予言
こちらは百物語七十話になります。
山ン本怪談百物語↓
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私の友人のお話です。
彼がまだ幼稚園に通っていた頃、有名な占い師さんに将来を占ってもらったことがあるそうです。占い師さんは彼を見ると、すぐに彼と付き添いの両親へこう告げました。
「21才から先の未来が見えません。どうか『川』に気を付けて生活してください。そうすれば未来は開かれます」
占いの結果、彼の寿命は21才で止まってしまうらしい。
彼の両親は、彼の運命をとても嘆いた。
しかし、占い師さんによれば「川」に気をつけていれば助かる可能性があるらしい。
彼の両親はやれることを全てやった。
物心が付いた時から彼をスイミングスクールへ通わせ、緊急時の対応から健康の管理まで出来る限りのことを全て教えた。
彼はたくましく育ち、病気1つ経験したこともない健康な青年へ成長した。
やることはやった。後は運命の時を乗り越えるだけである。
彼は21才の誕生日を迎えた。
21才になった日から、彼は川へ近づくことを禁止されていた。それ以外にもプールや海、水に関係する施設や娯楽にさえ近づくことは許されなかったのである。
ある日の事。彼は知り合いのアパートで友達と飲み会を開いていた。
悲劇はここで起きた。
酒を飲みすぎて悪酔いしてしまった結果、彼は些細なことがきっかけで友人と言い争いを始めてしまったのである。
言い争いは殴り合いの喧嘩にまで発展してしまい、彼は友人の持っていた酒瓶で頭を思いっきり殴られてしまった。
その結果、彼は二度と目覚めることはなかった。
21才が終わるまで残りあと4日というところであった。
彼を殺してしまった友人の名前は「川島」だったそうです。
「私たちがもう少し気をつけていれば…」
彼の母親が悲しそうな顔でこのお話を語ってくれました。