異説鬼退治Ⅲ⑩
「ぬぁにぃ?」
「何じゃと?」
お爺さんとお婆さんは驚きの表情で叫びました。
ここは老人ホーム『鬼が島』。鬼が島㈱が運営する特殊老人ホームです。
お爺さんとお婆さんはその一室に幽閉されています。
「嘘偽りではないぞ。お主たちはここで勝ち抜いていかねばならぬ。そうでなくては借金返済なぞ出来ぬからな」
磔にされているジジババの目の前で正座している鬼が島㈱の社長、鬼が島権兵衛は厳かに言いました。
「むろん、ここで生き抜ければの話だがな……」
意味深な発言です。
ここはサバイバル訓練所か何かでしょうか。
「再度言うぞ。お主たちには”世界ジジババ最凶決定戦”に出場してもらう。そして優勝した暁には、借金をワシの名において返済しよう」
お爺さんとお婆さんはじっくり考えるはずもありません。
「うむ! それにオプションをつけてくれんかの?」
とお爺さんは厚かましくも提案します。
「何だ?」
「ロリロリツインな娘を一人貰い受けたいのじゃ。スクール水着とブルマのセットでの。ああ、教育的指導はワシがするので……」
「却下」
「何故じゃ」
「そんな要求が出来る立場だと思っているのか? 桃太郎に通報して狩猟してもらっても良いのだぞ?」
キレた桃太郎は到底抑え込めないとお爺さんはよく知っています。滅多にないのですが。
「うぬう、仕方ないのう。ジェントルマンの鑑たるワシは我慢しようではないか」
「他に何か質問は?」
鬼が島権兵衛の問いへの答えは沈黙でした。
「うむ、ならば精々頑張るが良い。桃太郎のためにもな」
年の明ける頃、世界ジジババ最凶決定戦が始まります。
それは至高のジジババを決める神聖な戦いのはずもなく、あらゆる野望と欲望を抱いたジジババによるジジババのための割と最低な戦いです。
時間は静かに流れていきました。
そして、お爺さんとお婆さんは知ることになります。
老人ホームでの生活がこれほど刺激的で危険と隣り合わせであることを。
(了)
こんばんは、jokerです。
これにて異説鬼退治Ⅲは終了です。
元々この話は次にバカをする異説鬼退治Ⅳ~老人ホーム激闘編~への橋渡しのストーリーとして考えたものです(思考時間2分)。
次は鬼退治史上最高のバカをやります。
読者の皆様、お読みいただきありがとうございました。
というわけで、次回作でお会いできることを祈りつつ……




