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蘭癖高家  作者: 八島唯
第2章 江戸を震わす狐茶屋
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盗賊の群れ

 弾け飛ぶ軍配。思わず乗元はのけぞる。

 それに続く、大きな音。

 前面に構えていた火縄銃をもった男たちが、悲鳴を上げて倒れる。

「鉄砲じゃ!引け!」

 混乱した状態をおさめる乗元。闇夜のなか、屋根の上かもしくは庭の木の上からか銃撃を受けたらしい。

 物陰に散り散りとなる乗元たち。物陰より屋敷をうかがう。物音一つしない中、ぼんやり明かりが見える。

「......!」

 屋敷の玄関口を降りてくる人影が2つ。前を行く男は手に提灯を持ち、その後ろを長身の男がゆっくりと歩みを進めるのが見えた。

 その姿――総髪は提灯の光を受け黄金に輝く。南蛮備えの陣羽織に、両手には刀をぶら下げて。

 前をゆく黒羽織の男がうやうやしくあたりを払いながら、大きな名乗りを上げる。

「こちらにおわすは、高家一色中将統秀さまである。かような軍勢を頼みに老中中屋敷に押し入るとはいかなる了見か、お答えいただきたい『高山主膳乗元』どの!」

 響き渡る平左の声。その調べには何か自嘲の雰囲気すら感じられた。

 旗本たちは気圧される。

 ばれていたのか......これは一体......

 ざわざわと手に武器を持ちながら浮足立つ旗本たち。雇われの兵たちも顔を見合わせる。

「慌てるな!」

 乗元の一喝。

「今の幕府にはまとまった軍勢など揃えられるわけもなし。この江戸においてわが軍団を打ち払えるものは存在せぬ!屋敷ごと消え去ってしまえ!」

 乗元の統率力というべきか。それまで収縮し始めていた熱気が一気に解放された。

 再び手の武器を握りしめる旗本たち。

 敵は二人。平左と統秀のみである。

 如何に二人が強かろうが、押し包んでしまえば問題ない。乱戦に持ち込めば敵の銃撃をキにする必要もない。

 勢いを得た無法者が一斉に統秀たちに飛びかかろうとする。

 統秀は身構えるも、逃げようとはしない。

 数発の銃弾が侍をなぎ倒すも、その勢いを止めることはできなかった。

 先頭の侍が大きく振りかぶり、統秀を狙う。

 右手の細身の刀でそれを絡め取り、侍ごと地面に叩きつける。

 平左は太い十手を手に何人かの侍の急所をしたたかに打ち付ける。

「そのまま!それで良い!数で押し切る!」

 指示を出しながら、自らも抜刀して叫ぶ乗元。

 如何に二人が手練とはいえ、人間の技である。いずれ刀がこぼれ、力尽きるのは時間の問題を思われた。

 にやり、と乗元はいやな笑みを浮かべ刀を構え直す。

 首を取るのは自分が、と前に身を乗り出したのだ。

 その瞬間、黒い影が目の前を覆う。

 それは突然舞い上がった突風のように――


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