6 珍種妖精、ゴブリンの巣を殲滅する
ふー、エラい目にあった。
まぁオレもマズったけどさ、魔法使うのなんて初めてなんだからしょうがないじゃん。
ちょっとだけやり過ぎた感はあったけど、森だって元に戻したのに。
まぁ、いいや。
魔法の使い方も分かったし。
発動にはイメージが大切なんだ、イメージがな。
その辺は、生前にファンタジー系のラノベやネット小説を読みまくってたから大丈夫。
それより、早くこの森を抜けて人の街に行かないと。
オレは普通の妖精と違って魔素を糧に生きているわけじゃなさそうだしな。
普通に腹減るし、喉も乾くし。
食べ物を食べないと生きていけないタイプのようだ。
そうなると、このオレの体では肉を捌いたり料理をしたりってのは無理そうだし、何にしろ美味い物は人の街にあるはず。
まずは人の街へレッツゴーだ。
□■□
人の街を目指して森の中をフヨフヨ飛んでいると、ゲヒゲヒと何とも汚い声が聞こえてきた。
声のする方を見ると、小汚い緑色の小人の集団がいた。
「あれ、ゴブリンだよな。」
ファンタジー小説等でお馴染みのゴブリンである。
見つからないように様子を窺っていると、普通のゴブリンの倍くらいの大きさのゴブリンが数体いてそのうちの2体が革鎧を着た冒険者風の女を担いでいた。
ゲッ……何やってんだアイツ等。
そっとゴブリンの集団の後をついていくと、ゴブリンたちは森の奥深くにある洞窟の中に消えていった。
これって、マズいよな。
あの女冒険者は2人とも気を失っているみたいだった。
このままだと確実にゴブリンの餌食になるよな。
小汚いゴブリンに犯されて、孕まされて……。
いかんッ、いかんぞこれはッ。
あの女性たちを助けねばッ。
オレは慌てて洞窟の中に飛んで行った。
洞窟の奥の方へ行くと、早速とばかりにデカいゴブリンが攫ってきた女冒険者に覆い被さろうとしていた。
「ストーンバレット!」
オレはすかさずストーンバレットを無数に飛ばした。
うようよいたゴブリンの3分の1くらいがバタンと倒れた。
「ゲヒャッ? グゲヒャゲヒャ!!」
集団にいたデカいゴブリンより更に一回り大きくしたゴブリンが他のゴブリンに指示を出した。
洞窟にいたゴブリンが短剣やらこん棒をもって一斉にオレに襲い掛かる。
オレはそれに向かって再び魔法を放った。
「ストーンバレットッ! ストーンバレットッ!! ストーンバレットッ!!!」
ストーンバレット3連チャン。
オレの放ったストーンバレットが確実にゴブリンの数を減らしていく。
「ゲヒャ―ッ! ゲヒャ、ゲヒャグヒャーッ!!」
仲間のゴブリンを減らされて怒ったのか、一番大きなゴブリンが何か叫んでいた。
その叫び声を聞いた女冒険者2人が飛び起きた。
「な、何だッ?!」
「何があったの?!」
散乱しているゴブリンの死体と、飛んでいるオレの先にいるゴブリン共を見て、女冒険者二人とも絶句した。
「おい、あんたたちゴブリンに攫われたの覚えてるか?」
オレが話しかけると、「な、よ、妖精?」とか言ってびっくりしている。
今そこは置いておけ。
「あんたたちがゴブリンに攫われて、この洞窟に連れ込まれるのを見て助けに入ったんだ」
「あいつら始末するまでもう少し大人しくしててくれ」
オレがそう言うと女冒険者の1人が焦ったように叫んだ。
「無理よッ! あそこにいるのはゴブリンジェネラルよッ!」
ああ、あの一番大きいゴブリンはゴブリンジェネラルっていうのか。
しかーし、
「大丈~夫。問題ナッシングだ。オレの力を信じなさい」
さて、ゴブリン共を始末しますか。
「ストーンバレットッ! ストーンバレットッ!! ストーンバレットッ!!!」
オレはまたもストーンバレット3連チャンを打ち込んだ。
「ゲヒャ……」
ゴブリンジェネラルだけふらふらになりながらもかろうじて生き残っていた。
「チッ、しぶといなー。なら、これだ。アースニードル!」
地面から突き出したアースニードルにゴブリンジェネラルは串刺しになって息絶えた。
「ふぃ~終わった」
一仕事終わって後ろを振り返ると、女冒険者2人が口をポカーンと開けて唖然としていた。
うん、それは乙女が見せちゃいけない顔だぞ。