付く



なにかいる



静かな部屋、でも異様な部屋…いつもと違う、明らかに異様な気配…僕は恐怖心でその場から動けなかった…あたりを見回すが何もいない、気のせいかとほっと一息ついて上を見上げて…息が出来なくなった、恐怖心のせいだ


「くぽぽぽぅ…ぽっ…ぽぅ…」


謎の何かが…変な鳴き声をあげ僕の真上、天井に張り付いてこちらを見ていたのだ


「…っ!!!?」


動いたら殺られる、そう感じた…殺られるならまだいい、連れていかれる感じがした、どこかへ連れて行かれる気がした



「ぽっぽぅ…ぽ…」



埒が明かない、ここから逃げなければ…でもどこへ?僕は何故かこう思った…あの神社へ逃げ込もう、でも逃げられるのか?こいつから、この化け物から…そう僕は思ったが逃げる他手段がなかった



「…っ!!!」



僕は玄関へ全力で走る、我ながら凄い顔だったと思う



ガチャガチャ…バタンッ!!!



勢いよく部屋を飛び出し走る、自転車に乗る余裕などなかった



「はぁ…はぁっ…!!!」



どれほどたったのだろうか?僕にはあっという間だった、鳥居を潜り賽銭箱の前でへたり込む


ここならあの化け物も入ってこれない、そんな気がした…この世は残酷だ、良いことがあるどころかあんな化け物が部屋に出るなんて…最悪だ…もはや言葉では説明出来ない、あれは一体なんなんだ?


暫く時間が経ったと思う、そう感じた…だが恐らく僕が神社について1、2分ほどしか経っていないだろう…この短い時間が永遠のように永く感じた…


「ぽっぽ…ぷぽ…」


本当にしつこいだろうが、この世は残酷だ…化け物が鳥居の外からこちらを覗いているのだ、僕はその場から動けなかった、ついてきたのか?色々考えたと思うがすぐにどうでも良くなった




あいつが鳥居を潜って入って来たのだ


「…っ!?」


僕はいつの間にかこの中に入れば安全だと勘違いしていた…何故かあいつはこの中に入ってこれないと思っていた


「…なぁ、お前はなんなんだ?」


人間死ぬようなピンチに陥るととんでもない行動に出ることが出来る…僕はあいつに話しかけたんだ、当然言葉が通じるはずもなく、ゆっくりと僕に近付いてきた…恐怖心で今まで直視出来なかったがここにきてようやく体全体を見ることが出来た


「…きもっ!!!」


絶体絶命の危機的状況だというのに僕は、きもっ!というお気楽な言葉を発してしまった、それ程までにあいつはキモかったんだ…なんで手が左右3本ずつ生えてるんだ?何で足が4本ずつ生えてるんだ?…なんで這いつくばって移動しているんだ…?



そう考えているうちに僕はあいつに足を掴まれてしまった、もうダメだ、死んだ…そう思って目を閉じた



「きもっ!…しょうがないなぁ」


目を閉じている時に聞こえてきた幼く可愛い声…これはあの化け物の声なのか?僕は目を開けた


「…えっ!?」


目の前には黒いワンピースを着て黒いボロボロの翼の生えた女の子、8歳くらいの可愛い女の子が立っていた


「…!危ない!逃げて!!」


あの娘が危ない、僕はあの娘に逃げろと叫ぶ


「うるさいよ、危ないのは君でしょ?じっとしてなさい」


女の子はとても見た目とは似つかない話し方で返答してきた、この娘はなんだ?普通じゃない、まずなんで羽が生えてるんだ、色々驚いたがそれよりも驚いたことがある、女の子が化け物に手をかざしただけなのに、何もしていないのに化け物の体中から血が吹き出した


「…えっ…うわぁぁぁあ!!!」


思わず恐怖で叫んでしまった


「よし終わり、大丈夫?君」


女の子が僕に話し掛けてくる、大丈夫?それは僕の台詞だ…何でこんなに小さな子から心配されているんだ?この娘は僕を助けてくれたのか?駄目だ、頭が回らない、追いつかない


「聞いてる?迎えに来たよん、逝こう?」


行く?行くってどこに?


「行くって…どこに?」


女の子はとても可愛い笑顔をこちらに向けて言う


「あの世!」




この世は残酷だ…が良いことだってある、目の前の可愛い女の子と冗談を言い合えることだ、君も可愛いと思うだろう?あの娘…え?見えない?なら…想像してくれ…黒いヒラヒラのワンピース…黒いショートヘア…紅い目…黒い靴…古びた黒い翼…大体想像できたかい?…説明が下手だって?ごめんね、これが限界さ…絵でも付いたら良いんだけどね、なんつって



「君の名前は?お父さんとお母さんは?」


僕はさっきの化け物のことなど忘れて目の前の幼女に集中する…男はみんなロリコンなのさ



「何言ってんのお兄さん、まさか気づいてない?」


気づいてない…なにに?僕は女の子の言葉に疑問を抱く、まさか…僕になにかイタズラをしたな?


「気づいてないって、なにに?」



女の子の目が冷たい眼差しに変わる、今にも体が凍り付きそうな、冷たい眼差し


「あなた、もう死んでるんだよ?」


またまた…最近の子はこんな事を平気で言うのか、まぁ可愛いから許せるけど…最近の子は翼まで生えてるのか?進んでるな…僕が…死んだ?


「僕が死んだって?証拠は?」


女の子は唇の横に右手の人差し指を立て笑顔で返答してくる、可愛い


「最近何かに追われる夢見なかった?」


追われる夢…闇に追いかけられる夢…僕はすぐに分かった、あの夢のことだ


「…見た、なんで知ってるの?」


少女はこちらに再び笑顔を向ける、やっぱり可愛い


「あれは説明が難しいんだけど簡単に言うと、死なんだよ」



【死】



あの闇は死…?何故だろう、この娘の言うことが信じられる…僕はあの闇に足を掴まれたんだ…死に…捕まった


「井上…亘くんだったっけ?分かってくれたかな」


なんでこの娘は僕の名前を知っているんだ


「なんで名前知ってるの?」


少女の目が赤く光り僕の目と合わせてくる、ちょっとドキッとした、可愛い


「私は死神だから、連れていく相手の事ぐらい知っとかないとね、少しだけ時間をあげる…今日の21時、また迎えに来るね」


女の子はそう言い僕の視線から姿を消した


次も投稿するつもりなので良かったら覗いてください

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