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4章 天秤の星17―分断と選択―

「もう! もうもうもう! つまんなーーーい! どうしてそうなるの!?」

 少女は手足をバタつかせて叫ぶ。つまらなくたっていい。人を簡単に殺すなんてダメだもの。

 スピカさんが少女に向かって駆け出した。甲高い音とともに、剣が檻を切り裂く。切っ先は少女へと迫るが、下からせり上がる新たな檻が火花を散らして防いだ。

 刃が届かないことに、スピカさんは喉を鳴らし、一歩下がる。

「ボクに攻撃しようとしたの? もうムカつくなあ!」

 少女が手をかざすと、足元の地面が不意にぐらりと揺れた。

「なっ……!?」

 足元をすくわれ、尻もちをつく。視界の端で、さらにせり上がってくる檻が私たちの間に立ちふさがった。

 囲まれた。私とスピカさんは別々に小さな鉄檻に閉じ込められてる。

 スピカさんは必死に再び斬りつけるが、先ほどのようにはいかないようだった。

 そのとき、スピカさんの檻の前に、二匹の獣が大男に引きずられるようにして現れた。そしてもう一つの小さな檻が現れ、小さな少女が押し込まれる。

「牡羊の女、あんたが選びなよ。そいつと、あの女の子、どっちが獣の餌になるかをさあ」

 オレンジ色の髪をした少女が、低く唸るような声で言った。ぞくりと背筋が凍る。

 ……何を言ってるのか、わからない。

「ヘレ、私の方の檻を開けろ!」

 目の前にある機械に、二つの押しボタンが設置されていることに気づく。それが檻の開閉装置だと理解するのに、ほんの数秒かかった。

「いい? 死ぬまで獣や人間をあてがってやるんだから、どっちを選んでも同じなの」

 少女は、私にだけ聞こえるように囁く。

 そんなの選べるわけないじゃないっ! どうしたら……どうしたらいいの!?

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