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第1話  朝の風景

某アイドルの名前を使っておりますが、実在の彼らとは一切関係ございません。



以前、別の小説サイトでUPしていた作品の加筆作品になります。


そちらのサイトが閉鎖してしまい、こちらでまた思い出しながらUPしておりますので盗作ではございません。

ちゅんちゅんちゅん




あっ、もう朝か・・・




「おはよー」




うっすらとした意識のなかで雄ちゃんの声が響いた。





「ん・・・はよ。」




「おはよう、有希。仁はまだ寝てんのか(笑)おーい、仁起きろって!!」



「るせぇ・・・」




そう言って、仁はまた布団の中に潜り込む。





仁が起きないのはいつものこと。雄ちゃんもまたいつものことだという感じで、



「本当にしかたねーな(笑)」と言って降りていった。




雄ちゃんは一番上のお兄ちゃん。今は保育士をしていて、家事もパパと雄ちゃんの仕事。


だから、いつも起こしに来てくれるときは朝ごはんの準備中でエプロン姿なんだ。






仁と同じように寝ていたいけど、今日は1時限目から必修科目がある。




まだ寝ていたい体を無理矢理起こして、洗面所に行くと先に聖がいた。



「聖、おはよー。」


「はよ。」





顔を洗って歯を磨こうと、歯磨き粉を手に取ろうとしたら、


「俺が先〜」



「ちょっと〜!!」



もう、相変わらず聖はヤンチャなんだから。



聖は私のすぐ下の弟。見た目はヤンチャでいかついけど、今は獣医を目指して大学に通っている。


実は繊細ですごく優しい子。






身支度をして、ダイニングへ行くとそこでは淳之介と和也がご飯を食べていた。


「おはよー。」


「有希姉おはよ。」


「有希、おはよ。」



さわやかな笑顔でちゃんとお姉ちゃんって呼んでくれるのが聖の下の淳之介。

容姿端麗、成績優秀。生徒会長もやっている自慢の弟。



その横で、ちょっと生意気そうなのが一番下の弟和也。

野球が抜群に上手で、今も野球の名門校に通っている。




「有希、おはよう。今日はパンとごはんどっちにする?」



そして、この優しい笑顔が素敵なのがパパ。


喫茶店を営みながら、家のことはパパがやってくれている。




「今日はパンがいいな!あれ、ママは?」



「昨日遅かったから、今日は午後から出勤するって。」




ママは弁護士。とても忙しい人で、でも誰よりも私たちのことを考えてくれていて。

腹をくくったときの肝っ玉のデカさは誰もかなわない(笑)






パパが作ってくれたハムエッグとトーストの朝ごはんを食べていると、たっちゃんが私の横に無言で座る。



「たっちゃん、おはよ。」



「・・・はよ。」




寝起きはご機嫌ななめなたっちゃんは2番目のお兄ちゃん。大学4年生で授業はほとんどないから、バイトをしながらバンド活動に熱心に取り組んでいる。






雄ちゃんがスープを持って来てくれて、「あいつ、まだ起きてこねーのかよ」と言ってると、

寝ぐせでぼさぼさの髪のまま仁が下りてきた。



「寝坊しちゃってごめんなぱい。」



「今更、何言ってんの?(笑)仁の寝坊は毎日じゃない。」



「うっせー。俺、寝ないとダメな子なの。」



「あっそーですかー。」



「あっ!お前今嘘だと思ったろ?」




仁とそんな口げんかをしていたら、もうちょっとででかける時間。



慌てて朝ごはんをかき込み、部屋に戻って着替える。







ガラッ





「ちょっと、ノックくらいしてよね!今着替えてるんだから!!」



「お前の着替えなんて見たって、誰も何とも思わね〜よ(笑)」





その言葉に



(どうせ、気にしてるのは私だけ・・・)



その気持ちが重くのしかかった。






「なぁ?」



「何?」







「お前、今日大学何時まで?」




「今日は午前中で終わりだけど・・何かあるの?」






「俺、今日バイト休みなんだけど、急にシフト変わったから誰も捕まらなくってさ〜。

 今日、午後どっか行こうぜ〜。」




「私なんて誘わなくたって、仁、可愛い女友達いっぱいいあるんだから誘えばいいじゃん。」





すると、仁はちょっとむっとして、


「いねーし。とりあえず、今日はおれに付き合え。昼に迎え行く、じゃ。」





そう言って、仁はまた布団の中に潜り込んでしまった。





(もう、相変わらず俺様なんだから。まぁ、仁と2人で出かけられるのは嬉しいんだけどね。)
















ギリギリで大学に着くと、親友の遥が近づいてきた。



「おはよー!ねぇ、今日何か予定ある?午前中で終わりだし、どっか遊び行かない?」



「ごめ〜ん。今日は仁と約束しちゃって。」



「仁くん?相変わらず仲いいね〜。」



「そんなんじゃないよ(笑)勝手に約束させられただけ。」



「そんなこと言ったら、学校一のモテ男と他にどれだけデートしたい子がいたことか!」




高校から一緒の遥は仁がそのころからモテていたのを知っている。



そう、仁も私と同い年。



生まれた月で、仁がお兄ちゃんで私が妹ということになっているけど・・・







私たち兄弟は血が繋がっていない。



それはパパとママが子供ができなくて、私たちはみんな引き取られたからだ。





みんな年は少しずつ違っていたけど、私と仁は同い年。



大人になった今なら、私たちみたいな兄弟も受け入れてもらえるんだろうけど、


小さい頃は偏見の眼差しで見られ、いじめの対象になるかもしれない。




だから、私と仁は2卵生の双子ということになっていた。



まぁ、背が高くてイケメンの仁と平凡な私じゃ同じ遺伝子を受け継いでいるなんで到底思えなかったけど(笑)





傍目から見たら、兄弟の私と仁。




でも、私はずっと、仁のことが・・・好きだった。










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