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手折れ、六道に至りしその徒花を【第九話】




 沼地が叫ぶ。

「滅殺だ、ボゲェ!」

 別荘の寝室で、江川と蔵原が同性愛行為にふけっていたのを発見し、叫んだのだ。

「ななななななな、なんだね、キミタチは!」

 デリンジャーの短い銃身を構える沼地は、間髪入れず、ためらわず、狙いも正確に、豆電球だけの暗い寝室で江川の脳天を撃ち抜いた。

 死体になった江川が血を吹き転がる。

「ひひひひ、ひいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!」

 乱れたバスローブを直そうともせず、四つん這いになって逃げようと試みる蔵原。

「次は僕の番ですね」

 孤島が銃を構える。

 孤島が狙いを定め、デリンジャーを撃とうとするその刹那。

 孤島とは違う方向から発砲音がこだました。

 蔵原も、その発砲によって絶命した。

 吹き出す血と脳漿。

「なっ?」

 孤島が振り向くと、孤島より後方にいた琢磨小路だった。

「琢磨小路! おまえが、撃ったのか…………?」

 琢磨小路は泣き顔だ。

「孤島、ダメだべ、君が殺しちゃ。まだ、ここで終わる人間じゃないよ、孤島は。もっと強大な敵を一殺するのが、孤島のすることだべ! お、お、おでは、ここで死んでも構わないから、だから、だからね、だからさ、孤島。井上先生と仲良くして、でででで、で、さ。御国を、万事よろしく頼むよ」

 琢磨小路は膝が震えて、その場にぺたんと座り込んでしまった。


 そこに、低く響く男性の声がする。

 暗い部屋にいる僕らの、さらに後ろの方から。

 奈落への蟻地獄から僕を救う、その声が。

「あー、あー、あー、言わんこっちゃない。そう思わないかい、山茶花?」

 僕に向けての声だ。よく知ってる声。

 僕は振り向いた。

 この声の主は。

「猫魔!」

「ふぅ。どうやら乗り遅れてしまったようだね。巨悪対談は破綻。あとはこのカルト集団の処理だね」

 逆なでするような猫魔の口調に沼地が激高する。

「誰じゃてめぇッ」

「おれかい?」

 くっくっく、と乾いた笑いをしてから、探偵は言う。

「すべては相対論でしかないのかもな。〈正義〉の在処なんて、探したって無駄だ。でもさ、運命を正当に非難出来る者なんてどこにもいないさ」

 探偵は、いつだって幕引きに登場する。

 僕は息を呑んだ。

 敵は、いつまで経っても倒せなかった怪人の首を軽く刎ねるような奴だぞ、猫魔。

 僕は焦るが、本人は至って普通に名乗る。

「おれは破魔矢式猫魔。百瀬探偵結社の魔女の飼い猫、……つまり探偵さ」





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