8話
今回は光の視点のお話にして見ました。漫画や小説を見ていると片方の視点で話が展開されているときに、もう片方の視点ではどうなっているのだろうと思うことってありませんか、空が光に怒るシーンは二人とも心に変化が起きたシーンなのかなって思います。なので今回は空の視点と光の視点と二つの話を書いて見ました。次はいよいよ体育祭です。体育祭は学校行事の中でも一大イベントだと思います。二人とも目立つことはしないけどそれぞれのペースで体育祭に参加するので、次回も共感してもらえる部分もあるんではないかと思うのでぜひ読んで見てください
私の名前は桜井光。
今回は私の話をさせてください。
私は絶賛ぼっちの道を極めている高校一年生だ。
高校生になっても友達ができるはずもなく、毎日が過ぎていたある日。
近所の海を散歩していると、見覚えのある人が海で黄昏ていた。
『あの子は確か・・・』
一人でいると、人を観察することが得意になる。ぼっちはぼっちを見つけるのが上手だ。私は高校生になってからの半年、自分と同じように一人でいるあの男の子のことを気にかけていた。何でこんなとこにいるのかはわからないけど。純粋に彼に興味があった。
『ねぇ。』
彼は突然話しかけられたことにとてもびっくりしている。
ふふふ、面白い子だ。
『ここで何しているの』
返事は返ってこない。
突然話しかけたのがダメだったのかな。
それとも話したこともない男の子にも嫌われているのかな
私は基本ネガティブだ。そんなことを考えながら質問を続けた。
『君はいつも一人だね』
初対面の人に対してこんなことを聞くのはおかしいとは思ったけど、コミュ力がない私は回りくどく聞くのが苦手なので、聞きたいことをストレートに聞いてしまった。
『えっと・・・』
さすがにストレートに聞き過ぎたか、自分が逆の立場でも同じ反応をしてしまうだろう。
でも、少しの沈黙の後
『君は誰❓』
『やっぱり私のこと知らないか〜』
彼はやっぱり私のことを知らなかった。もしかしたら知っているかもとちょっと期待した私が悪い。そもそも私のことを知っている人が学校にどのくらいいるのだろうか。クラスの子は同じクラスにいる人という認識ぐらいで私のことを知っているかもしれないけど、他のクラスの子に知ってもらえるような人間ではないのは確かだ。
『うんっ。ごめん。いつも一人でいるから他の人のことぜんぜんわからないんだ。』
『知ってる。君がいつも一人でいること』
彼がびっくりしているのがすぐにわかった。どうせなんで自分みたいに目立つようなことを何もしていないぼっちのことをこの子は知っているんだろうって顔をしている。
『私もいつも一人なんだ』
そして私は誰にも話したことがないことを、目の前の男の子に話した。自分が一人になった経緯やいまの自分の気持ちなどを。彼はそれを黙ってきいてくれた。それが私はとても嬉しかった。誰かにすがりたかったわけではない、友達がたくさん欲しかったわけでもない。私は私のことをわかって欲しかった。
そして・・・
『それに比べて私は空っぽだ。こんな私がこれから先生きていても楽しいことなんてあるのかな。いっそ死んだほうが楽なんじゃないだろうか』
半分本心で半分は嘘だ。これから先に期待ができないうことは本当だ。でも本気で死ぬ勇気もない、死のうとも思っていない。でも彼は私の嘘を本気で怒ってくれた。
『ふざけるなっ!!』
本当に久しぶりに人に怒られた。学校でも無難に生活しているので先生に怒られることもないし、友達はいないので同級生に何かを言われることはなかった。だからこの時すごくびっくりしていた
『君は死んだ方が楽と言った。本当にそうなの❓死んだら全部終わりなんだよ。一人で何が悪いの。一人でも生きていれば何かが変わるんじゃないの、一人が嫌になったらここに来ればいい。僕はいつも一人だ。でも一人の僕と一人の君が一緒になれば二人になれる。だから簡単に死ぬなんて言わないでよ。僕は君のことを知らない。君は僕のことを知らない。でも君が、何でそう考えてしまうのかわかってやれる部分もある。だから大丈夫だよ。君のことを少しはわかってやれる男がここにいるということ。全然頼りにならないけど』
心が熱くなった。目頭が熱くなった。我慢ができなかった。気づいたら涙は出ていてとっさに彼から見られないように顔を伏せた。私のことを本気で怒って来れて、私のことを認めて来れて、私のために恥ずかい気持ちをこらえて自分の気持ちを言って来れたのが本当に本当に嬉しくて、涙がとまらなかった。
『初めてだよ・・・』
初めてだった。今まで親や先生から怒られたことはあった。でも同級生から怒られたのは今回が初めてだった。
『君みたいに自分の気持ちをぶつけて来れた子』
『ごめん・・・』
こっちがごめんだよ。一方的に自分の気持ちを言って、しかも泣いてしまって。ドン引きされてもおかしくない。あ〜すごく恥ずかしい。このまま海に飛び込みたい。泳げないんですが(笑)
私は誰かに何かを求めることをずっとしていなかった。でも今日はこの人に伝えたいことがあった。
『私と友達になってくれない』
ずっと一人でいいと思った。でも違った。誰かの温もりに触れることで自分の何かが変われるような気がした。
『こちらこそよろしくお願いします』
彼は恥ずかしながらそう答えてくれた。
私、桜井光は高校生になって半年。初めて友達ができました。
それからお互いコミュ同士学校で話すこともなく、目が会うぐらいの関係が続き、施設は夏から秋に
ぼっちが嫌いな学校行事の一つ、体育祭の時期がやってきた。
私は救護班になった。本当にたまたまだったけど空も一緒だった。
『また何かが変わるかもしれない』