ユニコーンの秘密
その後、またミルバさんの指導の下、ラウラや侍女仲間と一緒に侍女仕事を終え、自分の部屋でくつろいだ。一週間後に王妃になるのに侍女の仕事をする必要はないと、キンベル侍女長をはじめミルバさんや、おそらくかなりできる有能な侍従さんからも言われたけど、私は自分の夢を諦めたりはしていない。そう・・・少し方向転換はしたが、やるつもりだ。
私は超・侍女王妃になる!!!
ベットの上で横になると、あらかじめわかっていたかのようにシューリが変化して私に優しく羽毛をかけてくれる。今はまだ初春で肌寒いのでドイールの出番はまだ先の話だ。なので彼は竜の姿に戻りベットの下で丸くなっている。・・・頭しか隠せていませんけどね・・・・。
レオールは寝室の扉の前で座っているらしい。時たま金色の毛が擦れる音がする。
「ねえ。シューリ。健司は男なのにどうして守護精霊を持てるの?」
私は虹色の羽毛に包まれて、ふわふわしながら聞く。
「まあ本来はあちらの世界からきた人にだけ、守護獣の言葉が理解できるらしいから、男女の区別は別に関係ないのよ。ただ召還されるのがいつも女だからっていうのが理由ね」
「どうして女の人だけが召還されるの?」
「この世界からの呼びかけに気づくのは女だけだからなのよ。だから男が召還されるなんて歴史上初めてのことじゃないかしら、男だからこそ風の精霊のカミールが守護精霊になったんだと思うわ」
え?どうして?普通、一角獣って処女以外の人はその角で突いて殺してしまうんじゃなかったっけ?その疑問をぶつけてみると、意外な答えが返ってきた。
「ふふふふ。それは違うわ。正反対よ。カミールは男が大・大・大好きなの。だから男と交わったことのある女に嫉妬して殺しちゃうの。カミールは男だったら誰でも大好きな上に、とっても嫉妬深いから・・・。あまりに男が大好きすぎて男をみかけると、ものすごい顔で突進するから、男は皆殺されると誤解して逃げて行くのよね」
なんてこったい!!今まで信じていたユニコーン伝説が覆ってしまったよ!!?そうだったのかカミール。馬鹿だろカミール。
健司。別れてから一度も会ってなかったけど、何をしていたのかな?どうして私を追いかけて異世界にまで来たのかな?まあでも、あいつのことだから会社の最高経営責任者の地位よりも、もっといろんな面白いことができそうな王様の地位が魅力的だっただけだろう。
私はあまり考えるのをやめて、敷布団がなくて寂しいながらも、なんとかふわふわだけを堪能して眠りについた。
ふわふわ、気持ちいい。ぐううぅぅぅ。




