三器の切り札と根源
世界に変革をもたらす三つの神器
一つ【キングクラウン】
どんな願いも一つだけ叶えることが出来る。
所有者と自分の国民に盟約をも無視出来る力を与えるこのできる一器、
二つ【クイーンティアラ】
キングクラウン程の力はないが、所有者のみ盟約やゲームのルールを一つ無視出来る願いを叶えることが出来る一器。
三つ【ジャックエンブレム】
世界も、盟約も、ゲームも変えることは出来ないが、所有者の希望を一つ叶えることが出来る一器。
「この三つがそれぞれの国王にわたってからというもの世界は再びその力を奪い合おうと戦争が激化してしまったのです。」
戦いの根源であり
根源を絶つ為の切り札となるそれらは
争いの原因であるものということを忘れるほどに美しく輝くと、
部屋のシャンデリアに明かりがそれを際立たせようと灯り始めた。
「と、まあここまではちょっとくらい話になってしまいましたね!。
ユウマ様には直接関係のない御話ですし、
今日はユウマ様とアリスの祝会なのでもっと楽しい話をしましょう
あ、でもユウマ様の泊まる場所も決めないと!!」
声色を黄色に変え小さな手合わせをすると
アリスは席を立った。
「すみません姫様、私はそろそろ戻ります。
あと彼の処遇については決めていますで大丈夫です。では。」
「え!?お、おい・・・ちょっとどこ行くんだよ。俺らの祝会って言ってるんだし・・・待て!せめてこの肉だけ!」
王姫の返事も聞かず部屋をあとにするアリスを追いかける前に、
テーブルの豪勢なお肉を一切れ口にすると立ち上げり、
ルルティアに大きく一礼し追いかける。
それを見送った後ルルティアは肩を落としながらもリーファに小さく笑顔を作って見せる―――
―――城入口
外はすでに夜を迎え、
町をカンテラが彩るのが見える。
木の葉をさする夜風は春風のように生暖かかった。
「ちょ、待ってよ!なんでそんなに怒ってるんだ!」
思わず早足で歩くアリスの腕を掴んだ。
「別に怒ってないわよ、私はこの国に危険が迫っているのに貴方みたいな危機感のない人が来て、
そんな人に自分が助けられたって事実が恥ずかしいだけよ!」
それ怒ってんじゃん。
なんてことは思っても言わない、余計に怒るから。
「どうせ貴方も他の人勇者みたいに元いた世界に帰りたいってタイプでしょ?」
「他の勇者!?それって他にも日本からここに来たって人がいるってことなのか!?」
もし仲間や話の分かる日本人がいればなにかと便利を図ることができるかもしれない。
「ニホン?そういうのはわからないけれど、
召喚やこの世界に召喚された人間は何人かいるし各国で聞いたりしてるわよ。」
話によれば、前の世界で本当に勇者として戦っていた者、
空を飛び夢の国と呼ばれる場所に住んでいた者、
魔王として世界に君臨し圧倒的な力で人々を苦しめていたもの。
この世界で勇者と呼ばれる者はさまざまな過去を持つが、
この世界ではそれらは役に立たない。
ゲームに関するもの、また制約を無視するような力はそもそも発動出来ないからだ。
この世界では人を力で支配することは出来ない制約によって構成されているらしく、
無理に通すことも敵わないらしい。
かつて魔王だったものや世界の覇権を握ったもの達は農民達にゲームに敗れ続け今では農家に勤しんでいる
「わかった?この世界じゃゲームが全て。頭と運のいい人間だけが勝者よ。
でも安心していいわ。ゲームには拒否権があるし貴方の面倒は当面私がみてあげるから。」
「なんかさっきから黙って聞いてれば・・・ここにきてからずっと俺を馬鹿にしてないか?・・・そんなに英雄様は偉いのか?」
掴んだ手を離し腕組みをする
自分は被害者だというのに期待外れのような言いぐさを、
ことあるごとにされている気がして正直面白くない。
「そうね、貴方よりは頭は良いと思うけれど。」
清ました顔でアリスは悪びれる様子はない
「ふーん、何が英雄だ、どうせ運勝ち運ゲーマンで英雄になったってオチだろ?」
冷やかしのつもりだったが、
どうやら気に障ったらしい
アリスも腕組みをし、大きく瞳孔が開いた。
「運勝ち!?ちょっとそれは聞き捨てならないわ。
私は別に英雄と言われても嬉しくないし。
英雄だと思ってないけれど、そう言われるのは心外よ!。」
二人はいがみ合いいつしか声も大きくなってきていた。
「いーーわ!だったら私とゲームよ!【決闘】!」
「【決闘】でもなんでもいい!勝った方は相手の言うことなんでも一つ聞く!いいな!」
「自らレートを決めたわね!いいわ。実力差がはっきりわかる上に運なんて一切絡まないシンプルなゲーム【知恵競べ】で勝負よ!」
二人は剣で鍔迫り合いでもするかのように互いに人差し指で相手を指し詰めた。