愛しい貴方
今日は麗奈目線です。
少し、不謹慎なブラックジョークを私はい良すぎたのかもしれない、そう後悔しているのは真夏に自分は侵略者だと告げた麗奈だ。
突然の告白に泣きそうな彼女を麗奈は狂おしい程愛している。
驚くのも無理はないだろう、あなたの友達は人間ではなく、現人間の敵だと言われたも同然なのだから。
そんな彼女を目の前にして私は再び口を開く。
「私は、これから色んなことを世界にやっていく。侵略のため、貴方のために。」
息を飲む音が両端から聞こえた。
「ごめん、今日はここでおひらきにしても良いかな?ちょっとごめんね。」
真夏が辛そうに言葉を繋ぐ。
3人は暗黙の了解で別れることになった。
真夏は自分の心を整えるので精一杯、紀子はもう行動に出ていた。
今日の出費は電車賃だけだったねと紀子が苦笑いしながら早足で別れていったからだ。
侵略者G陣営が遣わしたスパイとして、麗奈として、沢山の準備をしてきた。
侵略者Gはリアルダルクという生命体だ。
固有の形はなく、全ての生命にできることはでき、脳も100パーセント使える、いわば完璧な生命体だ。
私たちの目的は移住。
資源のきれかけた星と共に地球を回る宇宙ゴミの1部として今はすごしているが、いち早く移住したいのだ。
「なっこには分かって欲しい、私たちの気持ちを。」
冷たい空気を吐き続ける店の入口の前でたたずみながら呟いた。
麗奈は家に帰り、義母と義父にただいまを告げてから2階の自分の部屋に向かう。
義母に暑かったでしょう、と労われ渡されたよく冷えたレモンティーを片手に。
窓際に置かれた椅子に腰をかけ、侵略者のスパイとしての日課を果たす。
首に生やした遠距離テレパシー用アンテナを頭に移動させ、侵略者Gへ情報共有をする。
麗奈の責務は地球上生命体の監察、情報収集、侵略へのサポート、報告だ。
真夏ら人間と出会ったのは1歳の頃で、それ以来楽しくすごさせてもらった故に人間のことをよく思っていない麗奈でも強い愛着をもっている。
麗奈はもとより捨て子を演じており、夫が子供のできない体質により、子供を授かれなかった松山夫妻が麗奈を養子として引き取り愛情いっぱいに育ててもらった。たまたま隣に住んでいた井塚家も麗奈のことを大層よくしてくれたのだ。中学から出会った紀子も麗奈にとっては好きな人間の1人だ。
「必ず、手に入れるから。ここも貴方も。」
麗奈は今日の行動が、侵略への第一歩となる行動だった為、真夏に嫌われるだろうということは覚悟はしていた。
それでも、麗奈はどこかで嫌わないで欲しいと願うばかりの1日となった。
不定期更新になりますが、ご了承ください。