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1章 双子の星07―アスク、”確信”を得る―

 考えた結果。”確信"がいつ使えるのかを試すことになった。

「マルフィク。何か、真偽になることを言ってみてほしい」

「約束だからな。一度師匠に会ッて話するッて」

「わかってる。ちゃんと約束は守るよ」

 マルフィクに協力をしてもらう代わりに、彼からの要望を一つ叶えることにした。師匠に会って、さっさと仲間になれって言われたけど、とりあえず会うだけの約束をした。

 俺だってあの人に聞きたいことがあるから、会うのはかまわないんだけど、仲間になるかどうかは知らないことだらけの中で決めたくなかった。

 素直に話せば、マルフィクは舌打ちと共に了承してくれて今に至る。

「師匠の加護は目が赤い」

「それは知ってる情報だ。本当だって知ってるんだから、意味ないだろ!」

「知ッてる情報じゃ、”確信”は感じねェのか?」

「え?」

「知ッてても、加護の知識と照らし合わせられるンだッたら、オマエの知識とは別に真偽が”確信”で伝わッてくンじゃねェの?」

「なるほど。たしかに"確信"はしなかったな。ってことは、知ってることは加護の知識を引き出すことができないってことか」

 マルフィクは、加護を持ってるだけあって、加護には詳しいようだ。

「じゃあ、次を頼む」

「ああ、オレの生まれは蛇遣いの星だ」

「……」

 どうなんだ? マルフィクの生まれは蛇遣いの星なのか……?

「わかんないなぁ……」

 頭に繰り返し問いかけてみても、正しいという”確信”も、違うという”確信”も感じない。

「なンか、条件があるみたいだな」

「条件かぁ」

「”確信”を感じた時のこと覚えてッか?」

 マルフィクに言われて、俺は記憶をゆっくりと反芻する。

「村の人たちが寝た俺を双子の神ジェミニの通り道に置き去りにしたと理解したことと、マルフィクが悪い奴じゃないって思ったことだな」

「少なくねェか?」

「だってなー、その後暴走したし」

「だッたら、暴走の時のことでもいい。無意識が反映されてッから、思いだせよ」

「んー……そうだな。暴走の時は、言葉が勝手に出た。”確信”が意志を持ったみたいに、双子の神と会話して、遊ぶ内容を決めたんだ」

「ンじゃあ、その言葉も”確信”じゃねェか」

 そうなのか、あれも”確信”だったのか。たしかに、間違った返答はしてないという”確信”がある。

「あとはそうだなぁ……暴走してたのかはわからないけど、双子の神が怖すぎて逃げ出したくなった時……ある人の言葉が耳元で再生されて、俺には目的があるんだ。って言われた気がしたこととかなぁ」

 あの騎士の言葉「――アスク。貴方が先に双子の神の加護を受け取ってくれることを願っている。可能性は高い方がいいのだから」。あの言葉に、俺は双子の神の加護を得たいと思ったんだ。

 暴走で答えた言葉も”確信”だったわけだし、これも関係ある……気がする。

「目的ってなンだ?」

「双子の加護を得る事だけど」

「それと、さっきの二つと暴走のときのヤツは何か繋がンねェのか?」 

「そうだなー……」

 ”確信”したのは、村の人たちが寝た俺を双子の神ジェミニの通り道に置き去りにしたと理解したこと、マルフィクが悪い奴じゃないって思ったこと、暴走の時に双子の神と会話して遊ぶ内容を決めたこと。

 それと双子の加護を得たいって気持ちは……全部繋がる。

 ジェミニの通り道に置かれて、オレは加護を得たい双子の神ジェミニに会えた。

 マルフィクと話が出来て、双子の神の加護を得るための”遊び”の対策ができている。

 双子の神と遊ぶ内容は、たぶん加護を得るために”遊び”に勝つための遊びの選択。

 もしかしたら、自分がしたいと強く思ったことへの”道標”にのみ、『知識』を引用できるんじゃないか……? 

「……ンで? 何かわかッたンだろ?」

 黙り込んでいた俺に、マルフィクが促すように問いかけてくる。

「ちょっと待って、やってみる。まだ確証がないんだ」

 いや”確信”があった。

 俺は自分が遂行したい目的を反芻する。「双子の神の”遊び”に勝つ」でも、これだとたぶん遠い。マルフィクと会った時、確信したのは「話ができる人間」ってだけで、曖昧だった。

 だから、これからどうすればいいのか明確にするには、もっと近くの目的を設定して、じょじょに『知識』を引き出していかないとダメなはずだ。

 どんな目的がいいだろう……「双子の神について知りたい」これくらいからか?

「双子の神について知るには、どうしたらいいと思う?」

「あぁ? 本人たちに聞くか、知ってるヤツに聞くか……」

「それだ!」

 知ってる人に聞く。それがたぶん一番正しい。”確信”がはっきりと感じられた。

「どれだよ」

「知ってる人に聞くんだよ! ”確信”がある!」

「……へェ。どうやッたかしらねェけど、掴めたンだな」

 それで、その知ってるヤツはどう捜すんだ? という質問が矢継ぎ早に飛んできて、俺はにんまりと笑いマルフィクを指した。

 彼の加護が使える。そう”確信”して。

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