異説鬼退治Ⅲ⑦
残っていたのは荒地でした。
桃太郎の家は炎に飲まれてなくなりました。
太陽は沈み、夜が訪れてもまだ戦いは続きました。
そして日付が変わる頃に
「……ガガガ……ばってりー残量……ぜろ……」
ロボお爺さんとロボお婆さんは同時にそんなことをのたまって、動かなくなりました。
「ふむ、ここらで実験はお終いじゃ! さらばじゃ!」
ロボを回収した虎山先生は満足げに笑って、その場を去ろうとしました。どこにそんな力があるのか、二体のロボを担いでいます。
「ちょっと待てィ!」
桃太郎は刀を抜いて 虎山先生を呼び止めます。
「猥褻物陳列罪で損害賠償を要求する!」
犬のダイゴロウとキジのポアロも臨戦態勢です。というか、怒りの向け所がここしかありません。やつあたりじゃありませんよ多分。
「実験は成功! 良いではないか、良いではないか!」
「良いわけあるか! 僕の家が一日で木端微塵になったじゃないですか!」
その元凶(の大半)であるジジババは空中で激闘を続けています。
「良い! 実験の成果に比べれば微々たるものじゃ!」
ちょうどジジババの空中戦が終わり、勝敗がついたようです。エロ本を片手に勝ち誇っていたのはお爺さんでした。お爺さんは黒焦げになって気絶しているホームズの背中に乗っかり、勝鬨をあげています。
その台詞が
『ロリロリツインにチュッチュするべさ!』
でなければ恰好よかったのですが、これではただの変態です。まあもはや常識ですが。
「虎山先生! うちは、あの変態ジジイと爆裂ババアの残した借金があるんですよ? それを利子つきで返さないとダメなんですよ? その計画を分子レベルに分解して崩壊させたことについて謝罪と賠償を要求する!」
桃太郎、キレています。
いや、誰だってこんなことが起きればキレたくなります。
その桃太郎の横をお爺さんが通り過ぎていきました。
そして、お爺さんは一枚の紙切れを虎山先生に示します。
それを見た虎山先生の表情が変わりました。
「お、お前さんが……このワシのクライアントであったか」
お爺さんはまじめな表情になって、一度だけ頷きます。
そして、この数秒後。
さらなる事実が桃太郎を襲うことを、本人は予想していませんでした。
こんばんは、jokerです。
最近は予約掲載にしています。
いや、理由はありません。多分。
さて、そろそろ異説鬼退治Ⅲも佳境です。第四作目、異説鬼退治Ⅳ~老人ホーム激闘編~を作り始めています。どこまでやるんだこのバカシリーズ。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……