転生悪役令嬢 エミリー・コーナー
前作の略奪を失敗した悪役令嬢編です。
乙女ゲームに転生したらやりたいことは?
と聞かれれば私は…攻略対象達と幸せに暮らしたい!
「ヒロインが現れる前に、彼らで私のハーレムを作らないと」
ゲームの私は、公爵令嬢で王太子であるメインヒーローのシュベルトの婚約者。学院で婚約者に付きまとうヒロインを虐め。最後はシュベルトに婚約破棄され追放される。
婚約者に付きまとう女を虐めただけで追放なんて馬鹿馬鹿しい婚約者…王太子に下級貴族であるヒロインが回りを彷徨いていれば私でなくとも苦言を言うはず。
シュベルトは何もしなくても婚約者になれるから、後回しでも大丈夫ね。
「確か…お父様の妹が側妃で私の叔母…側妃はラウルの母親だったはず…ラウルもまだ婚約してないわよね、まだ五歳だし。」
ラウルは側妃である叔母の息子、彼も攻略対象だけど彼のルートだけは、私は悪役令嬢ではないし出番もない。
彼のルートではラウルの婚約者、アリア・ラグーナ候爵令嬢が悪役令嬢だが彼女は私のように追放にもならず、ヒロインに何度かラウルに近づくのは止めなさいとだけ注意するだけ。…エピローグでラウルの護衛の騎士と結婚しヒロインとお友達なんて生ぬるい悪役令嬢設定。
「先ずは、ラウルとは幼なじみとして…顔合わせしないと…。」
ゲーム開始前には私のハーレムは出来上がり、ラウルに婚約破棄をさせようとアリアの顔合わせの日にラウルと二人でアリアに会うことにした。衆人環視の前で行わないなんて私は慈悲深いわね。
「いい加減に諦めなさいな、ラウルは私の事が小さい頃から好きだと言っているのよ?貴女が入り込む場所など元々無かったのよ」
五歳の頃から、ラウルには私を好きなになるように仕向けやっとアリアから解放してあげられる。今まで私のラウルの婚約者でいれたのだから感謝して欲しいくらいだわ。
「ラウル様、私との婚約を破棄した所で絶対にエミリー様とは結ばれませんわ!」
「そんな事無いわ。ラウルはシュベルト殿下の異母弟で第二王子なのだから、シュベルト殿下と一緒に私の夫になれば良いのよ」
ラウルも王子なのだから、第一王子の婚約者である私が二人の婚約者でいいじゃない。
「なっ!王太子妃が第二王子を愛人に持つと言われるのですか?」
愛人だなんて、私は皆を平等に愛してるわ!
「愛人では無いわ!正妻よ王子達の唯一の妃になるの!」
「私は嫌だよ?妻を弟と共有するなんて…そもそもこの国は 、一夫一妻と決まってる。」
一妻一夫でも、シュベルトは王になるのだから法律なんて変えちゃえばいいんだわ。
「君の義弟と執事に幼い頃に拾ったという魔導師…か。君は誰の子供を産むつもりだ?
王子妃…未来の王妃が愛人の子を王位につける気かい?」
「そんな、ちゃんとシュベルト殿下の子を…。」
最初はちゃんとシュベルトの子供を産むに決まってるじゃない、私は五人の唯一の妻で王妃になるのだから、皆の子供は最低でも二人づつ産んであげる予定よ。
「でも、君は五人のただ一人の妻になりたいんだろう?私は自分の子だと信じられないから…ラウルにエミリーはあげるよ。」
私が信じられないなんて!シュベルト酷すぎるわ!
婚約者が信じられないなんて!
「私はエミリーと婚約破棄をする。君達四人でエミリーを共有すればいい」
なんでよ!何故婚約破棄なの?
そうか!妬きもちなのねシュベルトは嫉妬深いから。
「殿下、私は殿下を一番愛してますわ!」
私の一番はシュベルトだから、婚約破棄はしなくて大丈夫よ。
「ありがとう、エミリー。だけどね、王位を次ぐ私としては私だけを見てくれる妃でないとね、複数の夫を持ちたがる王太子妃なんて国の恥じだ。連れて歩きたくない…何より私が嫌だ。」
国の恥じだなんて、シュベルト酷すぎるわ!
私は彼達に愛を囁かれて当たり前なのよ、ゲームヒロインが行う筈のイベントは私が全て実行したり。
私が植え付ける筈だった、トラウマは別の物に変えて克服させたわ。勿論シュベルトにだって!
「シュベルト殿下…あの。」
アリア!邪魔よ、私のシュベルトに話しかけないでよ!
「アリア・ラグーナ候爵令嬢、弟と元婚約者がすまなかったね、君と弟との婚約は白紙に戻す事と議会で決まった後日ラグーナ候爵家へ使者をだすのでそれまでは学院に行かず、家で大人しく休んで欲しい。」
元婚約者?なんで!婚約破棄なんか私認めてないわ。
「…私は二人に話があるのでここで失礼するよ。」
アリアを連れて行くのは、ゲームの中でラウルの護衛だったモブじゃない!探してたのに見つからなかったのよね、シュベルトの護衛だったなんて。
「エミリー?、ああ彼が気になるかい?彼の顔も君が好きそうだね…。」
「そんな、私は…。」
確かに、モブだろうと剣の腕はよく、キャラデザもキレイだったから好きなタイプだけれど。シュベルトやラウルには霞むわ。
「ラウル…。約束通りエミリーは君だけの物だよ」
「兄上ありがとうございます、アリアに悪い事をしてしまいました。」
「大丈夫だよ、ラウル。アリアには私が居るからね」
「シュベルト殿…下?」
「エミリーは気が多いから、これから大変だよ?」
「この数年でわかって居ます。だから…兄上やエミリーの義弟や執事に魔導師である彼達に引き留めてもらってたんですよ?私の周りではエミリーが好きなタイプの人々でしたから…他に目がいかないようには役にはたった筈です。」
「そうだったね、でもラウルとエミリーはこれからは平民として生きていくんだから、もうアリアの様な被害者は出さないで欲しいな。」
「大丈夫です、エミリーはこれから…。」
「ぎゃ!っうう…イタイ…」
何!目が…イタイ…イタイ…目が熱い?瞼が開けられない!
「ごめんねエミリー、ビックリした?」
ラウルが気遣う声が聞こえるけれど痛みのせいで…私は目元を
押さえるが気休めにもならない。
「ラウル…その薬を使うときは、ポーションも用意しないと…かわいそうだろ?」
痛みで蹲る私に、何かの液体がかけられ痛みは無くなったけれど…。
「ラウル?シュベルト殿下!何処ですか?何故真っ暗に…。」
「エミリー、大丈夫?僕はここだよ」
私の手をつかんだのは、ラウル?
「何故真っ暗なの!ラウル!」
「真っ暗?ああ、エミリーはこれからはずっと…ラウルしかいない中で生きていくんだよ」
「シュベルト殿下!」
シュベルトの声がするのに…何も見えない。
「エミリーごめんね、こうしないとエミリーは別の男を追いかけるから…兄上が何も目に写らないように薬を作ったんだ…。これからは僕だけが君の世話をするよ。」
「ラ…ラウル…?」
ラウルが…慈しむような声で、真っ暗の中私を抱き締める。
「エミリーが悪いんだよ…僕以外を欲しがるから…少し眠ってて、新居に着いたら起こしてあげるからね…おやすみ。」
私の意識はここで無くなってしまい…。
「おはよう…エミリー、2日も目を覚まさなかったから心配したよ?今日はいい天気だから、僕は外で畑を作る準備をするよエミリーはゆっくりここにいてくれればいいよ。」
そう言って、ラウルは部屋を出たけど…私にはラウル以外見えず、真っ暗で天気が良いなんてわからない!
「何で…ラウル以外見えないの?…。」
「エミリー、嬉しいニュースだよ!」
ニコニコと笑顔で私の近くに来たラウルが…多分新聞を持っているのだと思う。
「ラウル?どうかしたの…」
ラウルしか見えず、自分の回りに何があるのかわからないから私はずっと…ベッドから動く事すら出来ず。食事さえ…ナイフやフォークに皿すら見えない生活がしばらく続いた日…。
「兄上がアリアと婚約したんだ!」
「何故!シュベルトには私が居るでしょ!」
「エミリーは婚約破棄したでしょう…。」
悲しそうに、眉を下げるラウルを見ながら。
「嫌よ、私は認めてないわ!ラウル、私をシュベルトのところに連れて行ってよ…私が王妃よ!」
あっ…。
胸が熱い…イタイ…イタ…イ。
「直ぐに、僕も行くから…先に行っててね。エミリー。」
「ラ…ウル?」
最後に見たのは、悲しそうな目をしたラウルが見えた。