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第四話

たっちゃんの事があったあと、うちの家族は前にも増して仲良くなっていた。


ずっと、こんな風に日々が続くといいな、と思っていた矢先・・・




♪プルルルルル




「有希、ちょっと出てくれる?」


「は〜い。」




「もしもし・・・はい、はい、わかりました。。。」




私の電話に出る声が変だと気づいた仁が側に来てくれた。


「何かあった?」


「こ、聖が・・・。」


「聖がどうしたって?」


「け、怪我したって。今、病院だから迎えに来て下さいって。。。」




「どうしよ、仁?ひどい怪我じゃないよね??」


「大丈夫!迎えに来てくれってことは帰れるってことだろ?」


そう言って、私の肩をぽんぽんっとしてくれた。


私はそれで落ち着きを取り戻した。










「あっ、帰って来た!」


車が止まる音を聞いて、私は玄関へ行った。


もう、学校から帰ってきていた、たっちゃんも淳之介も和也も一緒だった。




がちゃ




「聖、大丈夫!?」


右腕を吊って、顔中傷だらけの聖を見て、私は言った。


「大丈夫だって!ちょっとやっちゃっただけだし(笑)」


「やっちゃっただけって・・・原因は?」


「俺、ちょっと疲れたから寝るわ!おやすみ〜。」


「聖!!」


聖は自分の部屋へ上がって行ってしまった。




「聖は原因を話してくれないんだよ・・・。」


「パパ。」


「聖が理由もなくけんかをするとは思えないんだよね。」


「雄ちゃんも、そう思う?」




「今日は俺たちが有希姉と仁兄の部屋で寝なきゃだね。」


そう言って、淳之介と和也は顔を合わせていた。






次の日起きると、いつも通りの朝の風景が広がっていた。


聖は右腕を怪我していて、しばらく学校には行けないみたいだけど、


相変わらず、朝からテンションが高かった。


「有希!早くしねーと遅れんぞ!!」


「わかってるよ!いってきまーす。」








いつも通りにしてる聖が逆に心配で、私は大学でも考え込んでいた。




「有希、おはよう!」


「あっ、おはよう〜。」


「どうした?何かあった??」


「う、うん。ちょっとね・・・。」




「そういえばさぁ、昨日聖くん見たよ。」


「えっどこで?」


「駅前のトコで。


 子犬が捨てられてて、聖くん毎朝エサあげてたみたい!」




「でも、帰り通ったらその子いなくて。貰われたのかと思ったら、


 高校生が虐待ぽいことして遊んでてさ〜。


 その子を体張って守ってたよ!!


 さすが、獣医目指してる聖くんだね♪」


「そうだったんだ〜。」




「ごめん、私やっぱり帰るね!」


私は教室を走って出て行った。






「ただいま〜!!パパ?聖?」


「どうしたの、有希。大学は?」


「雄ちゃんこそ、何で?」


「今日は聖を父さんが病院に連れてくから、俺が仕事休んで店番。」




私は大学で聞いたことを雄ちゃんに話した。


「でも、何で聖は本当のこと言わないんだろ??」


「聖って意外とテレやだし、良いことした!って自分から言うタイプじゃないしね(笑)」


「仁だったら、帰ってきて真っ先に言うのにね(笑)」




「今、俺の話してただろ!!」


「あれっ、仁おかえり。今日バイトは?」


「いや、さぁ。バイト行ったら、店長が昨日聖を見かけたって言って、全部話聞いたからさ〜。」


「有希も大学で話聞いて、飛んで帰ってきてくれたんだよ。」








「ただいま〜。」


「あっ帰って来た!!」


パパと聖が帰ってきて、私たちは玄関へ飛び出して行った。




「あれ、みんなどうしたの?」


「聖!昨日のこと見てた友達から全部聞いたよ!!」


「俺も店長から、全部聞いた!」


「俺も有希と仁から聞いた。」




「なんだ、みんなも聞いてたのか(笑)」


「パパは知ってたの?」


「帰りの車の中で聖に聞いたんだよ。」




「でも、何で本当のこと言わねーんだよ?」


「だって、照れくせーじゃん(照)」


「そんなことないよ!!聖はいいことしたんだし。」


「早く言ってくれればいいのに(笑)でも、よく聖から話したね?」




「親父にお願いしたかったからさ。」


「何を?」


「そのワンコを引き取りたいって。」


「パパも最初は反対したんだが、聖が体張って守った子犬を引きとらないってのはなぁ(笑)」


「じゃあ、わんちゃん飼って言いの?」


「うん。いいよ!」


「「やった〜!!」」




「あれ、雄ちゃん嬉しくないの?」


「いや、嬉しいけど、また俺が世話することになるのかなぁって・・・。」


それはみんなが思っていたことだった(笑)






夕方、淳之介と和也が帰って来たら、すでに首輪をつけて、我が家の一員となっているわんこがいた。


「えっどういうこと??」


「何で、犬がいんの?」




2人に事を最初から説明した。




「じゃあ、名前決めなきゃね!」


「えっとね〜・・・・。」




みんなが悩んで黙っていた時、淳之介が言った。




「ピンは?」


「「「ピン!?」」」


「今、ピンと来たからピン♪」


「だじゃれかよ!!」


「でも、いいかも(笑)じゃあ、お前はピンな!」






その日から、9人と1匹の生活が始まったのだった。







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