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庚申御遊の宴【第六話】





 隣の県。湯の元温泉と呼ばれるところの、あえて選んだひなびた温泉宿に、小鳥遊ふぐりは、いた。

 金髪ロングの髪を大きなリボンで束ね、黒い眼帯をつけている、厨二姫スタイルの女性。

 それは小鳥遊ふぐりに間違いなかった。



 スマホで連絡を取る。到着すると、温泉宿の卓球台に、浴衣姿で壁打ち卓球をしているふぐりはキャーキャー一人で騒いでいるのであった。


「なにやってんの、ふぐり……」

 キャーキャー言ってるものだから、そう声をかけてしまった。

「あたしは昨日の夜、ピンポンの映画を観たのよ。そしたら温泉卓球魂が芽生えてきてねー! これが冷静になれますかって!」

「ピンポンの映画? ああ、イケメン俳優たちが温泉卓球やる映画だっけ」

「ほら、ラケット持ちなさい、萩月山茶花! 勝負よ!」

「仕事は進んでるの、ふぐり?」

「きぃー! なによ、山茶花! 進んでるわよ! 超進んでいるってーの。わかったわよ。阿加井村はこの町の隣にある村だし、行きましょうか。あのクソ探偵・破魔矢式猫魔はどうせ遅れてくるんでしょ。あたしが解決するわ、こんな事件。お茶の子さいさい!」


 大きく息を吐く僕。

「怪盗・野中もやいの奴から予告状が届いて、宝石店が昨日狙われたんだ。品物を死守するために野中もやいと戦った猫魔は、事件後の今日は午前中、ずっと寝てたよ。あとで来るって。僕だけ先に来た。怪盗と戦ったんだぜ、休ませてあげようよ」


「怪盗と勝負なんて、決着をつけられない猫魔はだからダメ探偵なのよ。あたしに任せてくれたら速攻で捕まえるのに。なんで珠総長はあたしに任せてくれないのかしら。高校生だからかなぁ。ん? なに渋い顔してんのよ、山茶花。……ふふん。あたしを甘く見たらダメなのよ? ビタースイートふぐりちゃんなんだから」


「はいはい、わかりましたよ、ビタースイートふぐりちゃん?」

「きぃー! 山茶花に復唱されると悪意しか感じないわー。このむっつりスケベえろげオタクがぁ!」

「うぅ。えろげは悪くない」

「えろげが悪いなんて誰も言っちゃいないわよ。あんたがむっつりスケベでえろげを年中プレイしてるのが問題なのよ! これだから童貞は」

「童貞は余計だろ」

「童貞をこじらせたえろげバカ山茶花のケツ穴にアナルパールぶち込んでひーひー言わして泣かしてやりたいわー、このぼぎゃー!」

「このぼぎゃー、じゃないよ。ちょっとは自重しなよ、ふぐり。じゃなかった、ビタースイーツふぐりちゃん?」

「ムキィー!」

「ああ、ああ。わかったからもう移動しよう。着替えてきなよ、浴衣じゃ行けないだろ」

「ふん。わかっているわよ」

「アナルパール好きなの?」

「殺すわよ」


「まったく。僕は泣きゲー専門なんだ。泣けるストーリーのテキストゲームを専門にプレイしてたら、えろげオタクと呼ばれるはめになってしまっただけだよ。ふぐりみたいなケツ穴ファッカーとは違うのさ」

「うっさいわね! 泣きゲーもえろげに違いはないわよ! 黙れオタク!」

「くっ! 言い返す言葉が浮かばない」

 僕は歯ぎしりした。





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