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庚申御遊の宴【解題】





 ふははははあぁー、と事務所で高笑いをするのは、百瀬探偵結社の〈魔女〉である、百瀬珠総長だ。

 珠総長はご機嫌そうに、腰に手を当て瓶の珈琲牛乳を飲む。

 背が高くなりたい総長は、朝、シャワーを浴びたあと、よく珈琲牛乳を飲む。


 事務机で表計算ソフトをカチカチ打っていた事務員の枢木くるるちゃんが僕に、

「山茶花ぁー、総長とうちと猫魔お兄ちゃんの分の甘酒買うか作るかしてよぉー」

 と、ふてくされながら言う。

「なんでそんなにふてくされた顔をしてるかなぁ、くるるちゃん」

「うちも参加したかったわぁー、温泉卓球!」


「いや、温泉卓球をしに行ったわけじゃないんだけどね? それに、今は甘酒の季節じゃないんで、つくりません」

「今は冷製甘酒ってのもあるんよぉ。知らないの、山茶花ぁ?」

「知りません。つくらないよ、そんな邪道な甘酒は」

「邪道じゃないもんっ」

 ぷい、っとそっぽを向く、くるるちゃん。



 自分の椅子に座った百瀬珠総長が、腕を組みながら、足を机の上に載せて、

「ふふーん。我が輩、プレコグ能力者だから、なにかが起こってそれがお金に変換できるの、わかっていたんじゃもんねー!」

 と、高笑いをやめない。




 高笑いの中、事務所の奥の自室からあくびをしてやってくるのは、破魔矢式猫魔だ。

「……おはよう」

「ローテンションじゃのぅ、〈迷い猫〉よ!」

「やめてくださいよ珠総長。その言い方はないよ。まあ、おれが迷い猫なのは本当だけどさ」



 僕は辺りを見回す。

「あれ? ふぐりはどうしたの」

 僕がくるるちゃんに訊くと、

「ふぐりちゃんはねぇ、女子高生なんよぉ。うちも同じく女子高生。学校に行くのは当然やよぉ。うちも用意せんとぉ」

 と、言う。


 そうだった。僕も今日の準備をしなくちゃ。


 ……青面金剛しょうめんこんごうが〈アマンジャク〉を踏み潰している図、か。

 今回の事件、一体誰が〈アマンジャク〉だったんだろうな。



 日常に戻った僕たちは、各自頭を切り替えて、次に進む。

 なぜならここは探偵結社で、僕らは探偵だからだ。




〈了〉


参考文献:夏井芳徳『ぢゃんがらの夏』

  

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