守護精獣 困惑する
目がさめると、目の前に豹の金色の二つの双眸が見つめていて、一瞬ぎょっとした。生暖かい息が顔にかかって髪が揺れる。
「起きないから死んだのかと思ったぞ。ほら、早く願いを言え」
尻尾で私の背中をバシバシ叩きながら言うが、寝起きのぼぅっとした頭では何も考えられない。
「はいはい。わかったわかった。とにかく今後については話し合う必要があるわね」
私は大きな欠伸をしながら答えた。その辺の川で顔を洗ってから、バックの中にあったカラリーメイトを口にすると少し頭がすっきりしてきたので、今後について彼と話し合う。言うことは昨日の晩、既に考えてあった。
「これだけは言って置くけど、私は貴方にお願いをするつもりはさらさらないの。これは諦めて。でも・・・そうねこれがお願いになるのかどうか分からないけど、私がこの世界で独り立ちできるようになるまでのサポートをお願いしたいわ」
「・・・・・!!!!」
おーー。豹がびっくりするとこんな顔になるのね。全身の毛が逆立って尻尾を膨らませている。お・・・怒ってるんじゃないよ・・・ね・・?
「・・・サポートって具体的には、どういうことなんだ?」
「そうねやっぱり。ずばり仕事でしょう」
そうだ。私が日本でどれだけ仕事が欲しくて、何社も面接行脚に通ったと思っているのだろうか。日本でも一人だったんだから、この世界にいたって条件は余り変わらない。とにかく仕事を見つけるのがどちらの世界で生きようとも不可欠だ。
「仕事を見つけるまで助けてもらうわよ。貴方わたしのガイドなんでしょう」
いまだうろたえて固まっている豹を尻目に、私は腕を組み胸を張って言い切った。豹は何回目かもう分からないくらいの溜息をついて、情けなさそうな眼でいう。
「・・・・私の名前はレオールだ。そう呼んでくれ、ユリカ。分かった一緒に仕事を見つけよう」
「ありがとう。ええっと・・・リオール・・だっけ?いい名前ね。覚えやすくて・・」
「いや・・!リオールじゃなくてレオール!!」
意外と細かい豹だなぁ・・と思ったが口には出さなかった。