表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

放課後

「じゃあこれで終わり!部長、挨拶」


「ありがとうございました」

「「ありがとうございました」」


今日の練習も無事終わった。コンクール練習をしているせいか教室のあちらこちらで「やっと終わった」と緊張の糸が切れた声がしている。練習中はおしゃべりなんかできないので片付けの時間は余計に教室が騒がしくなる。僕は打楽器を担当しているのでほとんどすることがない。そのため片付け自体はすぐに終わるが今日は鍵当番があるので今日の練習の振り返りと窓が締まっているかの点検、教室を最後に出て鍵を閉め、職員室に返しに行かなければならない。まあ三人づつで回ってくるので僕は窓の確認だけすればいい。鍵の返却と振り返りはほかの二人に任せてある。


「先輩、振り返りノート書きました?」


「いや、戸締り確認してた。振り返りノートまだ書いてないから書いといて。もう一人の子に返却は頼んだから」


「はーい。あ、先輩。戸締り終わったらちょっと待っといてください。帰り道に本の話して帰りましょ!」


普通に帰りたいんだけど。とはもちろん言えず、うなずいてしまった。まあしゃべるだけだし別に害はないか。なんで断ろうとしたんだろうか。やはり僕はひねくれているらしい。小学校の頃はここまでひねくれていなかったと思うのだが。


うちの学校の坂は長いので歩いて降りると意外と時間がかかる。そこで生徒は誰かとしゃべりながら降りて先生に「はよ帰れ」と怒られるか自転車に乗って駆け下り、「事故ったらどうするんや!とまれ!」と怒られるものに二分されている。いつもならさっさと帰っているので後者だが今日は珍しく前者となった。しかも男女であまり見ないペアだったためか周りにいる人間から冷やかしもされた。


「お前らいつから付き合ってんの?w」


そんなわけがないだろう。こんな根暗と


「そんなわけないじゃないですか、こんな根暗な人と付き合ったりしませんよw」


「いくら事実でもそれを言うのは失礼じゃないかな?」


僕も思ったけどさ。そう考えるのと実際に声に出すのは違うじゃん。さすがにいくらそれが事実でも傷つくんだが。もうちょっと言い方あっただろ


「ごめんなさーい。まあ冷やかしにはこれくらい言うのが一番の対処法ですよ」


スクールカースト上位怖い。こんな人ばっかなの?僕とは本当に相容れない存在だな。よく昼休みに話しかけてこようと思ったよ。てかほんとよく僕にオタクっぽいことについて話しかけようとしてきたなこいつ。


「まあいいか。そういやあの本っていつ知ったん?」


「いつぞやの深夜アニメですかね。以外でしょ、私みたいな人種が深夜アニメなんてオタクっぽいもの見るの」


見るのも意外だし深夜アニメの存在を知ってるのも意外だよ。もしかして意外とオタクだったりするのか?


「正直言って深夜アニメよりドラマとか見てるイメージだったからかなり意外だよ。何か特に好きな作品とかある?」


「ドラマは正直あんまり興味ないんで周りに話し合わせるためだけに見てる感じですね。アニメなら化●語ですかね?」


ドラマ興味ないんだ。ただその作品ってことはたまたま見て面白かったから読んでるくらいなんだろうな。沼にまではまってる感じじゃなさそうだ


「間宵ちゃんめちゃくちゃかわいくないですか?ちっちゃい体におっきい鞄背負っててくてく歩いて『かみまみた』ですよ?!めっちゃ可愛いでしょ?いいでしょ?」


前言撤回。めっちゃオタクだ。好きなもののことしゃべりだすとめっちゃ早口でまくし立てるとか典型的なオタクだ。スクールカースト上位でもオタクっているんだな


「あと羽川さんもめっちゃよくないですか?品行方正で絵に描いたような優等生で眼鏡っ子、かつ巨乳。これに非の打ちどころがありましょうか、いいえありませんとも。先輩もそうおもいますよね?」


「」


しかも同意求めてくるタイプとかめんどくさいタイプのオタクじゃん。これは周りにしゃべれる人いないわな。ここまでだと同類じゃなきゃ絶対引かれる。


「あれ、先輩もしかして引いてます?すみません飛ばしすぎました。同類だったら引かれないと思ったんです。許してください何でもしますから」


「ん?今なんでもって」


「言ってないです」


いやこのネタ通じるのかよ。まじか、僕の中で彼女に抱いていた印象がどんどん変わっていく。少ししゃべっただけでこれほど印象変わる人なかなかいないと思う。


「おい!しゃべってないではよ帰れ!もう何回もゆうとるやろが!」


「先生にも怒られましたしそろそろ速足で帰りますか。なんかここまでマシンガントークできたの初めてだったのでうれしかったです。またおしゃべりしましょうね」


「じゃあまた、お疲れ様」


「おつかれさまでした」


第一印象ってあてにならないんだな。そんなことを思いながら自転車で風を切りながら家に帰っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ